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今年の台風はどうなる?ウェザーニューズ、2020年「台風傾向」を発表
【台風傾向】8月から台風増加、9月をピークに接近・上陸の危険性が高まる
~台風発生数は平年並の26個前後、8月以降台風発生域の対流活動が活発化~
モバイル/インターネット > 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、2020年の「台風傾向」を発表しました。今シーズンの台風の年間発生数は平年並の26個前後となる見通しです。7月まではインド洋の海面水温が高い影響で、台風発生域の対流活動は不活発になる予想ですが8月からは太平洋熱帯域でラニーニャ現象に近い海面水温分布、またはラニーニャ現象が発生する可能性があり、台風発生域の対流活動が活発になる予想です。このため、7月までの台風の発生数は少なくなるものの、8月以降は台風の発生数が増えてくるとみています。9月以降は偏西風の南下に伴い、本州付近への接近・上陸の危険性が高まるため、台風の進路や雨風の影響に注意が必要です。
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※本プレスリリースの“平年”は、1981年〜2010年の30年平均です。
<ポイント>
1. 台風発生数は平年並の26個前後の予想
2. 7月までの台風発生数は少ないものの、8月以降は増加する傾向
3. 9月をピークに本州付近への接近・上陸の危険性が高まる
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◆台風発生数は平年並の26個前後、9月をピークに接近・上陸の危険性が高まる
<台風の発生位置について>
7月までは、インド洋の海面水温が高い影響で、北西太平洋熱帯域の対流活動が平年よりも不活発になりやすい見込みです。このため、台風の発生は平年並か少ない予想です。8月から10月にかけては、太平洋熱帯域でラニーニャ現象に近い海面水温分布、またはラニーニャ現象が発生する可能性があり、その場合、熱帯の対流活動が活発なエリアが平年(フィリピンの東海上)よりも西にずれる傾向があります。対流活動が活発なエリアでは多数の積乱雲が発生しやすく、これらの積乱雲が集まって台風となるため、台風の発生位置は、秋を中心に平年よりも西寄りになる予想です。海面水温が高い海域を通る時間が短くなったり、大陸へ進む台風が多くなる影響で、秋は台風の発生から消滅までの寿命が短くなる傾向もあります。
<月別の台風の進路について>
今シーズンの太平洋高気圧は、平年よりも西への張り出しが強い予想です(図1)。月別の台風進路傾向を見ると(図2)、7月までは台風は大陸へ向かう進路を取りやすい見込みです。8月は太平洋高気圧が勢力を強める時期と弱める時期があり、太平洋高気圧の勢力が強い時期は、台風は高気圧の縁を時計回りに進み、平年よりもやや外回りの進路をとって沖縄〜中国大陸へ向かうことが多くなりそうです。一方、太平洋高気圧の勢力が弱い時期は、台風を動かす風が弱くなり、複雑な進路をとったり、動きが遅くなったりしながら日本付近に接近する可能性があります。9月以降、偏西風が南下してくると、台風は本州付近へ向かう進路をとることが多くなる予想です。
昨年、各地に大きな被害をもたらした台風15号や19号も9月以降に上陸しています。台風の進路や雨風の影響に特に注意が必要です。
<台風の発生数について>
今シーズンの台風発生数は、多かった昨年の29個よりも少ないものの、平年並の26個前後の予想です(これまでに発生した1個を含む)。シーズン前半(~7月)は、インド洋全域昇温が北西太平洋の主な台風発生域の対流活動を不活発にする方向に働きます。一方、シーズン後半(8~10月)は、太平洋熱帯域で中立ながらラニーニャ気味またはラニーニャ現象が発生する可能性があり、台風発生域の海面水温は平年より高くなる予想で、こちらは対流活動を活発にする方向へ働きます。このため、今後7月までは、北西太平洋の台風発生数は平年並か少ないものの、8月以降は台風の発生が増え、シーズン全体としての台風発生数は平年並になりそうです。
▼今シーズンの台風発生数の予想の背景
(1) シーズン前半(~7月)は、インド洋の海面水温が高く、フィリピン東海上よりも相対的に高い。
→北西太平洋の主な台風発生域の対流活動が不活発になる方向に働く(参考1/図3)
(2) シーズン後半(8~10月)は、太平洋熱帯域で中立ながらラニーニャ気味またはラニーニャ現象発生の可能性がある。
→北西太平洋(平年より西寄り)で対流活動が活発になる方向に働く(参考2/図4)
◆参考1:インド洋全域昇温
インド洋全域昇温は、インド洋全域で海面水温が平年よりも高くなる現象です。夏の場合、この海面水温の変化に伴い、インド洋では対流活動が活発化する影響で、インド洋からフィリピン近海へ向かうモンスーンが弱くなります。そのため、フィリピン近海の対流活動も弱まり、台風が発生しにくくなります。
◆参考2:ラニーニャ現象
ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より低くなる現象です。東風が平常時よりも強く、太平洋赤道域の西部に暖かい海水がより厚く蓄積します。この影響で、台風発生域の海面水温は平年より高くなり、対流活動がより盛んになります。
◆類似年の台風発生数
1951年以降、エルニーニョ監視海域(NOAA/米海洋大気局)の予想海面水温とインド洋の予想海面水温が、今年の予測と類似している年は、4例(1970、1992、1995、2016年)です。各年の台風発生数は23~31個、平均は26.5個と平年並でした。
類似年と今年の台風発生数(月別・年間)
台風発生数(個) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 |
2020年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | — | — | — | — | — | — | — | — |
2016年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 | 7 | 4 | 3 | 1 | 26 |
1995年 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 6 | 5 | 6 | 1 | 1 | 23 |
1992年 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 8 | 5 | 7 | 3 | 0 | 31 |
1970年 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 6 | 5 | 5 | 4 | 0 | 26 |
平年 | 0.3 | 0.1 | 0.3 | 0.6 | 1.1 | 1.7 | 3.6 | 5.9 | 4.8 | 3.6 | 2.3 | 1.2 | 25.6 |
※2020年は、6月9日現在の発生数です。
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