2026.02.27

この桜、いつ咲く?つぼみを撮るだけで開花日がわかる「桜AI開花予想」開発の裏側

少しずつ春の足音が近づき、桜の開花が待ち遠しい季節になってきました。 毎年ニュースでは「今年の桜の開花は〇日頃」と報じられますが、それはあくまで各都道府県にある「標本木」を基準としたもの。 「毎日通る通勤路のあの桜はいつ咲くんだろう?」「近所の公園でお花見をしたいけれど、見頃はいつ?」と、自分にとって一番身近な桜のスケジュールが気になったことはありませんか?

そんな皆さまの「知りたい!」に応えるため、ウェザーニューズが「桜AI開花予想」を開発しました。スマホで桜のつぼみを撮影して送るだけで、なんとその木独自の開花日をAIが予測してくれます。

写真を送るだけで、なぜ開花日がピンポイントでわかるのか。今回は、この「桜AI開花予想」がどのようにして生まれたのか、開発の経緯や裏側に秘められた思い、そしてAIの精度を高めるための工夫について、予報センター開発担当の木村文哉氏に話を聞きました。




桜リポートは200万通、膨大なデータをユーザーに還元したい

ウェザーニューズ 予報センター 木村文哉氏
ウェザーニューズ 予報センター 木村文哉氏

ウェザーニューズでは2004年から、全国のアプリユーザーとともにつぼみの段階から桜の生長(せいちょう)を見守る「さくらプロジェクト」を実施してきました。近くの公園や通勤路など、ユーザーにとって一番身近な桜を『マイ桜』として登録していただき、日々届く画像(リポート)は開花予想の精度向上に活用しています。

これまでに寄せられた桜リポートは、なんと200万通以上。この貴重な観測データをもっと有効活用し、ユーザーの皆さんに還元したいという強い思いがありました。




AIの画像解析技術と1kmメッシュの高解像度予報で開花・満開日を独自に算出

そこで私たちは、アプリユーザーから届いた『マイ桜』の画像と開花日に関する膨大なデータを学習させた唯一無二のAIを作りました。

このAIを使えば、ユーザーが撮影した桜のつぼみの写真から、桜が開花するまでのステージを「まだ小さく硬い」「先が黄色に」「先が緑に」「半分以上が緑に」「先がピンクに」「花びらが見えた」「花の軸が伸び切った」の7段階で判定することができるのです。

ウェザーニューズが昨年リリースした「桜AI開花予想」では、AIが判定したつぼみのステージに、1kmメッシュの高解像度な独自データを掛け合わせることで、独自の開花予想日を算出します。ちなみに、つぼみがまだ硬く、2週間以上開花する見込みがない場合は、同県内の標本木の開花予想日を表示します。

今年は新たに、つぼみのステージ判定へ「開花」のカテゴリを追加し、より正確な8段階での判定が可能になります。また、「開花予想日」と共に、AIによるステージ判定を踏まえた“この桜の満開予想日”を桜の見頃としてお知らせできるよう、機能をアップデートする予定です。




6000枚超の画像をプロがチェック!精度向上のための徹底したデータ作り

今回、桜のステージ判定の精度を高めるために、学習データの作成とAIのテストには多くの時間を費やしました。

まずは社内ツールを新たに開発し、桜開花予想のプロである予報センターの担当者たちが、AIに学習させる6000枚を超える画像を1枚ずつ目視でチェック。画像とステージを正確に紐付け、質の高い学習用データを整備しました。

また、昨年リリースした本サービスには、ユーザーがAIの判定結果を評価できる機能をつけていました。「判定結果に違和感がある」とフィードバックされたものだけを集め、改めて予報センターの担当者が画像を再チェック。AIの間違いを人の手で丁寧に修正し、正しいデータとして再学習させるアップデートを行いました。

さらに今年もより多くの方に楽しんでいただけるよう、複数モデルの検証を行い、より精度の高いAIモデルへと切り替える改善も実施しています。




「枝先3cmと背景」がカギ!開花予想日の精度がぐんと上がる撮影のコツ

予報チームの桜担当さんたちと検証を重ねる中で、AIが苦手とする画像の特徴が見えてきました。 「桜の木全体が写るような引きの画角」「背景に他の草花が映り込んでいる」「ピントが合っていない」といった画像は、正しく判定できない傾向にあることがわかったのです。

これは、どうやら枝がはっきり写らず桜のつぼみを認識できなかったり、背景にある他の植物の緑を桜のつぼみと勘違いしてしまったりするのが原因のようです。

そこで、“AIの失敗”に詳しい開発担当の僕から、うまく判定させるための撮影のコツをご紹介します!

・枝先にピントを合わせ、つぼみを1つ、はっきり撮影する ・背景に他の植物(緑色やピンク色のもの)が写らないようにする

上記の2点を気をつけることで、桜開花予想の精度がぐんと上がります。

撮影する時は、枝先3cmが画面に収まるくらいまで桜に近づき、判定させたいつぼみにピントを合わせてみてください。つぼみの数は多くても問題はありませんが、複数つぼみがあるとつぼみによってランクが異なることもあります。その時は、一番特徴がはっきりしているものを代表して判定します。

もし、背景に別の植物が入り込んでしまう場合は、反対側から撮影するなど角度を少し工夫してみてください。また、夜間でもフラッシュのライトがあれば判定が可能です。

ウェザーニューズでは引き続き、皆さまから寄せられたたくさんの情報と最新技術を掛け合わせ、桜の季節をより一層楽しんでいただけるような新しいコンテンツ開発に取り組んでいきます!