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2秒毎に津波を観測・捕捉するTSUNAMIレーダー設置完了

津波発生を早期伝達し、被害軽減を支援する
「TSUNAMI Radarcast」の運用を開始

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、津波被害軽減を目的として、津波を観測・捕捉する「TSUNAMIレーダー」を開発し、東北~北関東地方の太平洋沿岸がほぼ監視可能となる計9箇所に設置が完了しました。
3月1日より、TSUNAMIレーダーが捉えた津波観測情報を港湾での作業、海上工事などを行う事業者を対象にいち早く伝達し、職員の避難行動、誘導の促進による津波被害の軽減にお役立ていただく「TSUNAMI Radarcast」の運用を開始しました。

沖合30km、到達15分前に津波を捉える「TSUNAMIレーダー」

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TSUNAMIレーダー設置箇所
(3月5日現在)

TSUNAMIレーダーは、海底地震発生時に生じる海面の変動=津波を捉えるものです。捕捉可能範囲は沖合約30キロで、津波のスピードは海底の地形や水深で変化しますが、時間に換算すると沿岸に到着する最大15分前に捕捉することができます。また、2秒に1回の観測が可能で、津波発生から到達するまで津波をリアルタイムに観測し続けることができます。
当社では、東日本大震災の津波発生時に太平洋沿岸を航行していた海上保安庁の巡視船「まつしま」に搭載された船舶衝突防止用レーダーが津波を捉えたことをきっかけに、「レーダーで津波を捕捉する」取り組みを開始しました。
現在東北~北関東地方の太平洋沿岸9箇所(八戸、宮古、釜石、大船渡、仙台、相馬、小名浜、日立、鹿島)に設置が完了し、東北地方太平洋沿岸で発生する津波をほぼカバーします。当社内では、24時間体制の監視も開始しています。
現在TSUNAMIレーダーは東北~北関東地方太平洋沿岸のみの設置ですが、今後は日本全国に展開する予定です。

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福島県小名浜に設置した
TSUNAMIレーダー
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TSUNAMIレーダーが
津波を捉える仕組み

観測した津波を迅速に伝える「TSUNAMI Radarcast」

このたび提供を開始する「TSUNAMI Radarcast」は、TSUNAMIレーダーが捉えた観測情報をインターネット、モバイルのメールサービス(フィーチャーフォン、及びスマートフォン)を通じていち早く伝達し、職員の避難行動、誘導の促進による津波被害の軽減などを支援いたします。
当社では、「TSUNAMI Radarcast」を東日本大震災の復旧・復興に携わる企業、自治体の皆様にご利用いただく予定です。
今回の対象エリアは、TSUNAMIレーダーが設置されている、東北地方~北関東太平洋沿岸地域(青森、岩手、宮城、福島、茨城)ですが、TSUNAMIレーダーの展開にあわせ順次提供エリアを拡大します。東海・東南海・南海地震時など、今後大規模地震・津波が発生する可能性が高いと言われるエリアも対応していく予定です。
また、今回はインターネット、モバイルでの提供ですが、東日本大震災発生時には通信網が途絶えたことにより、情報が正確に伝わらなかったという課題がありました。その教訓を活かし、震災発生時でも情報を確実に伝達できる通信網を利用した情報提供の準備も進めていきます。

東日本大震災の復旧・復興支援への取り組み

当社では東日本大震災発生後すぐに特別プロジェクトを立ち上げ、復旧・復興を支援する様々なアクションを起こしました。仙台空港へ離発着する航空機の安全性と就航率をより高めるために、当社が独自に開発した超小型の気象レーダー「WITHレーダー」を設置して監視の強化実施や、既存の気象観測ネットワークが機能しなくなった地域には、50台の気象観測機「WITHセンサー」を設置し、被災地の方々の生活を継続的に支援しました。
一方復旧・復興に携わる方々が最も懸念されていることが「津波」であり、沿岸作業者に対して迅速に津波情報を伝えることでした。当社では、このたびのTSUNAMIレーダー、TSUNAMI Radarcastの取り組み開始により、沿岸作業者の更なる安全確保に寄与できると考えています。