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ウェザーニューズ、2012年「酸性雨調査」結果発表
関東で昨年より酸性度が増加するも、全国的には減少傾向
~ 東京都・愛知県など大都市圏で酸性度が高く、九州では低い結果に ~
株式会社ウェザーニューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、雨の季節を楽しむ『雨プロジェクト』の一環として、一般の方と共に6月22日(金)〜7月15日(日)に行った「酸性雨調査」の結果を発表しました。今年で8年目を迎える「酸性雨調査」には、全国5,000人が参加し、雨が降り始めたタイミングに、事前に配布したpH試験紙を使って、雨の酸性度を計3回調査しました。今回の調査では、昨年の結果や過去6年平均の結果と比較し、雨の酸性度がどう変化しているのかまとめています。本調査結果は、スマートフォン向けアプリケーション「ウェザーニュースタッチ」とウェザーニューズの携帯サイト「ウェザーニュース」で確認することが可能です。ウェザーニューズでは、これからも雨の酸性度の変化を継続的に調べていくことで、環境問題と向き合い、今後の取り組みに活かしていく予定です。
全国的に昨年よりも酸性度が改善傾向に
今年酸性度が最も高かったのは宮崎県、最も低かったのは鹿児島県
ウェザーニューズでは、雨の酸性度の変化について調べるため、8年前からウェザーリポーターと酸性雨調査を行っています。今年は、6月22日(金)〜7月15日(日)の期間中、雨が降りそうな日にメールで調査を依頼し、雨が降り出した時にpH試験紙で雨の酸性度を調べてもらいました。調査は期間中に3回実施し、報告して頂いたデータの平均値を算出しました。その結果、昨年の調査結果と比べて酸性度が改善したのは、47都道府県中、32都道府県となり、全国的に酸性度が改善している傾向にあることが分かりました(※)。全国平均は、昨年がpH5.74だったのに対し、今年はpH5.79と、酸性度が低下しています。今回、最も酸性度が高かった宮崎県でも、県の平均値はpH5.66と、酸性雨の基準とされる、「pH5.6以下」に達しませんでした。また、宮崎県は、過去6年平均がpH5.75と、『過去6年と比べて酸性傾向』という結果になっています。これは、桜島や新燃岳の噴火による火山灰の影響が無視できないと考えられます。一方、宮崎県を除く九州各県では、酸性度が最も低い鹿児島県を中心に、いずれも酸性度が低いという結果が得られました。これは、梅雨前線が停滞して大雨になったことで、空気中の酸性成分が洗い流されたため、酸性度が低くなったと考えられます。
そのほか広いエリアでみると、甲信地方から西のほとんどの県で昨年よりも酸性度が改善している傾向がみられた一方、酸性度の高い都道府県ランキングでは、東京都や愛知県、大阪府など大都市圏が、引き続き上位にランクインしています。特に、埼玉県や神奈川県など関東の大都市圏が比較的高いところが多く、昨年よりも酸性度が高い結果が出ています。また、愛知県は昨年に続き全国で2番目の高さとなっています。さらに、寄せられた報告を一つずつみると、pH5.2以下の高い酸性度を示す報告は全体の10%にのぼり、昨年の割合から変化は見られませんでした。
ただ、過去6年(2007年〜2012年)平均した全国平均pH5.70と比べると、ほぼ全国で酸性度が改善している傾向が見られました。昨年の調査結果と同様、全国的な改善傾向は見られたものの、引き続き、一人ひとりが雨の酸性度に対して無関心にならず、環境問題について考えていくことが求められます。
*)pH値は、低いほど酸性度が高く、高いほど酸性度が低いことを意味します。( pH5.6以上:酸性雨でない pH5.3~5.6:比較的酸性度が低い酸性雨 pH5.2以下:生物の生存に影響が出始めると言われている酸性雨)