2026.03.16

日本最大級、全国1,400箇所の桜の開花を予想、ユーザーの写真と高精度なデータから算出する独自開花ロジックとは

春の訪れを告げる桜の開花。早咲きの桜は満開から葉桜へと変化し、ソメイヨシノの開花が待ち遠しい季節になりました。

ウェザーニューズが発表した最新の情報によると、今年の桜の開花一番乗りは東京で「3月19日」。平年よりも早い春の訪れとなりそうです。

ウェザーニューズの桜開花予想を支えているのは、単なる気象データの計算結果ではありません。 全国のアプリユーザーの皆さんと共に歩んできた、一本の桜の木をつぼみから満開、葉桜までの生長を見守る「さくらプロジェクト」の取り組みが大きな役割を果たしています。

なぜ、ウェザーニューズは全国1,400箇所もの地点において、ピンポイントで正確な開花日を導き出せるのか。本記事では、ウェザーニューズ独自の開花予想についてインターネット事業部の大迫氏に解説してもらいました。




全国のアプリユーザーと共に作る桜開花予想、「マイ桜」の写真は累計200万通を突破

ウェザーニューズ インターネット事業部 大迫七海氏
ウェザーニューズ インターネット事業部 大迫七海氏

ウェザーニューズの開花予想を語る上で欠かせないのが、2004年から続く参加型企画「さくらプロジェクト」です。

これは、全国のアプリユーザーの皆さんが近所の桜を「マイ桜」として登録し、つぼみが膨らみ、開花し、葉桜になるまでの過程を継続的にリポートしてもらう取り組みです。

これまでに寄せられた桜のリポートは、実に累計200万通を突破。この膨大な報告こそが、開花予想の基盤となっています。

一般的な開花予想は、過去の気温データや気象シミュレーションに基づいた「計算」が主軸です。しかし、ウェザーニューズではそこに、全国からリアルタイムで届く「今のつぼみの状態」を掛け合わせます。

ユーザーの皆さんから届く写真によって、「計算上はこのくらいの生長のはずだが、実際はもっと進んでいる」といった微細なズレを修正。AIが写真を解析し、つぼみの生長段階を細かく判定することで、理論値ではない「現実の桜の動き」に即した予想が可能になるのです。

ユーザーの皆さんの力に加え、ウェザーニューズ社内でも徹底した実況観測が行われています。開花の約1ヶ月前から、気象のプロたちが毎日欠かさず実施しているのが、「標本木(ひょうほんぼく)」の定点観測です。

開花が近づくと、東京の標本木を社員が毎日交代でつぼみの先を観察し、その変化を記録し続けます。 この観測の様子は、社内SNSを通じて全社員に毎日報告されています。

「つぼみの先がピンク色になりました!」 「もうすぐ開花しそうです!」 といった実況に対し、予報センターだけでなく営業や開発のスタッフも一緒になって桜の開花を心待ちにしています。




全国約1,400地点の桜はいつ咲くか、ユーザーの写真と高精度データを掛け合わせた独自ロジックで開花を予想

ウェザーニューズは、全国の標本木と桜の名所1,400地点について、ピンポイントで桜の開花予想を発表しています。この予想において重要なのは、「気温の傾向・推移」「休眠打破」「桜の実況」の3つのポイントです。

まず、桜の開花予想を行う上で重要なのが、気温の推移です。開花まで2週間以上ある場合は、長期予報の平均気温をみながら予想を行い、桜の開花まで近くなると、天気はもちろん平均気温や最高気温を注視します。

2025年の東京では、3月以降暖かい日が多く、つぼみの生長は進みましたが、開花直前になると気温の低くなった日が続いたため、開花日を修正しました。このように、つぼみが生長していても、気温は開花日に大きく影響するため、開花直前の気温傾向は重視しています。



次に重要なのは、桜のつぼみが目覚める「休眠打破(きゅうみんだは)」のタイミングです。

桜は冬に一定期間、厳しい寒さにさらされることで初めて、春に向けて生長を始めるスイッチが入りますが、実は、休眠打破のスイッチが入る基準(気温傾向)は地域によって異なります。

日本海側では冬型の気圧配置で寒気の流れ込む日が多く、休眠打破が起こりやすくなります。一方、太平洋側では、寒気の強まる日が少ない年の場合、特に鹿児島などは休眠打破のスイッチが入らない年があり、いくら開花直前の気温が高くなっても開花が遅くなることがあります。 このように、地域ごとに年末からの気温傾向を調べ、今年は休眠打破のスイッチが入ったか分析を行います。



最後に注目するのは、先にご説明した桜のつぼみの観察です。

ウェザーニューズでは、社員による標本木の観察や全国のアプリユーザーさんから届く桜の写真を参考にすることで、計算上の開花日と実態の乖離を丁寧に見極めています。現在のつぼみの状態と最新の気象情報と照らし合わせ予想を修正し、桜開花予想の完成となります!




今回、予報センターの桜担当の有岡さんにもお話を伺ったところ、いろいろなお話を聞くことができました。

(予報センター有岡さんのコメント)

長年桜の開花を見守っていると様々な桜の特徴を知ることができます。

実は、全国の気象官署などで観測されている「標本木(ひょうほんぼく)」の中には、樹齢を重ねて老化が進んでいるものもあります。老齢の木は若木に比べて早めに目覚める傾向があり、400度ルールや600度ルールが必ずしも全国の標本木にバッチリと当てはまるわけではありません。1本1本の桜と向き合って、開花の予想を行っています。

また、現在は気温を参考に開花日を予想していますが、日照時間や風の影響も少なからずあるのではないかと想像しています。同じ気温でも風の強さによって私たちが感じる体感温度も変わるように、桜の木が感じている体感温度も風の強さによって変わってくると思うのです。




250mメッシュの超高解像度、どこよりも細かく桜の開花を予想

ニュースや新聞で扱われる「桜の開花」は各都道府県の「標本木」の開花日を予想したものですが、街にはたくさんの桜があります。「家の近くの桜はいつ咲くんだろう?」と、身近な桜がいつ咲くのか心待ちにされている方が多いのではないでしょうか。

ウェザーニューズでは、皆さんにとって身近な桜がいつ咲くのか、をお伝えするために、業界最高レベルの250mメッシュという超高解像度データを活用した開花予想も提供しています。

桜の「開花」「満開」「桜吹雪」エリアを250m単位でマップ表示し、桜前線の動きを14日先までは1日ごと、その後は3日ごとに最長1カ月先まで見ることができる「桜レーダー」は、スマホアプリ「ウェザーニュース」のレーダー画面やウェブからもご覧いただけます🌸1

他にも、桜のつぼみの写真を撮るだけで、その桜がいつ咲くのかAIが予想してくれる「桜AI開花予想」というコンテンツもありますので、桜の開花を待つ時間をお楽しみください。




ウェザーニューズの桜開花予想は、私たち気象のプロだけで作っているものではありません。 毎日欠かさず「マイ桜」を見守り、変化を届けてくださる全国のサポーターの皆さんの存在があって初めて、この桜の開花予想が完成します。

今年の東京の開花予想日は3月19日。

つぼみがほころび、街がピンク色に染まるその瞬間まで。そして、ひらひらと舞い散る葉桜の季節まで。 今年も皆さんと一緒に、美しい桜の生長を見守っていけることに、心から感謝申し上げます。

Footnotes

  1. 1:桜の見頃エリアがひと目でわかる「桜レーダー」 ↩︎