ニュース
2025年のスギ・ヒノキ花粉はどうなる?ウェザーニューズ「第一回花粉飛散傾向」を発表
花粉飛散量は西・東日本で平年を上回り、西日本では過去10年で最多に匹敵か
〜高温・多照で雄花の生長に適した夏 京阪神では前年比4倍超、香川県では前年比8倍超の予想〜
モバイル/インターネット > 空気気象 >株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:石橋 知博)は、2025年春の花粉シーズンに向け、「第一回花粉飛散傾向」(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)を発表しました。2025年春の花粉の飛散量は西日本と東日本で平年を上回る予想で、特に西日本では過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になる予想です。
花粉の飛散量は前年夏の天候と年ごとの飛散量の増減傾向をもとに予想しています。今年の夏は広範囲で平年より日照時間が多く、全国的に気温がかなり高かったため、花粉の発生源となる雄花の生長に適した天候となりました。このため、飛散量が多くなる「表年」傾向の西日本や北陸、関東北部では、前年比で大幅に飛散量が増えて、特に西日本では大量飛散となるおそれがあります。例年以上の万全な対策が必要です。また、飛散量が少なくなる「裏年」傾向の北海道や東北北部でも平年並の飛散量を予想しているため、油断せずに対策をシッカリと行ってください。
なお、次回の「第二回花粉飛散傾向」は12月上旬の発表を予定しています。
▼「第一回花粉飛散傾向」の一般向けサイト
https://weathernews.jp/s/topics/202409/300075/
2025年「第一回花粉飛散傾向」
<飛散量:西・東日本で平年を上回る予想、西日本は過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ>
2025年春の花粉飛散量は、西日本や北陸、関東北部で2024年を大きく上回り、北日本では下回る地域が多い予想です。西日本では2024年の飛散量が非常に少なかったため、2024年比で800%を超える地域も出てくる見込みで、過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になる予想です。一方、東北北部や北海道では2024年の飛散量が多かったため、2024年比で50%を下回る地域がある予想です。関東南部や甲信、東海の一部では2024年並の飛散量と予想しています。全国平均では2024年比167%となる予想です。
平年(2015〜2024年の平均飛散量)と比べると、西日本・東日本では平年を上回る地域が多く、特に西日本では200%を超える地域もあります。北日本は平年並の地域が多い予想です。全国平均では平年比166%となる予想です。
<飛散量予想の根拠:2024年夏の天候と年ごとの増減傾向>
花粉の飛散量予想は、主に前年の夏の天候と年ごとの飛散量の増減傾向を基に算出しています。2025年の飛散量予想の背景は以下の通りです。
〜広範囲で多照かつ記録的な暑さで、雄花の生長に適した夏〜
前年の夏に十分な日照があり気温が上がるほど光合成が盛んになり、花粉の発生源となる雄花の生長が促される傾向があります。
2024年の夏は日本付近で高気圧の勢力が強まる日が多くなったことで、広範囲で平年より日照時間が多く、全国的に気温はかなり高くなりました。ただ、北日本の日本海側では7月から8月上旬にかけて低気圧や前線の影響を受ける日が多く、日照時間が平年をやや下回る地域がありました。2024年夏の天候は、西日本や東日本、北日本の太平洋側では雄花の生長には非常に適した天候となり、北日本日本海側でも平年並の生長が見込まれる天候だったとみています。
〜西日本や北陸、関東北部で「表年」、北海道や東北北部で「裏年」傾向〜
花粉の飛散量は周期的に増減し、花粉の飛散が多い年と少ない年が交互に訪れる傾向があります。飛散量が多い年を「表年」、少ない年を「裏年」と呼びます。エリアによって増減の周期は異なり、「表年」「裏年」も異なります。夏の天候等の影響で「表年」「裏年」の区別が不明確になる年もあります。
2024年は西日本や北陸、関東北部で飛散量が前年よりも少なくなったため、2025年は飛散量が増える「表年」になると予想しています。特に減少幅が大きかった西日本では2025年は「表年」の傾向が強く表れるとみています。一方、北海道や東北北部は2024年の飛散量が前年・平年よりも多くなったため、2025年は「裏年」の傾向が強くなり、飛散量が減る見込みです。関東南部や東海の2024年の飛散量は天候の影響を受けて表年・裏年が明確には現れませんでした。そのため、2025年も表年・裏年の影響は小さいとみています。
エリア別の2025年花粉飛散傾向
北海道:大量飛散の反動 飛散量は前年比で半減もほぼ平年並2024年の夏は暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年を上回ったところが多く、シラカバの雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年のシラカバ花粉の飛散量は前年、平年を大きく上回りました。このため2025年は飛散量が少なくなる「裏年」になると見込んでいます。2025年春のシラカバ花粉の飛散量は前年の48%、平年の84%となる予想です。前年に比べて飛散量は減少するものの、晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。 | |
東北北部:大量飛散の反動 飛散量は前年比で大幅減も平年を上回る2024年の夏は暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年を上回ったところが多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の花粉の飛散量は前年、平年を大きく上回りました。このため2025年は飛散量が少なくなる「裏年」になると見込んでいます。2025年春の花粉の飛散量は前年の60%、平年の112%となる予想です。前年に比べて飛散量は減少するものの、平年を上回る水準となります。特に晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。なお、東北北部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しません。 | |
東北南部:高温・多照の夏 前年・平年とほぼ同等の飛散量2024年の夏は暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年を上回ったところが多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の花粉の飛散量は前年を下回ったものの、平年を上回りました。過去の飛散傾向と夏の気象条件から2025年は前年の飛散量を上回る県と下回る県が混在し、全体としては前年の飛散量とほぼ同等と見込んでいます。2025年春の花粉の飛散量は前年の96%、平年の128%となる予想です。前年に比べて飛散量は減少する県があるものの、平年を上回る水準となります。特に晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。なお、東北南部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向です。 | |
関東・山梨:高温・多照の夏 飛散量は平年を上回る予想2024年の夏は高気圧が強まる日が多く暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年を上回り、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の花粉の飛散量は前年を下回り、特に北部では減少幅が大きくなりました。一方南部の飛散量は前年をやや下回ったものの表年・裏年の傾向は明瞭ではなく、平年を上回る飛散量でした。2025年春の花粉の飛散量は前年の138%、平年の151%となる予想で、特に北部を中心に前年の反動で飛散量が多くなる見込みです。北部では前年・平年を上回る飛散量となる一方、南部では前年並ではあるものの平年を上回る飛散量となる予想です。晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。 | |
北陸・長野:高温・多照の夏 「表年」傾向で飛散量は大幅増2024年の夏は暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年を上回ったところが多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の飛散量は前年、平年を下回ったところが多くなりました。このため2025年は飛散量が多くなる「表年」になると見込んでいます。2025年春の花粉の飛散量は前年の176%、平年の156%となる予想です。前年よりも飛散量が大幅に増加するとみています。特に晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。なお、北陸エリアではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向です。 | |
東海:高温・多照の夏 飛散量は平年を上回る予想2024年の夏は高気圧が強まる日が多く暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の飛散量は三重県で前年を大きく下回ったものの、その他のエリアでは概ね前年並でした。過去の飛散傾向と夏の気象条件から2025年は前年の飛散量を上回る県とやや下回る県が混在し、全体としては前年の飛散量をやや上回ると見込んでいます。2025年春の花粉の飛散量は前年の112%、平年の140%となる予想です。特に晴れて風の強い日には大量の花粉が飛散するため、シッカリと花粉対策をしてください。 | |
近畿:過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ2024年の夏は高気圧が強まる日が多く暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の飛散量は前年を大きく下回り、平年と比べても下回る地域が多くなりました。このため、2025年は飛散量が多くなる「表年」になると見込んでいます。2025年春の飛散量は前年の302%、平年の213%となる予想です。特に京阪神エリアでは前年の飛散量が平年の半分程度と少なくなったため、前年比で400%超、平年比で200%超となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になる予想です。その他の地域でも飛散量は多くなる予想なので例年以上に対策を万全に行ってください。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するため、より一層の対策をするようにしてください。 | |
中国・四国:過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ2024年の夏は高気圧が強まる日が多く暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の飛散量は前年、平年を大きく下回りました。このため、2025年は飛散量が多くなる「表年」になると見込んでいます。2025年春の飛散量は前年の527%、平年の232%となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する予想です。特に瀬戸内地域では前年の飛散量が非常に少なくなったため、前年比で500%を上回り、800%を超える地域もある予想です。その他の地域でも飛散量が非常に多くなる予想なので例年以上に対策を万全に行ってください。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するため、より一層の対策をするようにしてください。 | |
九州:過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ2024年の夏は高気圧が強まる日が多く暖かい空気に覆われて、気温は平年に比べてかなり高くなりました。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候となりました。また、2024年の飛散量は前年、平年を大きく下回りました。このため、2025年は飛散量が多くなる「表年」になると見込んでいます。2025年春の飛散量は前年の287%、平年の181%となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する可能性があります。前年比では400%、平年比でも200%を超える地域もある予想です。例年以上に万全な対策を行ってください。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するため、より一層の対策をするようにしてください。 |
都道府県別の2025年花粉飛散傾向
エリア | 都道府県 | 花粉飛散量(前年比:%) | 花粉飛散量(平年比:%) |
北海道 | 北海道 | 48 | 84 |
東北北部 | 青森県 | 46 | 92 |
岩手県 | 74 | 146 | |
秋田県 | 67 | 101 | |
東北南部 | 宮城県 | 82 | 134 |
山形県 | 88 | 100 | |
福島県 | 114 | 141 | |
関東・山梨 | 茨城県 | 243 | 187 |
栃木県 | 215 | 198 | |
群馬県 | 181 | 181 | |
埼玉県 | 113 | 115 | |
千葉県 | 103 | 120 | |
東京都 | 90 | 122 | |
神奈川県 | 91 | 127 | |
山梨県 | 95 | 119 | |
北陸・長野 | 長野県 | 117 | 119 |
新潟県 | 136 | 142 | |
富山県 | 208 | 172 | |
石川県 | 272 | 175 | |
福井県 | 201 | 178 | |
東海 | 静岡県 | 91 | 129 |
愛知県 | 139 | 136 | |
岐阜県 | 95 | 136 | |
三重県 | 150 | 164 | |
近畿 | 滋賀県 | 159 | 167 |
京都府 | 471 | 236 | |
大阪府 | 472 | 216 | |
兵庫県 | 453 | 250 | |
奈良県 | 267 | 238 | |
和歌山県 | 208 | 164 | |
中国・四国 | 岡山県 | 538 | 243 |
広島県 | 690 | 256 | |
鳥取県 | 480 | 264 | |
島根県 | 349 | 223 | |
山口県 | 382 | 178 | |
徳島県 | 663 | 253 | |
香川県 | 850 | 244 | |
愛媛県 | 587 | 217 | |
高知県 | 440 | 208 | |
九州 | 福岡県 | 247 | 151 |
佐賀県 | 189 | 168 | |
長崎県 | 218 | 177 | |
大分県 | 410 | 205 | |
熊本県 | 353 | 179 | |
宮崎県 | 340 | 187 | |
鹿児島県 | 342 | 201 | |
全 国 | 167 | 166 |
※ 平年:天候の平年は1991〜2020年の過去30年平均、花粉飛散量の平年は2015〜2024年の過去10年平均
※ 飛散量:花粉観測機「ポールンロボ」が観測すると想定される花粉数。過去のポールンロボの観測データをもとに予想を算出
参考:ウェザーニューズの花粉飛散傾向と観測網について
本プレスリリースでは、これまで「花粉プロジェクト」で蓄積してきた花粉の観測データ、年ごとの飛散量傾向、今夏の天候をもとに来シーズンの花粉飛散傾向を発表しています。また、11月に全国のウェザーニュースアプリのユーザーと花粉の雄花の生長状況を調査する「雄花調査」を実施し、必要に応じて飛散量予想を更新する予定です。なお、「第二回花粉飛散傾向」は、飛散量予想に加えて飛散開始時期や飛散ピークについてまとめ、12月上旬に発表予定です。
ウェザーニューズの「花粉プロジェクト」は、花粉症の方々の役に立ちたい!という想いで、2005年から実施しているユーザー参加型の取り組みです。全国のご家庭や企業などに、独自開発した花粉観測機「ポールンロボ」を約1,000台設置し、空気中に含まれる花粉をリアルタイムに観測します。
ウェザーニューズは、「花粉プロジェクト」の取り組みや花粉飛散傾向の発表、ウェザーニュース「花粉Ch.」での情報発信などを通じて、花粉症の方が少しでも楽に過ごせるよう、サポートを続けてまいります。