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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2020年の北極海の海氷に関するまとめを発表しました。北極海の海氷域面積は、毎年2〜3月に最大、9月に最小になります。今夏の北極域は記録的な暑さとなり、ロシア近海を中心とした海域の海氷が例年以上に顕著に融解しました。9月に観測された北極海海氷域の年間最小値は355万㎢で、これは1979年の観測開始以降2番目に小さい面積となりました。
今シーズンの北極海航路の開通期間は、北東航路(ロシア側)では88日間で、これまでで最も長くなりました。一方、北西航路(カナダ側)について今年の開通はありませんでした。
アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路を選択すると、輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができます。当社は2011年より、北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを提供しています。今後も北極海航路における船舶の安全運航を支援するとともに、CO 2排出量削減への支援にも注力していきます。
※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。
夏の記録的な暑さの影響で北東航路の開通期間は史上最長を記録
2020年は初夏の頃から北極域の各地で異常な高温が続いたことで、海氷の融解が進みました。コロラド州立大学によると、北緯70度以北における平均気温は、5月、7月、8月観測史上最高、6月は観測史上2番目の高さを記録しました。また、ロシア極東に位置するベルホヤンスクでは、6月に約38℃という観測史上最高気温が観測されています。この高温域は北極海ロシア沿岸にも広がり、そこに広がっていた海氷の融解を早めました。また、7月には北極海上でも高温傾向が強まり、スバールバル諸島のロングイェールビーンにおいては1979年の観測開始以降最高気温となる21.7℃を観測しました。
このような北極域の高温によって、海氷域面積は9月13日に年間最小値355万km2まで縮小しました。これは、北極海上で発生した巨大な低気圧の影響で最小となった2012年8月の記録に次いで、1979年の観測開始以来2番目に小さい年間最小面積です。
表1:北極海の海氷域面積の記録
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(表の数値は最新の方法で再計算しており、過去に発表したプレスリリースと値が異なる年があります。)
北極海航路の開通については、今夏はロシアに接するラプテフ海・東シベリア海で海氷の融解が例年以上に早く進んだ結果、8月2日には北東航路(ロシア側)が史上最速で開通しました。当社が2017年に独自に打ち上げた超小型の気象・海象観測衛星「WNISAT-1R」で8月1日に撮影された画像では、北極海ヴィルキツキー海峡周辺の海氷がないことを確認することができました。開通状態は10月28日まで続き、通算開通日数は88日間でこれまでの最長となりました。北西航路(カナダ側)については、カナダ多島海において海氷が残るエリアがあったため開通しませんでした。
ウェザーニューズは北極海航路の安全運航をサポートし、CO 2削減にも貢献
近年、北極海で生産された液化天然ガスのLNG船による輸送が活発になっているほか、北極海航路の定常的な利用が進んでいます。アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路の航路距離はスエズ運河経由の約 2/3、喜望峰経由の約 1/2 となるため、航海を通じて輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができます。
当社は2011年より、北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを提供しています。2020年は6航海をサポートし、船舶がスエズ運河経由で航行した場合と比較して、約3600t-CO2(※)(25mプール3600杯分の体積に相当)の排出量の削減に貢献しました。
※IMOガイドライン(MEPC .1/Circ.684)に基づいて算出。
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