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11月24日、東京都心で異例の積雪
1.はじめに
2016年11月24日未明から夕方にかけて、強い寒気と低気圧の影響で関東の平野部でも雪が降り、熊谷で6cm、宇都宮や前橋で4cm、千葉で2㎝、東京で1cm未満の積雪を記録しました。11月としては、東京では54年ぶりの雪となり、東京や千葉、宇都宮、水戸の積雪は観測史上初となりました。
2.関東の雪の様子
ウェザーリポーターからの報告によると、23日21時頃から関東の南部で雨が降りはじめ、24日5時頃からは一部でみぞれや雪に変わりました。6時頃からは東京都や埼玉県でも雪となりました。その後、昼頃にかけて次第に雪の範囲が広がり、関東のほぼ全域で雪となりました。午後には西側から雪は止みましたが、千葉県では16時頃まで雪が継続しました(図1)。
関東の代表都市で観測された積雪深は表1の通りで、11月としては観測史上初、あるいは観測史上1位となるところが多くなりました。
11月24日、関東のウェザーリポーターから通常の2倍となる12,738通の報告が寄せられました(図2)。
図2:ウェザーリポーターから寄せられた報告
また、24日7時から18時にかけて、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の東日本のユーザーに対して「積雪状況は?」と質問し、“積雪なし”、“芝生にうっすら”、“道路にうっすら”、“道路にしっかり”から選択いただきました。関東の参加者9,453人(東日本の参加者は10,716人)のうち、7割の人から積雪していると回答がありました。図3のように、東京都心からも“道路にしっかり”積雪している報告が届き、茨城県の太平洋側では“芝生にうっすら”程度の積雪となったことがわかります。一方、千葉県の銚子周辺や房総半島の沿岸では積雪がなかったことがわかります。
3.雪の要因
24日は本州の南海上に前線が形成され、上層の気圧の谷が接近したことで、3時頃に前線上に低気圧が発生しました。この低気圧は24日午後にかけて発達しながら、本州の南東海上へ進みました(図4)。この前線や低気圧によって、関東に降水がもたらされました。
この時期に低気圧が通過することは例年通りですが、今回は北側から非常に強い寒気が入り込んだため、低気圧による降水の多くが雪になりました。24日3時頃、関東は高度約500mで0〜3°Cの寒気に覆われていました。その後、南海上の低気圧の発達に伴って北側のより冷たい空気が南下し、12時には関東の上空約500mで0°C以下の寒気に覆われました(図5)。この寒気の南下が、関東の雨を雪に変えたと考えられます。
また、気温の低下には、低気圧による雪の際によく見られるように、雨が蒸発することや雪が融けることによる冷却効果も寄与していた可能性があります。
4.季節外れの強い寒気
11月にこのような強い寒気が日本付近に入ることは稀です。表2のように、1月下旬から2月上旬の真冬並みの非常に強い寒気が南下していました。
この非常に強い寒気の移動について、時間をさかのぼって見てみると、4日前の11月20日にモンゴルや中国東北部、極東ロシアのあたりにあった寒気が日本付近へと流れ込んでいるように見えます(図6)。北極周辺と北半球の中緯度帯の気圧が相反して変動する「北極振動」の影響で、11月下旬は北極周辺の強い寒気が中緯度帯に放出されやすくなっており、それが今回の非常に強い寒気の流れ込みにつながった可能性があります。
5.まとめ
2016年11月24日、東京都心を含む関東の広い範囲で季節外れの積雪となりました。ウェザーリポートから、関東の各地で芝生や道路にうっすら積雪したことがわかりました。この季節外れの積雪は、大陸から関東上空に真冬並みの非常に強い寒気が流れ込んだこと、また、関東の南海上の前線上に低気圧が発生・発達して寒気がより南下したこと、および、広範囲に降水がもたらされたことが重なったために起きたと考えられます。
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