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ウェザーニューズ、全国8千人と調査した「減災調査2018」を発表
【減災調査2018】西日本豪雨、「自分は大丈夫」など…84%が避難せず
〜内25%が「避難したくてもできなかった」、判断の遅れと薄い危機感が浮き彫りに〜
モバイル/インターネット > 防災気象 > 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、減災・避難行動における対策・対処の一助とすることを目的に、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を通して「減災調査2018」を実施し、その結果を発表しました(調査期間:8月17日~20日)。全国7,889名の回答をまとめた結果、避難経験率は全国平均で5%となり、最も割合が多かったのは2017年の同調査に続き熊本県、また、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)に見舞われた岡山県・広島県が今回新たに上位に入りました。
西日本豪雨の避難行動の実態を詳しくみると、「自分は大丈夫」「家の方が安全」などを理由に、84%の方が避難しなかったことが判明しました。一方、避難した方の中で、避難の判断が「遅かった」と感じた方は8%程度でしたが、避難しなかった方の回答(避難すべき状況でしなかったや避難したくてもできなかった)を含めると、より早いタイミングでの判断が必要だったと言えそうです。
いざというときに最適な避難行動がとれるように、自分の生活環境で地震や大雨時に発生しそうな災害をあらかじめ想定し、災害別の行動パターンなどを決めておくことが大切です。この機会に、家族や職場の仲間と防災・減災について話すきっかけになればと思います。
なお、本調査の詳細結果は、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」やウェザーニュースウェブサイト「減災調査2018」からご覧いただけます。
▼「減災調査2018」はこちら
アプリ「ウェザーニュースタッチ」をダウンロード後「おしらせ」からアクセス
または
ウェザーニュースウェブサイト「減災調査2018」
https://weathernews.jp/s/topics/201808/300095/
◆避難経験率は全国平均で5%、新たに豪雨被災地の岡山県・広島県が上位に
「避難所に避難したことがありますか?」と質問し、“ある”、“避難すべき状況はあったが、しなかった”、“避難すべき状況が今までにない”から回答いただきました。その結果、“ある”が全国平均で5%、“避難すべき状況はあったが、しなかった”が全国平均で9%となりました。
避難すべき状況に見舞われた経験のある(※1)割合を都道府県別にみると、最も多いのは2017年に続き熊本県(66%)、次いで宮城県(54%)となり、今回新たに岡山県(46%)、広島県(43%)が上位となりました。直近の大きな地震や西日本豪雨に見舞われた県で割合が高くなっています。
※1“ある”“避難すべき状況はあったが、しなかった”の合計
西日本豪雨で死亡が確認された方は、8月21日15時までに221名です(※2)。この内、広島県(108名)・岡山県(61名)・愛媛県(27名)の3県が総死者数の89%を占めています。この3県は、ウェザーニューズが7月に浸水被害報告2万件を分析した調査(※3)でも、特に甚大な浸水被害が発生した地域でした。総死者数が100名を超えるのは1983年に112名が亡くなった「昭和58年7月豪雨」以来のことです。
そこで、ここからは、平成に入って最悪の豪雨災害となった、西日本豪雨の避難行動の実態について、詳しくみていきます。
※2内閣府 非常災害対策本部より
※3浸水被害ビッグデータ分析
/news/23807/
◆西日本豪雨:「自分は大丈夫」など…約8割が避難せず
“ある”または“避難すべき状況はあったが、しなかった”と回答した方に、それが西日本豪雨の事例かどうか伺ったところ、251名の方が該当しました。回答をみると、西日本豪雨の際に「避難すべき状況」と認識していたにも関わらず、実際に避難したのは16%にとどまり、残りの84%の方が避難しなかったことがわかりました。
~避難判断の遅れと薄い危機感、25%は「避難したくてもできなかった」~
「避難所に避難したことがありますか?」の質問で、“(西日本豪雨の際)避難すべき状況はあったが、しなかった”と回答した84%の方に、「なぜ避難しなかったのですか?」と質問しました。“家の方が安全だと思った”“自分の周囲は大丈夫だと思った”“避難する間の道のりが怖かった”“家族を考えると避難できなかった”“その他”から回答(複数回答可)いただいた結果、“家の方が安全だと思った”が最も多く約半数に達しました。夜間に避難指示・避難勧告が出た地域もあったため、避難場所に移動することが危険と判断し、「その場にとどまる」と判断したものと考えられます。
また、避難しなかった方の4割以上が“自分の周囲は大丈夫だと思った”と回答しました。これは、水害は地震災害と比べて危険が迫っていることを感じにくいため、「自分は大丈夫」と考えた方が多くなったのかもしれません。一方、“避難する間の道のりが怖かった”や“家族のことを考えると避難できなかった”など、避難したくてもできなかった方が25%いることがわかりました。
災害の種類や、自宅と避難所との位置関係などによって、最適な避難行動は異なります。いざというときに最適な避難行動がとれるように、自分の生活環境で地震や大雨時に発生しそうな災害をあらかじめ想定し、情報収集ツールの確保や災害別の行動パターンを決めておくことが大切です。
~避難した理由:「自治体からの指示」と「自主判断」で意見分かれる~
西日本豪雨で実際に避難した方(「避難所に避難したことがありますか?」の質問で、“(西日本豪雨の際)ある”と回答した16%)に、「なぜ避難しましたか?」と質問し、“経験上、あるいは教訓で自主判断”、“自治体から指示がでたから”、“周りの人から直接言われたから”、“SNSで危険を感じたから”、“その他”から回答いただきました。その結果、“自治体から指示がでたから”が44%と最も多く、次いで“経験上、あるいは教訓で自主判断”が42%、“周りの人から直接言われたから”が12%となりました。
続いて、「避難したタイミングをどのように感じていますか?」と質問し、“早めに対応できたと思う”“時期相応の判断だったと思う”“もう少し早めに避難すべきだった”から回答いただきました。その結果、“早めに対応できたと思う”“時期相応の判断だったと思う”がそれぞれ46%となりました。実際に避難行動をとった方は、早め早めに判断できたことがわかりました。
避難した方の中で、「遅かった」と感じた方は8%程度でしたが、前述の避難すべき状況でしなかった方や避難したくてもできなかった方を含めると、より早いタイミングでの判断が必要だったと言えそうです。