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2012年のスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ

花粉飛散量、九州では平年の3割増、全国では1割減を観測

~ 飛散開始が平年より遅く、全国的に約4日短い花粉シーズンに ~

株式会社ウェザーニューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、全国的にスギ・ヒノキの花粉シーズンの終了を迎え、一般の方と共に展開した「花粉プロジェクト2012」における花粉症及び、花粉飛散傾向のまとめを発表しました。内容は、花粉症に悩む一般の方や企業、病院などの協力のもと、全国1,000箇所に設置している花粉観測機「ポールンロボ」にて計測された花粉飛散量と、その周辺エリアに住む花粉症の方30,708人の症状をまとめた結果です。本発表は、スマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」、ウェザーニューズのインターネットサイト(https://weathernews.jp/)、携帯サイト(https://wni.jp)にて確認する事ができます。

今シーズンのスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ

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花粉飛散数、西日本を中心に平年より多く、佐賀県では平年の約2倍
シーズンを通して全国の飛散量は、過去5年平均(平年とする)の90%前後で、昨シーズンの半分程度の飛散となりました。ただ、西日本では平年並みか、やや多い飛散量となった所が多く、九州では平年より飛散量が多くなりました。その要因として、2012年の春は、九州など西日本は晴れて気温が上がる日が多く、雨が少なかったため、花粉が飛びやすい日が多くなったと考えられます。また、一度飛散した花粉が、夜の間に上空から地上付近に落ち、雨で洗い流されることなく再び風にのって飛散したことも要因の一つに考えられます。東〜北日本では、飛散量が平年並か、やや少なくなった所が多く、東海では平年より30%ほど飛散量が少なくなりました。花粉が大量飛散した昨シーズンと比べると、九州では少ない県でも昨シーズンの60%程度、多い県では昨シーズンの90%程度となり、西日本を中心に昨シーズンの40~70%、東〜北日本では昨シーズンの50%前後となりました。

花粉シーズン、全国的に開始・終了が遅れ、平年より期間は“短め”

2011年から2012年にかけての冬は強い寒気が流れ込んで、全国的に寒くなりました。このため、全国的に花粉の飛散開始が遅く、スギ花粉は2月上旬からとなりました。寒気の影響が比較的少なかった九州南部では平年より数日遅くなった程度でしたが、全国的には8日ほど遅く、東海などでは約2週間遅くなった所もありました。
スギ花粉の飛散ピークは、九州や四国では3月上旬~中旬、その他の西日本や東海、関東では3月中旬~下旬の所が多くなりました。北陸や東北では、3月下旬頃に一時的に寒さが緩んで飛散量が増え始め、3月末~4月中旬に飛散のピークとなりました。
一方ヒノキ花粉は、3月末の寒さが緩んだタイミングで九州・四国から一気に飛散し始めました。その後、本格的に春らしくなってきた4月中旬以降、風が強い日や晴れて暖かい日に近畿、東海、関東などでも飛散量が増加し、近畿や東海で大量飛散となった所もありました。今シーズンは花粉飛散開始が8日ほど遅れたのに対し、飛散終了は、昨年と同様5月中旬になったところが多く、全国では平年と比べて4日ほどの遅れに止まったため、平年より約4日短い花粉シーズンとなりました。

花粉症の症状、西日本ほど“辛い”割合が多い結果に

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花粉症の症状については、昨シーズンは“非常に辛い“または“辛い”と答えた症状の重い方が全国平均で28%だったのに対し、今シーズンは23%とやや緩和された結果になりました。北〜東日本は昨シーズン29%の方が症状が重いと感じたのに対し、今シーズンは20%となり、昨シーズンの方が辛いと感じた割合が多くなりました。一方、西日本をみていくと、昨シーズンは27%、今シーズンは24%となり、北〜東日本と比べると、昨シーズンと同じように辛くなりました。西日本では、昨シーズンよりもむしろ症状が重い方の割合が増えている県もありました。以上のことから、花粉飛散量が減ってはいても大幅な症状緩和とまではいかなかったようです。

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※飛散数:花粉観測機「ポールンロボ」が観測した花粉の都道府県別の平均を示す
※北海道はシラカバ花粉の飛散量。沖縄県は目立った花粉の飛散がないため除く
※症状は、各県の本格花粉シーズン開始日からシーズン終了までに、花粉症の方に花粉症の症状を“非常に辛い”“辛い”“やや辛い”“大丈夫”から選択してもらい、“非常に辛い”“辛い”との回答した方の割合をまとめた結果

※花粉シーズン開始日/終了日:敏感な人が症状が出始める花粉飛散数10個/日を超えた日/飛散がなくなった日
※本格花粉シーズン開始日/終了日:花粉症の症状が出始める花粉飛散数30個/日を超えた日/飛散がなくなった日
※北海道は、まだピークが訪れていないため一部空欄

各エリアの見解

北海道 20120613_1_03
北海道のシラカバ花粉は4月終わり頃から飛散し始め、徐々に飛散量が増加しています。特に5月中頃からは晴れて気温が上がる日が多くなり、飛散量が多くなっています。現在はすでにシラカバ花粉のピークを越えつつありますが、6月中頃まではまだ飛散量が多くなる日があるため、引き続き注意が必要です。また、5月末時点での症状は昨シーズンよりも緩和されています。飛散量は昨シーズンの30%程度になる予想ですが、引き続き対策が必要です。
東北北部 20120613_1_04
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。このため、過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、30~70%程度の飛散量となりました。
3月中旬までは寒い日が多く、飛散量は少ない日が続きました。ただ、3月下旬には一時的に寒さが緩み、特に3月末~4月はじめは低気圧の影響で風が強まったため、大量飛散となった日がありました。さらにその後は、春本番の暖かさの日が増えて、4月上旬~中旬にスギ花粉飛散のピークとなりました。
また、花粉の飛散量が少なかった分、昨シーズンより症状が緩和された方が多かったようです。
東北南部 20120613_1_05
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、30~60%程度の飛散量となりました。
3月中旬までは寒い日が多く、飛散量は少ない日が続きました。ただ、3月下旬には一時的に寒さが緩み、特に3月末~4月はじめは低気圧の影響で風が強まったため、大量飛散となった日がありました。さらにその後は、春本番の暖かさの日が増えて、3月末~4月上旬にスギ花粉飛散のピークとなった所が多かったようです。また、花粉の飛散量が少なかった分、昨シーズンより症状が緩和された方が多かったようです。
北陸・甲信北部 20120613_1_06
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ない程度となり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、40~50%程度の飛散量となりました。
3月中旬までは寒い日が多く、飛散量は少ない日が続きました。ただ、3月下旬には一時的に寒さが緩み、特に3月末~4月はじめは低気圧の影響で風が強まったため、一気に花粉の飛散量が増加し、今シーズンの花粉飛散のピークとなりました。その後、4月中旬には春らしい陽気の日が多くなり、定期的に花粉の飛散量が多くなりましたが、顕著な大量飛散はなく、5月に入ると飛散量が少なくなりました。また、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなりましたが、症状はやや緩和された程度でした。
関東 20120613_1_07
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、30~40%程度の飛散量となりました。
2月になっても寒い日が多く、飛散量が少ない日が続きましたが、寒さが緩んだ日に飛散量が多くなり、その後は強風の影響で、気温が低くても飛散量が増加しました。スギ花粉の飛散ピークは3月中旬~下旬で、その後は次第にヒノキ花粉へ移行しました。また、3月末には非常に強い南風が吹いて気温が上がったため、スギ・ヒノキ花粉ともに飛散量が非常に多くなりました。その後、4月になると次第に春本番の暖かい日が増えて、度々ヒノキ花粉の飛散量が増加しました。
なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなったため、症状は緩和されましたが、昨シーズンとあまり大きな変化がなかった県もありました。
東海・甲信南部 20120613_1_08
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、30~60%程度の飛散量となりました。
2月になっても寒い日が多く、飛散量が少ない日が続きましたが、寒さが緩んだ日に飛散量が多くなり、その後は強風の影響で、気温が低くても飛散量が増加しました。スギ花粉の飛散ピークは3月中旬で、その後は次第にヒノキ花粉へ移行しました。4月になると次第に春本番の暖かい日が増えて、度々ヒノキ花粉の飛散量が増加しました。
なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなりましたが、症状はやや緩和された程度で、昨シーズンとあまり大きな変化がなかった県もありました。
近畿 20120613_1_09
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、40~70%程度の飛散量となりました。
2月になっても寒い日が多く、飛散量が少ない日が続きました。3月に入る頃には寒さが緩んだ日に飛散量が多くなり、その後は強風の影響で、気温が低くても飛散量が増加しました。飛散量が多い日・少ない日を繰り返しながら、徐々にスギ花粉が飛散していきました。4月になると雨上がりで気温が上がった日にヒノキ花粉が大量飛散し、ヒノキ花粉は4月中旬にピークを迎えました。なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなりましたが、症状はやや緩和された程度で、昨シーズンとあまり大きな変化がなかった県や、昨シーズンより辛くなった県もありました。
山陰 20120613_1_10
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べると平年並みか、やや多くなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、50~70%程度の飛散量となりました。
2月中は寒さの影響で飛散量が少ない日が続き、飛散開始が遅れました。3月になっても寒い日が続きましたが、寒さが緩んだタイミングで徐々に飛散量が多くなり、スギ花粉の飛散のピークは3月中旬~下旬となりました。また、4月中旬になると春本番の暖かい日が増え、度々ヒノキ花粉の飛散量が増加し、4月中旬~下旬をピークに飛散ました。
なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなりましたが、症状はあまり変化がなかったようです。
山陽 20120613_1_11
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べるとやや少ないか、平年並みとなり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、40~60%程度の飛散量となりました。
2月になっても寒い日が多く、飛散量が少ない日が続きました。3月に入る頃には寒さが緩んだ日に飛散量が多くなり、その後は強風の影響で、気温が低くても飛散量が増加しました。飛散量が多い日・少ない日を繰り返しながら、徐々にスギ花粉が飛散していきました。4月になると雨上がりに晴れて風が強まった日や、春本番の暖かい日にヒノキ花粉が大量飛散し、ヒノキ花粉は4月上~中旬にピークを迎えました。
なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなった分、症状も緩和されたようです。
四国 20120613_1_12
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べると平年並みか、やや多い飛散量となり、大量飛散だった昨シーズンと比べると、40~70%程度の飛散量となりました。
今シーズンは寒さの影響で飛散開始が遅れていましたが、3月になって寒さが緩んだタイミングで飛散量が急に増加し、その後は強風の影響もあって、気温が低くても飛散量が増加しました。3月末以降は次第に暖かい日が増えていき、強風も影響してヒノキ花粉の飛散量が増加し、3月末~4月上旬にピークを迎えました。
なお、花粉の飛散量は昨シーズンより少なくなりましたが、症状はあまり緩和されなかったようです。
九州北部 20120613_1_13
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べると平年並みか、平年より多い飛散量となり、昨シーズンと比べると、60~90%程度となりました。
今シーズンは寒さの影響で飛散開始が遅れていましたが、他のエリアよりも寒気の影響を受けにくく、晴れて気温が上がった日が多くなりました。このため、全国的に見ても花粉が飛びやすく、平年並みの飛散量になったものと考えられます。
特に3月上旬や3月末~4月はじめには、寒さの緩みや強風によって、花粉の飛散量がいっきに増えました。この時期がそれぞれ、スギ・ヒノキ花粉の飛散ピークとなりました。
なお、花粉の飛散量が昨シーズンよりやや少なくなった分、症状も昨年よりやや緩和されたようです。
九州南部 20120613_1_14
今シーズンは統計的に花粉量が少ない年(裏年)にあたりましたが、前年の夏は暑い日が多く、花粉の発生源となる雄花の生育には適した条件でした。過去5年平均(平年)と比べると平年並みか、平年より多い飛散量となり、昨シーズンと比べると、60~90%程度となりました。
今シーズンは寒さの影響で飛散開始が遅れていましたが、他のエリアよりも寒気の影響を受けにくく、晴れて気温が上がった日が多くなりました。このため、全国的に見ても花粉が飛びやすく、平年並みの飛散量になったものと考えられます。 特に3月上旬や3月末~4月はじめには、寒さの緩みや強風によって、花粉の飛散量がいっきに増えました。この時期がそれぞれ、スギ・ヒノキ花粉の飛散ピークとなりました。
なお、花粉の飛散量が昨シーズンよりやや少なくなった分、症状も昨年よりやや緩和されたようです。