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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴を発表

【ゲリラ豪雨まとめ2019】梅雨明けの遅れや台風・前線の影響で“ゲリラ豪雨”は過去5年最少回数に

〜今年はゲリラ豪雨が少なかった!発生回数は過去5年平均比0.4倍〜

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、2019年夏のゲリラ豪雨の発生回数と、“ゲリラ雷雨まとめ調査”の結果を発表しました。今シーズン(716日~930日)の全国のゲリラ豪雨の発生回数は合計1,688回で、過去5年平均(4,309回)と比較すると半分以下となりました。ゲリラ豪雨が少なかった要因としては、7月末まで太平洋高気圧の本州への張り出しが弱く梅雨明けが遅れたことや、8月に台風や秋雨前線の影響を受けやすい気象条件だったことが考えられます。
 スマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて“ゲリラ雷雨まとめ調査”を実施した結果(調査期間:101日~7日、回答者数:11,402人)、発生回数は少なかったものの、全国の2人に1人がゲリラ豪雨に遭遇、そのうち半数近くが交通機関への影響や道路冠水、落雷による停電などの被害を受けたことがわかりました。
 ウェザーニューズは、来年も引き続きゲリラ豪雨の監視・予測を行い、全国の方と共にゲリラ豪雨による被害軽減に努めていきます。

<ポイント>
1.今年はゲリラ豪雨が少なかった!発生回数は1,688回と過去5年平均の半分以下に
2.台風や秋雨前線の影響で8月の発生回数は過去5年平均の約3割に留まり、明瞭な発生ピークはなし
3.全国の2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇、停電や交通機関への影響、道路冠水の被害あり

1】今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴
発生回数:今年はゲリラ豪雨が少なかった!発生回数は過去5年平均比0.4

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 今シーズン(716日~930日)の全国のゲリラ豪雨の発生回数は合計1,688回で、ゲリラ豪雨が少なかった昨年(3,501回)と比較しても、約半分の発生回数になりました。過去5年平均(4,309回)と比較すると、今年の少なさが顕著に表れ、発生回数は全国平均で半分以下、関東で約6割、ほとんどの都道府県で半分前後と少なくなりました。
 ゲリラ豪雨が最も多かった都道府県は埼玉県の128回で、次いで大阪府の121回でしたが、いずれの府県も前線や台風の影響で、昨年よりも少ない発生回数となっています。
(※詳細は、本プレスリリース最後の「◆参考情報:都道府県別ゲリラ豪雨発生回数」を参照ください。)

発生時期:8月の発生回数は過去5年平均の約3割で、発生ピークなし

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 月別に見ると、全国のゲリラ豪雨の発生回数は7405回、8754回、9592回と、どの月も過去5年平均を下回り、明瞭な発生ピークは見られませんでした。今年の8月は台風や前線の影響を受けやすく、天気の急変があまり見られなかったため、例年ゲリラ豪雨発生のピークとなる8月の発生回数は過去5年平均の約3割に留まりました。





ゲリラ豪雨が少なかった理由:梅雨明けの遅れ+台風と秋雨前線

 今年はシーズンを通してゲリラ豪雨が発生しにくい気象条件となりました。ゲリラ豪雨の発生回数が少なかった要因として、7月末まで太平洋高気圧の本州への張り出しが弱く梅雨明けが遅れたことや、8月前半は台風、後半は秋雨前線の影響を受けやすかったことが挙げられます。
 ゲリラ豪雨は晴れて気温が上がった時や、高気圧縁辺の暖かく湿った空気の流入により大気の状態が不安定となった時に突発的に発生する現象です。今年の夏は台風や前線による雨が多くなったため、ゲリラ豪雨の発生回数は過去5年平均の約4割と少なくなりました。

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 7月に発表した「ゲリラ豪雨傾向」では、発生回数は昨年並(3,604回)で、シーズン前半の8月中旬までに集中的に発生すると予想していましたが、梅雨明けが遅れたことや、梅雨明け後すぐに太平洋高気圧が強まって猛暑となりゲリラ豪雨の発生が抑制されたこと、その後台風の上陸が相次いだこと(8号、10号)などで予想よりも発生回数が少なくなりました。

発生回数は少なかったものの、雷による停電で交通に影響が出た事例も

 今シーズンはゲリラ豪雨が過去5年で最も少なくなりましたが、影響がなかったわけではありません。8月下旬~9月上旬にかけて前線と暖湿流によってゲリラ豪雨が発生しました。
 全国での発生回数が最も多くなった911日の事例では、西~東日本の広範囲で激しい雷雨となり、兵庫県内では時間80mmを観測したところもありました。山陽電車では停電により運転見合わせも発生しました。
 関東での事例を挙げると、820日は各地で激しい雨となり、雨柱やアーチ雲の報告が届きました。雨雲の動きが速かったため大きな被害はなかったものの、一時的に足止めをくらったという声が多く届きました。

◆参考資料:全国的なゲリラ豪雨多発日・影響の大きかった事例

日付

発生回数

要因

備考

9月11日

200回

前線と暖湿流

西~東日本の広範囲で雷雨に。兵庫県内では時間80mmを観測したところも。山陽電車では停電の影響で運転見合わせも。

9月4日

119回

前線と暖湿流

近畿各地で雷雨。停電も発生し、落雷による運転見合わせも。

8月20日

95回

前線と暖湿流

関東では激しい雨の報告や、雨柱報告、アーチ雲の報告が届いた。ただ、雨雲の移動は速く、道路冠水など、大きな被害の報告はなかった。

8月14日

86回

暖湿流(台風)

熊谷で10分10mm以上の降水。ただ、雨雲の移動速度が速く、大きな被害の報告はなかった。

8月21日

83回

前線と暖湿流

名古屋や岐阜では落雷による停電被害報告。アーチ雲のリポートもあった。

7月23日

82回

寒気

長野県で記録的短時間大雨情報。山形県では漏斗雲の目撃情報があり、竜巻アラームを送信。

22019年“ゲリラ雷雨まとめ調査”結果

 101日~7日にスマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、2019年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国11,402人の方々から回答をいただきました。

この夏2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇

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 「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、全国の55.3%が“遭遇した”と回答しました。発生回数は全国で過去5年平均の半分以下だったものの、2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇していたことが判明しました。
 都道府県別にみると、1位は京都府(75.5%)、2位は栃木県(72.5%)、3位は福岡県(71.6%)となりました。いずれの府県も、例年よりは少ないものの、60回を超えるゲリラ雷雨が発生しました。




ゲリラ雷雨に遭遇した半数近くが交通機関の乱れや道路冠水などの被害に

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 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、半数近く(45.1%)が何かしらの被害にあったことがわかりました。
 また、被害を受けた方(※)に具体的な内容を伺ったところ、“交通機関に影響”が23.4%で最も多く、次いで“道路冠水”(22.8%)、“落雷による停電”(17.9%)という結果になりました。
被害を受けた方:“ゲリラ雷雨に遭遇した”の回答から“被害なし”の回答を除く



想定外の出費率は減少も、出費額はあまり変わらず

 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、45人に1人(22.7%)が何らかの出費があったと回答し、昨年(25.6%)よりも3ポイントほど少なくなりました。一方で出費額は全国平均で2,437円となり、昨年の2,587円と大きく変わりませんでした。都道府県別にみると、1位は長崎県(35.7%)、同率2位で沖縄県(34.2%)と奈良県(34.2%)となりました。2018年の同調査で5位だった東京都の出費率は1.9ポイント減少し、今回は6位(28.5%)でした。
 また、“想定外の出費があった”と回答した方に「出費の具体的な内容」を伺ったところ、最も多かったのは“雨宿りでお店に入り出費”(16.0%)で、次いで“傘など雨具を購入”(15.3%)、“バス・タクシーを利用”(13.7%)という結果でした。少数ですが、家屋や車、電化製品などに被害があった方も見られました。

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 今シーズンはゲリラ豪雨の発生回数が少なくなりましたが、被害がなかったわけではありません。ゲリラ豪雨は一度発生すると、雨による道路冠水や落雷による停電など生活へ影響を及ぼす可能性があり、回数の多寡を問わず警戒が必要な気象現象です。ウェザーニューズでは、ゲリラ豪雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしていきます。

参考情報:都道府県別ゲリラ豪雨発生回数 ※集計期間:716日~930

 

2019年7月16日〜9月19日(回)

昨年の発生回数(回)

昨年比(倍)

過去5年平均比(倍)

7

8

9

合計

北海道

13

13

3

29

11

2.6

0.2

青森県

8

2

2

12

7

1.7

0.2

秋田県

2

7

0

9

6

1.5

0.2

岩手県

2

7

1

10

19

0.5

0.1

山形県

14

5

0

19

18

1.1

0.4

宮城県

11

15

0

26

69

0.4

0.4

福島県

27

21

12

60

109

0.6

0.5

茨城県

6

20

15

41

157

0.3

0.3

栃木県

44

60

14

118

223

0.5

0.6

群馬県

16

58

11

85

152

0.6

0.6

千葉県

21

63

7

91

134

0.7

0.5

東京都

10

67

27

104

177

0.6

0.6

埼玉県

22

70

36

128

138

0.9

1.0

神奈川県

2

50

15

67

108

0.6

0.7

山梨県

13

16

7

36

85

0.4

0.6

長野県

22

39

18

79

198

0.4

0.4

静岡県

8

24

21

53

193

0.3

0.3

愛知県

7

30

19

56

232

0.2

0.3

岐阜県

7

23

10

40

152

0.3

0.3

三重県

3

12

5

20

98

0.2

0.2

新潟県

10

17

1

28

22

1.3

0.4

富山県

2

4

4

10

20

0.5

0.3

石川県

0

3

0

3

3

1

0.3

福井県

1

4

5

10

10

1

0.7

滋賀県

8

9

13

30

78

0.4

0.3

京都府

20

16

24

60

96

0.6

0.5

奈良県

9

4

15

28

39

0.7

0.3

兵庫県

11

9

32

52

115

0.5

0.3

大阪府

19

23

79

121

150

0.8

0.6

和歌山県

1

1

1

3

12

0.3

0.1

鳥取県

2

0

9

11

25

0.4

0.3

島根県

0

0

11

11

18

0.6

0.6

岡山県

1

1

11

13

69

0.2

0.1

広島県

2

0

9

11

84

0.1

0.1

山口県

8

0

1

9

44

0.2

0.2

香川県

5

4

7

16

4

4

0.9

徳島県

8

0

1

9

12

0.8

0.3

愛媛県

3

12

1

16

15

1.1

0.5

高知県

2

0

2

4

14

0.3

0.1

福岡県

20

22

36

78

137

0.6

0.5

大分県

4

1

6

11

25

0.4

0.2

佐賀県

0

5

9

14

38

0.4

0.3

長崎県

0

6

1

7

27

0.3

0.2

熊本県

1

5

22

28

65

0.4

0.3

宮崎県

1

0

3

4

34

0.1

0.1

鹿児島県

5

2

3

10

48

0.2

0.2

沖縄県

4

4

0

8

11

0.7

0.1

全国

405

754

529

1688

3501

0.5

0.4

参考情報:ゲリラ豪雨発生回数と昨年比

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参考情報:エリア別のゲリラ豪雨発生回数

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※“ゲリラ豪雨(雷雨)”について
 ウェザーニューズでは、これまで本まとめを発表する際に、“ゲリラ雷雨”という言葉を使用してきましたが、2017年より『減災を目指す上でより広く認知いただくために』一般にあるいはメディアでよく使用されている“ゲリラ豪雨”も同意語として使用することとしました。 “ゲリラ雷雨防衛隊”の取り組みの一環として実施した調査結果(本まとめ「【2】2019年“ゲリラ雷雨まとめ調査“結果」)については、企画名のため“ゲリラ雷雨”と表記しています。

 “ゲリラ豪雨”をもたらす雨雲・雷雲は、予測可能な前線による雨雲とは異なり、“突発的”かつ“局地的” に発達するのが特徴です。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュース」の全国のユーザーから届く降雨報告において、“ザーザー” (5段階中の2番目)以上の強い雨が報告され、かつ、過去1時間に雨の報告が2割以下の場合を “ゲリラ豪雨”とし、10km四方ごとにカウントしています。

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