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阪神・淡路大震災から25年

神戸市でAI防災協議会シンポジウムを開催、一般市民とLINEを用いた情報共有の実証訓練を実施

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)が参画するAI防災協議会(理事長:LINE株式会社 江口清貴)は、2019年6月の設立から現在に至るまでの一連の取り組みを振り返るとともに、今後のビジョンについて議論するため、1月16日に神戸市で「AI防災協議会シンポジウム」を開催しました。当日は、内閣府副大臣 平将明氏や神戸市副市長 油井洋明氏によるSNSを活用した災害時の情報収集に関する基調講演のほか、AI防災協議会の最新テクノロジーや自治体で実施された実証実験の報告、AIを使った防災に関するパネルディスカッションが行われました。
 また、阪神・淡路大震災から25年となる17日は、神戸市で市民参加型の情報共有実証訓練を実施しました。大地震が発生したことを想定し、災害に関連する情報を自動で抽出・集約できる対話型災害情報流通基盤システム“防災チャットボット(SOCDA)”を実装したLINE公式アカウントを用いて、市民からの情報収集とSOCDAによる整理・集約、市民との共有を行いました。訓練当日は16時までに計1292件の状況報告が寄せられ、阪神・淡路大震災当時の被害状況をマップでリアルタイムに共有することに成功しました。ウェザーニューズはSOCDAのAIエンジンの開発を担っており、今後もこのような訓練を通してシステムの検証・改良をし、避難行動につながる新たな防災システムの構築と社会実装に取り組んで参ります。

「AI防災協議会シンポジウム」を開催

 1月16日、AI防災協議会は設立からこれまでの取り組みを振り返るとともに、今後のビジョンについて議論するため、神戸市の三宮研修センターで「AI防災協議会シンポジウム」を開催しました。シンポジウムには自治体職員を中心に106名が参加し、内閣府副大臣 平将明氏や神戸市副市長 油井洋明氏による基調講演のほか、本取り組みの概要説明、三重県、神戸市、千葉県における実証実験の報告、AIを使った防災に関するパネルディスカッションが行われました。当社からはAI防災協議会の理事である萩行正嗣がパネルディスカッションに参加し、避難行動につながる情報の出し方や災害時にAIができる自治体職員の支援などについて話し合いました。具体的には、“気象災害が多発している昨今、自治体は住民に知らせるだけでなく、しっかりと住民が逃げるところまでの役割を求められているなかで、どのような仕組みを作っていくべきか”、“いざという時に使っていただけるように市民が日頃から使えるシステムである必要がある”、“自治体に職員や市民のタイムラインを細かく洗い出していただくなど、自治体との強い連携が災害時により活用できるシステム構築につながっていく”、などの意見が交わされました。今後も議論を重ねることで、社会のニーズに合った新たなシステムを構築していきたいと考えています。

会場の様子

 

パネルディスカッションの様子
AI防災協議会理事 / ウェザーニューズ 萩行正嗣

 

神戸市で情報共有実証訓練を実施

 1月17日、阪神・淡路大震災から25年を迎える日に、過去を学ぶとともにこれからの防災・減災について考えるため開催された防災イベント「神戸防災のつどい2020」(*1)において、LINEを用いた情報共有実証訓練を実施しました。本訓練は、ウェザーニューズが開発を担うSOCDAを実装した「SIP-KOBE実証訓練」LINE公式アカウント(*2)を活用した市民参加型の訓練です。一般市民を対象とした訓練は今回が初めてとなります。 
 当日は大地震が発生したことを想定し、SOCDAが「SIP-KOBE実証訓練」のアカウントの登録者約1万人に対して、“【訓練】15時45分、神戸市で大きな余震が発生しました。ご自身の安全が十分に確保された状態で、可能であれば「まちの状況」を送ってください。”と呼びかけました。そして、通知を受けた会場内外の参加者から16時までに計1292件の状況報告が寄せられました。状況報告は、投稿されると同時に地図上に整理・集約され、被害状況マップがリアルタイムに共有されました。

参加者がLINEを用いて被害状況を投稿する様子

 

被害状況がマッピングされる様子

 

*1:神戸防災のつどい2020 https://www.city.kobe.lg.jp/a95474/705067468895.html
*2:SOCDAを実装した「SIP-KOBE 実証訓練」LINE公式アカウント https://caidr.jp/data/2019-08-29press.pdf

 

防災チャットボットについて

 ウェザーニューズ、国立研究開発法人 防災科学技術研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構の3者は、大規模災害における安否確認や災害情報把握・共有に関する課題を解決するため、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program; SIP)「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」に参加し、府省庁の既存システムと連動して膨大な災害関連情報を統合し、政府の意思決定を支援する次世代の「避難・緊急活動支援統合システム」の開発に取り組んでいます。“防災チャットボット(SOCDA)”は、本プロジェクトの一環として3者で開発を進めているSNSを用いた対話型災害情報流通基盤システムで、ウェザーニューズは対話を通して災害対応を支援するAIエンジンの開発を担っています。SOCDAをLINEなどのSNSに実装することで、SNSを通して自律的に被災者とコミュニケーションを取り、AIが対話の中から安否確認や不足物資、被災状況などの災害関連情報を自動で抽出・集約し、最寄りの避難所や物資の提供状況など被災者が求めている情報を提供することを可能にします。2020年以降の社会実装を目指しており、これまでに、茨城県、兵庫県伊丹市、神戸市、三重県、香川県高松市、宮崎県日向市でLINEを用いてSOCDAの実証実験を行い、自治体や市民にとって使いやすいシステムになるよう改良を重ねてきました。

 

AI防災協議会について

 AI防災協議会は産官学が連携し、AI・SNS等をはじめとする先端技術・ITインフラを活用することによって、災害に対するレジリエンスを向上させ、防災・減災にかかる課題解決を目指すことを目的に2019年6月に設立されました。メンバーは、株式会社ウェザーニューズ、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、SOMPOリスクマネジメント株式会社、東京海上ホールディングス株式会社、ヤフー株式会社、LINE株式会社、ワークスモバイルジャパン株式会社などの民間企業や、国立研究開発法人 防災科学技術研究所のなどの研究機関、29の自治体などで構成されています。現在は主にSOCDAの社会実装を目指しており、産官学が一丸となって知恵を出し合うことで、いざという時に避難行動につながる防災システムの実現を目指しています。


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