2026.01.16

【扇山の山火事】鎮火まで長期戦のおそれ、山林火災の延焼面積は200ha超え

現在山梨県で発生している林野火災は、今もなお鎮火することなく延焼を続けています。延焼範囲は200ヘクタールを超え、2021年の足利火災事例と同規模となりました。




なぜ「鎮火」に至らないのか?現場を阻む3つの壁

11月8日午前中に通報があり発覚した山梨県扇山での火災は、現在も鎮火することなく燃え続け、延焼範囲は約230ヘクタールに拡大しました。ヘリコプターなどによる散水活動が本格化するも、完全な鎮火には至っていません。11日には、民家に30mのところまで近づきましたが、懸命な消化活動と避難が呼びかけられており、現在けが人の発生はありません。

完全な鎮火に至らない理由は気象的な観点から3つ上げられます。

1つ目は強風です。発生直後の強い風が火を煽り、一気に尾根伝いに広がりました。火災発生後も、冬型の気圧配置の影響で、強い風が吹き続け、延焼範囲は広がり続けています。

2つ目は極度の乾燥。1月3日以降、扇山周辺では降水が確認されておらず、冬の乾燥した空気で地面の落ち葉がカラカラになっており、火が燃え移りやすい状態にありました。火災発生後も降水はなく、消化活動による散水のみが火の勢いを抑える唯一の手段となっています。

3つ目は急峻な地形です。扇山は斜面が急で地上からのアプローチが難しく、消火活動が空からの散水に頼らざるを得ないため、時間がかかっています。また斜面の傾きが大きいことで、延焼速度をさらに加速させていると言えます。




今季最強の冬型の気圧配置で今後も乾燥状態が継続、新たな山火事の発生にも注意

ウェザーニューズの予報センターによると、目先2週間は山梨県東部におけるまとまった降水の予報はなく、雨や雪による鎮火の効果は見込めない状況です。また、一部の予報モデルでは、26日に低気圧の通過を示唆しており、雪の降る可能性がありますが積雪するほどの降雪量は見込んでおりません。

なお、21日以降は今季最強の冬型となる予報で、関東甲信では空気の乾燥が顕著かつ強風となる見込みですので、新たな山火事の発生にも注意が必要です。

1月17日14時ごろの予報(1月16日17時時点)
1月17日14時ごろの予報(1月16日17時時点)



「林野火災発生リスク」で林野火災の発生危険度と延焼危険度を可視化

ウェザーニューズは、法人向け気象情報サービス「ウェザーニュース for business」で山火事の発生や延焼のリスクを可視化したコンテンツ「林野火災リスク」を提供しています12

本サービスは、林野庁のシステムを基盤に独自改良を加えたもので、全国を1kmメッシュという高解像度で分析し、72時間先までの状況を1時間ごとに予測します。具体的には、落葉などの乾燥具合から出火のしやすさを判定する「発生危険度」と、風速や地形データから燃え広がる速さを算出する「延焼危険度」の2つの指標を、主に自治体や消防機関を対象に提供します。

1月7日時点の予報では、8日に扇山周辺で林野火災リスクが「高い」と発表しているとおり、非常に危険度が高かったことがわかります。

1月8日10時ごろの林野火災リスク「発生危険度」の予報(1月7日10時時点)
1月8日10時ごろの林野火災リスク「発生危険度」の予報(1月7日10時時点)

当社は引き続き、林野火災リスクの提供を通して、根拠に基づいた「林野火災注意報・警報」の発令やパトロールを実施できるよう、消防関係者の意思決定を支援していきます。また、万が一の発生時には、延焼リスクの高い場所を事前に特定することで、消火活動の優先順位付けや住民の避難誘導といった迅速な意思決定を支援し、山火事による被害の軽減に貢献していきます。

Footnotes

  1. 1:法人向け気象情報サービス「ウェザーニュース for business」 ↩︎
  2. 2:火災の発生・延焼危険度を可視化した「林野火災リスク」 〜火事のリスクを減らし、命と自然を守りたい〜 ↩︎