2026.01.23

冬の雷の威力は夏の数百倍、落雷による事業停止を防ぐ、各社が実践する雷対策とは

雷といえば夏をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、日本において本当に警戒すべきは「冬の雷」です。 北陸・日本海側を中心に発生する冬季雷は、発雷日数が夏を上回るだけでなく、一撃のエネルギーが夏の数百倍に達することもあります。その破壊力は、工場の操業停止やスポーツ現場での事故など、企業の事業継続を揺るがす甚大なリスクとなります。 本記事では、夏と冬の雷の決定的な違いから、日本海側で激しい雷が発生するメカニズム、そしてビジネスを守る最新の対策ソリューションまでを詳しく解説します。




実は冬が本番、「冬季雷」の威力は夏の数百倍

雷の発生についてですが、関東で「雷のメッカ」といえば栃木県宇都宮市が有名で、年間の発雷日数は約26.5日です。一方で、北陸の金沢市は年間で約45.1日もあり、全国的に見ても非常に多いことがわかります。

また、グラフを見ると宇都宮は7月から9月にかけての夏場に多いのに対し、金沢は12月や1月といった冬場に集中しています。どちらも雲が湧き上がる現象には変わりありませんが、発生場所や要因が異なるため、日数や季節に違いが現れています。

宇都宮と金沢の月別の雷日数
宇都宮と金沢の月別の雷日数


夏と冬の雷雲の違いについてですが、冬の雷は夏の雷よりも雷の発生回数が多いことがわかっています。夏の雷は雨雲を発達させる材料が多いため、雲の背が非常に高くなるのが特徴です。一方、冬の雷はいわゆる「筋状の雲」が列をなしており雲が面的に広がることで発雷の回数が増えます。

夏と冬の雷のもう一つ大きな違いは、そのエネルギーです。 夏の雷雲の雲底は2kmほど、それに加えて雲は12〜13kmほどの高さに発達します。 一方、冬の雷雲の雲底は低く、雲の高さから地上までは1km以下、低い場合には、地上まで約300m〜500mしか離れていません。雲から地上の距離が近い分、冬の雷のエネルギーは夏の雷の数百倍に達することもあり、強さは圧倒的に冬の雷の方が強いと言えます。




なぜ冬の雷は日本海側に多いのか?

特に新潟〜福井にかけては激雷地区とも言われているのですが、なぜ冬の雷は日本海側に集中しているのでしょうか。

冬の積乱雲というのは、日本海を流れる対馬海流の相対的に暖かい海面に、シベリアからの冷たい空気が流れ込むことで、水蒸気が盛んに供給されて発生します。この雲は、発達しながら季節風によって日本海側に運ばれてくるため、冬の雷は日本海側に多いのです。

また、日本海側で雷をもたらした雲が太平洋側にくることはないのか、と心配になるかもしれませんが、日本海側でひとしきり雪や雷もたらした雲は、次第に勢力が弱まったり、山にぶつかって小さくなっていきます。そのため、太平洋側に来る頃には乾燥した風になっていて雷を伴う雨雲として山を超えてくることはありません。




万博やフジロックで利用、「ウェザーニュース for business」の落雷予測でカミナリ対策

近年、スポーツ中の落雷事故や、落雷によって工場が10日間も操業停止に追い込まれるなど、落雷による甚大な被害が後を絶ちません。ウェザーニューズでは、こうした気象リスクから「命」と「ビジネス」を守るため、法人向け気象情報サービス「ウェザーニュース for business」の中で「落雷リスクモニタリング」を提供しています1

近年の落雷被害
近年の落雷被害

雷対策で最も重要なのは、「いつ、どこでリスクが高まっているか」をいち早く察知することです。

当サービスでは、独自予測に基づいた「発雷リスク」に加え、最新の落雷実況を提供しています。最大の特徴は、お手元のスマートフォンへ直接プッシュ通知が届く点です。 屋外作業中やイベント運営中など、PCを確認できない環境下でも、手元で即座にリスクを確認し、避難や作業中断の判断を下すことが可能です。

また、目先の落雷リスクを「現在落雷のリスクなし」「1時間警戒」「1時間以上警戒」 の3段階で伝えており、落雷の予測で現場の意思決定も支援しています。例えば、スポーツイベントの中断・中止および再開判断や、製造現場における停電や瞬時電圧低下への備え、自家発電への切り替えおよび雷サージ対策に活用されています。

大阪・関西万博では、落雷に関する緊急放送や来場者の退避誘導に活用されました。落雷リスクが高まった際には、直ちに緊急放送を実施し、誘導を担う警備隊へ来場者の退避誘導を指示するとともに、関係者に雷対応のオペレーションを実施するよう連絡しました。マップ上に監視エリアの円が描かれて、落雷の発生位置を把握しやすく、今後の落雷リスクの見通しを立てる際にも活用されました2

大阪・関西万博では、落雷リスクが高まった際には直ちに緊急放送を実施し、誘導を担う警備隊へ来場者の退避誘導を指示するとともに、関係者に雷対応のオペレーションを実施するよう連絡しました。マップ上に監視エリアの円が描かれて、落雷の発生位置を把握しやすく、今後の落雷リスクの見通しを立てる際にも活用されました2

本サービスは、自動車に搭載されるプリント配線板を製造する日本シイエムケイ株式会社の工場3や、野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」の運営事務局でも利用されています4

落雷を警戒すべき範囲は、業種によって異なります。送電線沿いを重点的に監視する、雨雲の移動方向に合わせ拠点の西側を広く設定するなど、本サービスでは、ユーザーごとに監視エリアをカスタマイズすることも可能です。

当社は引き続き、高解像度かつ高精度な気象情報を活かし、ニーズに沿ったサービスの開発に取り組んでまいります。





Footnotes

  1. 1:法人向け気象情報サービス「ウェザーニュース for business」の落雷リスクモニタリングについて ↩︎
  2. 2:導入事例:万博来場者の安全を守り抜く184日間の危機管理、落雷と熱中症の最新情報で万全に備える/公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 ↩︎ ↩︎
  3. 3:導入事例:工場への雷接近を高精度でモニタリング、瞬低データ解析に基づく落雷リスク通知で停電対策の判断スピード向上/日本シイエムケイ株式会社 ↩︎
  4. 4:導入事例:音楽やアウトドアを楽しめる野外フェスで来場者の安全を守るため、標高1000mで気象センサーが活躍/フジロックフェスティバル運営事務局 ↩︎