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ウェザーニューズ 2012年の「ゲリラ雷雨傾向」発表
“ゲリラ雷雨”の発生回数、昨年と同じかやや多く、ピークはお盆休み頃
~ 宮城県では240回と昨年の1.5倍、大都市圏の東京・大阪も昨年よりやや多めの見込み ~
株式会社ウェザーニューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、突発的かつ局地的に大雨や雷をもたらす“ゲリラ雷雨”に対し、事前対策への意識を高め、被害を少しでも減らしていけるよう、7月~9月における“ゲリラ雷雨”の発生傾向を発表しました。“ゲリラ雷雨”に起因とする事故は全国で発生しています。突然の激しい雷雨をもたらす雨雲は、局地的に急発達しますが、既存の気象観測機では、スケールの小さい気象現象を捉え、予測することは困難と言われています。“ゲリラ雷雨”の発生が多くなるこの時期、一人ひとりの減災意識を高め、被害軽減に繋げることが必要とされています。
“ゲリラ雷雨”の発生傾向
急激に発達する“ゲリラ雷雨”は、大気の状態が不安定なときに、地上付近での局地的な加熱や地上風の収束などによって上昇気流が形成され、そこで積乱雲が急発達することによって発生します。
記録的な猛暑になった2010年は、太平洋高気圧が非常に強く、大気の状態が安定しており、“ゲリラ雷雨”の発生回数は少なくなりました。一方、昨年2011年は太平洋高気圧の勢力が強弱を繰り返す状況で、勢力が弱い時期に発生回数が多くなりました。今年も、昨年と同じように太平洋高気圧の勢力の強弱があり、勢力が弱まるお盆頃は全国的に“ゲリラ雷雨”が発生しやすくなる見込みです。また、夏期を通しての発生回数は、昨年と同じかやや多くなる傾向にあり、東京都では120回程度、大阪府では160回程度の予想で、大雨災害に見舞われた九州では、熊本県で260回程度と昨年の1.3倍と予想されています。
太平洋高気圧の勢力は、7月最終週は強まりますが、8月上旬から段々と弱まり、“ゲリラ雷雨”が発生しやすい傾向になります。8月中旬は更に高気圧が弱まることに加え、上空に寒気が流れ込むため、大気の状態が不安定となり、全国的に大規模な“ゲリラ雷雨”が発生する可能性があります。“ゲリラ雷雨”のピークとなるお盆休み頃には、山沿いだけでなく、市街地でも雷雨が多くなる予想なので、お出かけや旅行の際は突然の雨に注意が必要です。特に、屋内にサッと避難することが難しい、海や山などのアウトドアのレジャーは天気の急変に十分注意する必要があります。8月下旬になると太平洋高気圧が再び強まり、9月上旬にかけて“ゲリラ雷雨”は発生しにくくなります。その後、9月中旬に入ると数日おきに前線や低気圧の影響を受けます。事前に予測可能な雨であるため、“ゲリラ雷雨”ではありませんが、強い雨には注意が必要です。
7月中旬に大雨災害に見舞われた九州も、“ゲリラ雷雨”の発生回数は昨年と同程度かやや多くなる見込みです。急な河川増水の恐れがあるため、特に決壊した堤防付近では、最新の情報を参考に万全な対策を心がける必要があります。また、東北太平洋側では発生回数が240回程度と、昨年の1.5倍と予想されています。震災の影響で地盤沈下が大きいところは、浸水や冠水の恐れがあるので、同様に最新の情報を確認し、事前の対策が重要です。
15都道府県における“ゲリラ雷雨”発生傾向

15都道府県における“ゲリラ雷雨”発生傾向
“ゲリラ雷雨”発生回数の求め方
“ゲリラ雷雨”をもたらす雷雲は、予め予測可能な前線による雨とは別で、“突発的”かつ“局地的” に発達し、事前に予測することが難しいのが特徴です。また限られた数しか設置されていないアメダスでは、全ての降雨を正確に観測できないのが現状です。当社では、全国100万人以上の利用者からなる降雨報告において、“ザーザー”以上の強い雨 (5段階中の2番目以上に強い雨)が報告された中で、前線等の影響による雷雨(事前予測ができていた雨雲)を除き、当日の朝の時点で予測できていなかった雷雨を“ゲリラ雷雨”とし、10kmメッシュごとにカウントしています。昨年の発生回数は7月22日〜9月30日の期間で算出した数字です。
“ゲリラ雷雨”傾向について
当社では、日々、長期気象予測サービスの実用化に向けて取り組みをおこなっていますが、現在の気象予測の技術水準では、予測精度の誤差が大きくなる場合があります。この度の“ゲリラ雷雨”の傾向発表にあたり、気象機関や長期予報の有識者の複数の見通しを元に、総合的に見解を出しています。本リリースにおける情報は、発表日における最新の見解です。