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2013年9月4日 東海地方での大雨(名古屋市での大規模冠水)に関して

2013年9月4日の午後、東海地方の西部を中心に記録的な激しい雨となった。岐阜県大垣市のアメダスでは、14時から15時の1時間降水量が108mmを観測し、大垣の観測史上最大値となった。また、名古屋市内でも複数の地点で100mm/h以上の雨を観測し、広範囲で冠水が発生した。この大雨と冠水により、名古屋市は全域に避難準備情報を発表した。また、公共交通機関においても東海道新幹線、JR 在来線、名古屋鉄道で運休や運転の見合わせが行われ、周辺地域の生活に大きな影響を与えた。

1.当社のウェザーリポーターからの報告

図1は、9月4日の午後15時から18時にかけて、当社に届いたウェザーリポーターからのウェザーリポートと、当社のスマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」から参加できるソラミッション*による冠水状況の報告である。15時頃、岐阜県境に近い愛知県一宮市から大雨と冠水の報告が届き始め、17時頃名古屋市内からは、道路が一面冠水しているレポートが多数届いた。
*ソラミッション:当社スマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」で天気や季節の変化に関するテーマを日々設け、それに関する現地の状況を報告していただく双方向コミュニケーションサービス。

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図1. サポーターから届いたウェザーリポート(左上)、ソラミッションによる冠水報告(左下)、写真つきリポート(右側):各枠内。左上枠:15時~16時、右上枠:16時~17時、左下枠:17時~18時、右下枠:18時~19時。


リポートから、愛知県西部の広範囲で冠水が発生し、特に17 時頃に名古屋市の中心部からひざ上まで水につかるくらいの冠水状態になったことがわかる。リポート中のコメントには、「東海豪雨を思い出すような雨の降り方をしている」というものも散見され、被害の拡大を予感させるものであった。
図1の通り、当社のウェザーリポーターの報告により、各地の冠水状況が随時把握できたが、この情報は、当社のスマートフォンによるサービスや24 時間生放送の天気専門番組SOLiVE24においてリアルタイムで発信された。また、当社と名古屋市、名古屋市民が参加して災害を減らすことを目的として取り組んでいる情報共有サイト「なごや減災プロジェクト」においても公開されていた。(図2)


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図2. なごや減災プロジェクトサイト。
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また、表 1は 2013年に行った冠水に関するソラミッションで、「 冠水あり 」の報告数が多かった上位5つの事例の報告数の一覧である。今回「冠水あり」の数は、7月23日に東京都内のゲリラ雷雨(当時、都心を流れる目黒川に対してはん濫警戒情報が発表された)の数倍以上に達しており、この集計からも今回の冠水被害が非常に広範囲に及んだことが推察される。


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表 1. ソラミッション*での冠水状況報告数(2013年6月30日以降に実施したもの、単位:報告数)

2.気象概況

地上天気図を見ると、4日は北日本から西日本にかけて秋雨前線が停滞しており、朝9時頃に台風17号から変わった温帯低気圧が西日本の太平洋側をゆっくりと東に進んでいた。この低気圧の東側にある東海地方では前線に向かって南から非常に温かく湿った空気が流れ込んでいた。

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図3. 地上天気図 左:2013年9月4日9時 右:2013年9月4日18時


一方、高層天気図(図4)を見ると、日本海から九州付近にけて気圧の谷が深まっていた。この気圧の谷は日本の東海上にある高気圧に阻まれて動きが非常に遅く、このため前述の前線や低気圧の動きも遅くなっていた。また、上空500hPa(図 4)の気温の状況をみると、本州付近には-5℃以下の寒気が入っており、下層の暖かく湿った空気の流入と相まって大気の状態が非常に不安定になり、積乱雲が非常に発達しやすい状況が長時間継続した。

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図4. アジア500hPa天気図(高度•気圧•風, 2012年9月4日21時)


さらに、4日の9時から18時の衛星による水蒸気画像を見ると(図 5)、低気圧付近の雲域は(暗域)の東側で非常に発達していたことも覗える。

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図5. 水蒸気画像9月4日 左上:9時 右上:12時 左下:15時 右下:18時


図6は、13時から18時までのレーダーエコー図である。個々の積乱雲は南から北に移動していたが、全体としてライン状に組織化されたエコーが三重県から愛知県、岐阜県にかけてほぼ同じ地域に停滞していたことがわかる。


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図6. レーダー画像(左上から右下へ順に、4日13時から18時まで1時間ごと)


3.まとめ

今回、台風から変わった動きの遅い温帯低気圧の影響で、東海地方西部に記録的な大雨となった。特に、名古屋市では100mm/hを超す降水量が観測され、広範囲で冠水の被害が発生した。一般に、冠水の状況を把握できる観測器等は整備されていないが、当社ではウェザーリポーターからのリポートにより状況を随時把握することができた。
これらの情報を当社のサービスだけでなく、自治体と取り組んでいる減災プロジェクトで発信することで、引き続き減災に努めていきたいと思う。

※このWxFilesの記載は速報値であり、二次災害あるいは今後同様の災害を少しでも減らすことを目的としています。