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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)と株式会社アクセルスペース(所在地:東京都中央区、代表取締役:中村友哉)は、7月14日に打ち上げに成功した気象・海象を観測する独自の超小型衛星「WNISAT-1R」が初画像の取得に成功したことを発表しました。現在は衛星の状態を確認する初期運用の段階で、2017年9月の本格的な運用に向けて、引き続き準備を進めていきます。
◆ 「WNISAT-1R」がファーストライトに成功!北極海の初画像を公開
7月14日15時36分(日本時間)にバイコヌール宇宙基地からソユーズで打ち上げられ、初期運用中の超小型衛星「WNISAT-1R」が、7月25日4時45分に初画像の取得(ファーストライト)に成功しました。本格的な海氷観測の開始に向けて、撮影パラメータ調整や解析アルゴリズムの確認などの準備作業を進めていきます。なお、本画像データは株式会社ウェザーニューズ、株式会社アクセルスペース、東海大学情報技術センター 横塚研究室の共同研究の成果により取得されました。
◇「WNISAT-1R」のミッションについて
「WNISAT-1R」は、株式会社アクセルスペースと共同製作した重さ43kgの超小型衛星で、高度600kmで5年間地球をまわります。可視光カメラ3台(赤・緑・パンクロ)と近赤外カメラ1台を搭載しています。カメラの解像度は既存の同種衛星に比べて20%ほど向上しており、時間や範囲などを設定することで、観測したいタイミングで必要なエリアのデータを取得することができます。ウェザーニューズは、光学カメラを用いて海氷や台風、火山の噴煙を試験観測し、気象・海象の予測精度向上や船舶・航空向けの運航支援サービスに活用していきます。
「WNISAT-1R」の最大のミッションは、観測データが非常に少ない北極域の海氷観測です。近年、ロシアのLNG開発プロジェクトが活発化しており、極東からロシアへの建設資材やモジュール輸送、また、生産開始後のLNG輸送にも北極海航路の活用が期待され、安全運航のために高精度な海氷情報のニーズが高まっています。しかし、北極海に関するデータは非常に少ないのが現状です。そこで、夏期の北極海をはじめ、冬期の渤海・セントローレンス湾などの海氷を航海のタイミングに合わせて撮影し、観測データやその解析データ、さらには既存の気象衛星と組み合わせた情報が、航海の安全に寄与できるか海運会社と協力して確認していきます。
また、航空機の運航サポートを視野に入れて、光学カメラで台風や火山灰の試験観測を行います。台風の広がりや火山灰の拡散状況を撮影するほか、移動しながら撮影するステレオ撮影によって雲頂高度や噴煙の到達高度を割り出す立体観測に挑戦します。雲の高さが正確にわかると、これまで積乱雲を迂回していた航空機が雲の上を通過できるなど選択肢が広がります。加えて、噴煙の高さが正確にわかると、航空機のエンジンに影響を及ぼす火山灰の拡散エリアを高い精度で予測できるため、安全性の向上につながります。