当社は2022年6月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、TCFDフレームワークに基づいた情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を進め、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーの皆様とともにサステナブルな社会の実現に取り組んでいきます。
1. ガバナンス
気候変動に関わる基本方針や重要なリスク・機会を特定しマネジメントする組織として、最高経営責任者を委員長とするサステナビリティ委員会を2021年5月に設置しています。サステナビリティ委員会ではサステナビリティに関する課題の特定、対応計画の策定を行うとともに、当社グループ全体の取り組みの推進・サポートを行っています。また、その進捗をモニタリングし、その結果を定期的に取締役会に報告することで、取締役会による管理・監督が適切に図られる体制を構築しています。
2. 戦略
当社グループでは将来の気候変動に関する「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つのシナリオを用いて、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向けた「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ分析と評価を実施しました。リスク・機会それぞれの詳細や財務影響についての評価結果は以下の通りです。
1.5℃、4℃シナリオの定性的な想定内容
| シナリオ | 想定内容 |
|---|---|
| 1.5℃ | パリ協定に基づき、社会全体が脱炭素に向けて変革を遂げ、地球温暖化に歯止めがかかるシナリオ。炭素税等の環境関連規制強化が想定される一方、異常気象の被災の度合いが抑制される |
| 4℃ | 気温の上昇が著しく、地球温暖化がさらに進むシナリオ。化石燃料主体での社会の発展が継続し、異常気象の激甚化が加速する |
リスク及び機会
| 区分 | 内容 | 事業 分野 | 想定されるリスク・機会の詳細 | 財務影響 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 移行 リスク | 政策・ 法規制 | 炭素税・ 炭素価格 | 全社 | 炭素税の導入や炭素価格の上昇に伴うオフィス電力調達コストの増加 | 小 | - |
| GHG排出規制への 対応 | 全社 | GHG排出量規制強化等による自家発電設備のグリーンエネルギー化に伴う設備更新コストの増加 | 小 | - | ||
| 市場 | エネルギー価格 | 全社 | エネルギー価格の上昇による電力調達コストの増加 | 小 | - | |
| 評判 | 投資家の評価 | 全社 | 気候変動および環境対策への取り組みが、投資家により不十分と判断された際の企業価値・評価の低下 | 中 | - | |
| 物理 リスク | 急性 | 異常気象の 激甚化 | 全社 | 洪水・高潮等による一部資産の浸水被害と一時的な運営・営業等業務の停止 | - | 小 |
| 慢性 | 温暖化による 海面上昇 | 全社 | 海面上昇による影響は限定的も、洪水・高潮等が併発した際に運営・営業等業務の一時停止 | - | - | |
| 機会 | エネル ギー源 | 環境対策の 取り組みによる 企業価値の上昇 | 全社 | 気候変動に伴う自然災害の激甚化に対する当社サービスへの注目や期待が高まることで企業価値が向上 | 大 | 大 |
| 製品/ サービス | グリーン エネルギーの 需要増 | Sea | 船舶のグリーンエネルギーへのシフトに対応する環境指標を軸とした新たな運航支援サービスの展開 | 大 | - | |
| Sea | 洋上風力発電の需要の高まりに伴う、発電施設の建設や保守等に対する支援サービス需要の増加 | |||||
| Land | 電力需給におけるグリーンエネルギーの比率が高まり、電力需給バランス想定サービスの需要が増加 | |||||
| 化石燃料の 使用量削減 | Sea Sky Land | 化石燃料の使用量削減につながる支援サービスの需要増加、および航海・航空・陸上等各事業間のシナジーを生かした輸送計画支援サービスの新規開発 | 中 | - | ||
| Internet | 個人及び一般家庭等での節電意識の高まりに対する、個人向け電力需給予報サービスへの需要が増加 | |||||
| 市場 | 環境配慮志向 へのシフト | Land | 消費者の環境配慮志向へのシフトに伴い、食品廃棄ロスの極小化サービスへの期待・需要が増加 | 中 | - | |
| レジリ エンス | 気候変動に伴う 極端気象による 激甚災害増加に 対する対応策 ニーズの高まり | Sea Land | 船舶の到着遅延、スポーツ・イベントの中止など、極端気象による被害への補償サービスの新規開発 | 中 | 大 | |
| Land | 自然災害の激甚化による工場・倉庫・発電所等陸上施設の浸水リスクなどの事業継続リスク計測・対策サービスへの需要増加(TCFDへの対応) | |||||
| Land | 自然災害の増加による事業への影響算出、急性リスク分析サービスへの需要増(1.5℃シナリオ) 産地毎の農作物の成長・収穫への影響分析、収量予測サービスへの需要増加(4℃シナリオ) | |||||
| Land | 気温上昇により高まる運動・勤務中の熱中症リスクの保険サービスおよび健康状態のモニタリングサービスの需要増加 | |||||
| Internet | 自然災害の増加・激甚化への危機感の高まりによる個人向け防災・減災情報サービスへの需要増加 | |||||
3. リスク管理
企業を取り巻く環境が複雑かつ不確実性を増す中、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに対し的確に対処することが、経営戦略や事業目的を遂行していく上で不可欠です。当社グループは、気候変動関連の問題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクとして位置付け、サステナビリティ委員会において適切に検討・管理しています。また、その内容を事業の継続性を踏まえてリスクマネジメント・危機管理を所掌する組織であるリスクマネジメント委員会とも共有し、リスク発生前の管理監督とリスク発生直後の対応方針等、リスク管理の基本方針を定めていく仕組みを構築しています。
4. 指標と目標
当社グループは、環境負荷低減と企業の事業利益最大化の両方を可能とする技術・ソリューションの向上とグローバル・パートナーシップを推進し、業界・社会全体としてサステナブルな社会実現に向けて取り組んでいます。
この取り組みの一環として、国際的なイニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)に認定された科学的根拠に基づく目標に沿って、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を推進しています。
<科学的根拠に基づく目標(SBT認定)>
Scope1+2:2030年度までにGHG排出量を50%削減(2022年度比)
Scope3:2030年度までにGHG排出量を25%削減(2022年度比)
上記SBT認定目標の達成に加え、当社はより高い目標水準として、2030年度までにGHG排出量
(Scope1+2)の実質ゼロを目指してまいります。




