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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2019年の北極海の海氷傾向を発表しました。現在、北西航路(カナダ側)に位置するビューフォート海沿岸域では海氷の融解が異例の速さで進んでいますが、北極海全体としては平年並のペースで融解しています。今夏の北極海航路の開通は、北東航路(ロシア側)は昨年より1週間程度早い8月中旬、北西航路は9月上旬となる見込みです。
近年、北極海で生産された液化天然ガスのLNG船による輸送が活発になっているほか、北極海航路の定常的な利用が進んでいます。当社は、2011年から北極海航路支援サービスを継続的に提供しており、独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の観測結果を既存衛星画像と組み合わせ、観測データが少ない北極海の海氷分布をより正確に把握することで、今夏も船舶の安全運航を支援していきます。
北極海の海氷傾向2019
北極海の海氷域面積は例年、冬季の2〜3月に年間最大、夏季の9月に年間最小となります。今年は3月に年間最大を記録し、海氷域面積は昨年同時期よりやや大きい1,400万㎢程度となりました。現在、海氷は融解による減少期に入り、6月28日時点における面積は2010年代としては平均的な940万㎢となっています。今後も夏にかけて融解は急速に進み、9月中頃には海氷域面積は今年最小の約440万㎢まで減少すると予想されます。これは、昨年の海氷域面積をわずかに下回り、1979年の観測開始以来6番目に小さい面積となる見込みです。
海域別に見ると、現在、北西航路の一部であるビューフォート海沿岸域では融解が異例の早さで進んでおり、アラスカ北岸に沿って既にほぼ海水面が開けた状況になっています。北東航路についても、中ほどにあるラプテフ海で例年を上回る速度で融解が進んでいます。一方、東シベリア海は未だ全面結氷していますが、海氷の流動は大きく、それほど厚くないことがうかがえます。
今後、北東航路側では、ラプテフ海、東シベリア海の海氷が8月中旬のうちに後退することで、昨年より一週間程度早く開通するものと予想されます。また、北西航路側では、広い範囲で結氷しているカナダ多島海の海氷が融解することによって、9月に開通する見込みです。
※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。
北極海の海氷域面積(年間最小値)※1979年以降の記録、2019年は予想 | ||
1位 | 318万㎢ | (2012年) |
2位 | 402万㎢ | (2016年) |
3位 | 407万㎢ | (2007年) |
4位 | 426万㎢ | (2015年) |
5位 | 427万㎢ | (2011年) |
6位 | 440万㎢ | (2019年予想) |
7位 | 446万㎢ | (2018年) |
8位 | 447万㎢ | (2017年) |