2025.12.18
あなたのビジネスを予報する「ウェザーニューズ 360 Insight」を徹底解説!

皆さんのビジネスにおいて、「天候」がどれほど大きな影響を与えているか、意識したことはありますか?小売店の売上、飲食店の来客数、製造業の電力使用量、アミューズメント施設の来場者数…。これら多くの需要は、気温や降水量、湿度といった気象条件によって大きく変動します。
日頃、「今日は雨だから客足が鈍るだろう」「週末は猛暑になりそうだから清涼飲料水の在庫を増やそう」など、経験と勘に基づいて販売促進や在庫管理を行なっている方も少なくないと思います。ウェザーニューズが開発した「ウェザーニューズ 360 Insight(サンロクマルインサイト)」では、あなたのビジネスと天気の相関を分析し、その効果を見える化することができます。
本ブログでは、「ウェザーニューズ 360 Insight」の基本的な仕組みと具体的な活用方法を、開発者の石田剛氏にわかりやすく解説してもらいました。
「ウェザーニューズ 360 Insight」無料公開中、気軽に試せる気象データのビジネス活用
「ウェザーニューズ 360 Insight」(以下、「360 Insight」)は、「気象×需要予測」を誰でも簡単に行えるように設計したサービスで、このサービスの最大の特徴は、「天気予報を活用することであなたのビジネスに経済効果が見込めるか」を可視化できる点です。
太陽光発電量予測、食品や季節用品の需要など、私たちの身の回りには天気と関連して需要や供給量が変化するものが数多く存在しますが、中には一見相関性が不明なものもあります。しかし、「手元のビジネスデータを使って、これを予測したい」という漠然としたニーズは常に存在していました。
そこで、まずは「気象との相関があるのか」「気象データを使うことで予測精度が向上するのか」を気軽に試せる場を提供したいという思いから、「360 Insight」を開発しました。「天気に関係がありそうだが分析は難しい」と感じ、気象情報の活用に一歩踏み出せなかった方々を含め、 「360度、様々な分野で幅広く使って欲しい」 という願いを込めてこの名前をつけました。本システムは、どなたでも気軽にお試しいただけるよう、Web上に無料で公開しています1。

始め方はとても簡単で、皆さんがお持ちのビジネスデータをウェブ上にアップロードするだけ。AIが自動でデータを分析し、気象情報と相関関係があるかどうか分析してくれます。もちろん、皆さんのデータは保護され、当社が無断で利用・閲覧することはありませんので、ご安心ください。
用意するデータの中身は3種類、①場所、②日時、③分析するデータです。③分析するデータは、売上個数、来客数、発電量など、なんでもOKです。また、①場所は、最大10地点まで同時に分析することができ、②日時は最大2年分まで対応しています。
一点注意点があるとすれば、日時は「1日ごと」あるいは「1時間ごと」で作成し、日時が途中で抜けたりしないように作成してください。
「360 Insight」を徹底解説!分析プロセスと気象データ活用の効果とは
実際にサンプルデータ「練馬にあるパン屋さんの日毎の売上げデータ(2025年1〜10月)」を利用して分析を行ってみたいと思います。
このデータを読み込ませると、2022年5月〜2022年8月(データの約80%)を学習期間として、AIが以下の2種類の予測モデルを自動生成します。
モデルA(カレンダーベース): 気象情報を含めず、時間、曜日、祝日といったカレンダーデータのみとの相関から予測を行います。
モデルB(気象情報連携): カレンダーデータに加え、ウェザーニューズの高解像度な気象データとの相関も加味して予測を行います。
AIによる分析とモデル作成は、1地点の1年分1日ごとのデータであれば、10分程度で完了します。データをアップロードした時に届くメールから、結果を確認してみてください。
結果の画面には次のような情報が表示されます。

精度改善(左): AIが作った2つの予測モデルについて比較し、気象を使った予測モデルを利用した場合、どの程度精度が改善するか表示しています。
最も重要な気象要素(右): あなたのビジネスにとって最も影響の大きな気象要素を表示しています。
今回の場合、Aの予測誤差は6%の誤差であるのに対し、Bは5%程度の誤差に抑えられることがわかりました。
このような結果が出た場合は、③分析データは気温との相関があり、気象情報を使って予測した方が精度が高いということです。つまり、気象情報を活用してパンの生産計画を立てることで、チャンスロスが少なく最適な販売ができるということ。このお店には、気象情報の活用をおすすめしたいですね。
もし、気象との相関がみられない場合は、これらの結果は表示されません。

2023年9月から12月(後半の2割)の期間における、AIが作った予測モデルの結果(A,B)と、売上データを比較してグラフで表示しています。
グラフをズームして詳しくみてみましょう。 アップロードした③分析データ(黒線)に近いのは、気象を使った予測モデル(青線)の方だと感覚的にもわかると思います。
もし、皆さんのお手元に、ご自分で予測した売上の数字があれば、見比べてみてください。天気を使った予測はどれほどの効果がありそうか。はたまた、ご自身で立てた計画の方が精度が高いか、比較することができて面白いと思います。

こちらでは、予測精度を評価する4つの指標で、どの程度AとBの精度に差が出るか示しています。 また、円グラフでは、気温、日射量、風、気圧、降水量が、それぞれどれくらいパンの売り上げに影響しているか分析してくれます。
なお、これらの分析には、全国13,000地点に及ぶ気象観測網に加え、ユーザーからの天気報告や、高解像度の予報など、ウェザーニューズ独自の気象データを利用しています。
感覚から確信へ、「360 Insight」が示すデータドリブンなビジネス戦略
この「360 Insight」では、気象データを活用した場合としなかった場合の予測精度誤差を明確に表示することで、気象データ活用のメリットが一目瞭然となります。さらに、あなたのビジネスにおいて、どの気象要素(気温、湿度、風など)が特に重要であるか、という情報をご提供します。この情報は、今後のビジネス戦略を立てる上で、強力なヒントとなるでしょう。
そして、この分析結果を活用することで、具体的な施策に繋げられます。例えば、来客数が減少すると予測される日に価格設定を見直したり、販促を強化することで売上減少を最小限に抑えることが可能です。その他にも、仕入れ量や発注の最適化、在庫ロスの削減といったサプライチェーン全体の最適化にも役立ちます。
私たちは今後も、高精度な気象情報や需要予測を提供することで、お客様のビジネスをサポートしていきたいと考えています。また、当サービスのグローバル展開はすぐにでも可能です。世界中の皆様に「360 Insight」をご利用いただけるよう、現在準備を進めています。
「360 Insight」をご利用いただくことが、皆さんのビジネスにとって新しい戦略を立てる機会になれば幸いです。ぜひ、自社の実績データやサンプルCSVで一度お試しいただき、ビジネスにおける気象の影響を可視化する最初の一歩を踏み出してみてください。

