2025.11.17

ベトナムで24時間雨量が1,000mm超、降水予測の精度振り返り

ベトナム中部では、2025年10月21日から台風24号の接近と北東モンスーンの影響で湿った空気が流れ込み、雨が降りました。その後、台風24号の通過後もダナンからフエにかけて小さな擾乱が残り、暖湿気の収束が継続したことで27日までの約1週間にわたり雨が降り続く結果となりました。

この継続的な大雨の影響で洪水が発生し、13名が死亡または行方不明1となりました。その他、倒壊・損壊した家屋は64軒、浸水した家屋は10万軒を超え、国道をはじめとする道路300箇所以上で土砂崩れが発生しました。また、農業や畜産業にも大きな被害が出ています2

ウェザーニューズで収集している現地情報の一部
ウェザーニューズで収集している現地情報の一部

降水量の精度評価

今回ウェザーニューズは、記録的なこの大雨について、各国が開発した7つの全球モデルの予測を比較しました。

ベトナム気象局によると、最も降水が多かったのはフエ市ナムドンで、10月26日7時から27日7時(UTC)までに1138.6mmの降水を観測しました。 これは、フエ市の1ヶ月の降水量を大きく上回る雨が、24時間で降ったことになります3

10月25日12時(UTC)の時点で、いくつかのモデルで100mm以上の大雨となる可能性を示していました。最も多く降水量を予測していたモデルはアメリカ国立環境予測センターのモデルで、378mmの降水を予測していました。しかし実際には、予測された降水量の3倍近い量の雨が観測されました(図)。

図:各国の気象予測モデルにおける、2025年10月26日6時〜27日6時(UTC)の降水量の比較
モデルのベースタイム:2025年10月25日12時(UTC)
地点:フエ市ナムドン
図:各国の気象予測モデルにおける、2025年10月26日6時〜27日6時(UTC)の降水量の比較 モデルのベースタイム:2025年10月25日12時(UTC) 地点:フエ市ナムドン

ECMWF:ヨーロッパ中期予報センター NCEP:アメリカ国立環境予測センター JMA:日本気象庁 BOM:オーストラリア気象局 CMC:カナダ気象庁 DWD:ドイツ気象局

当社では、高精度の予報を提供するため、ウェザーニューズ独自の予測モデルに加え、他機関のモデルも活用したアンサンブル予報を行い、精度評価を通じて継続的な予報改善に努めています。引き続き、AI気象予測モデルも含め様々な予測モデルの精度検証を重ねることで、モデルの特性を深く理解し、皆様により高精度な気象情報をお届けできるよう努めてまいります。

Footnotes

  1. 1:Post-storm floods devastate crops, homes across northern Việt Nam ↩︎
  2. 2:ウェザーニューズで収集している現地情報の一部は以下の情報を参考に作成しています。出所:X(@mindefsg、2025年10月25日投稿)  https://x.com/mindefsg/status/1981892703333052558, X(@M91Inktats、2025年10月27日投稿)https://x.com/M91Inktats/status/1982693162251649372 ↩︎
  3. 3:フエ市で10月に降る月間降水量の平年値:842.7mm ↩︎