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ウェザーニューズ、今年の台風傾向を発表

インド洋の高温とエルニーニョ現象終息で台風発生数は少なめに

〜台風1号発生が遅い理由は?インド洋の高温で遅れる台風、18年ぶりの記録に〜

 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、例年なら遅くても5月に1号が発生している台風がまだ発生していないことを受け、台風発生が遅れている理由と今シーズンの台風傾向を発表しました。台風発生が遅れている理由としては、インド洋の海面水温が平年より高い影響で、台風の主な発生域であるフィリピンの東海上で太平洋高気圧が強まり、例年より積乱雲が発生しにくい状況になっていることが考えられます。今後、インド洋の高温傾向はさらに続く見込みで、これに加え、太平洋赤道域では夏にラニーニャ現象が発生する可能性が高まっています。過去、このように夏にインド洋の海面水温が高く、エルニーニョ現象の終息後にラニーニャ現象が発生した年は台風発生数が平年より少ない傾向があり、今シーズンも同様の傾向となる可能性があります。発生数が少なくても、日本に接近・上陸する台風が少なくなるとは限りません。今シーズンも台風の動向に十分な注意が必要です。ウェザーニューズは社会活動に甚大な影響をもたらす台風や熱帯低気圧の動向を今後も注視して参ります。


◆台風1号まだ発生せず、6月以降の発生は18年ぶりの遅さ

図1:インド洋の高温とフィリピン付近の対流活動の関係
図1:インド洋の高温とフィリピン付近の対流活動の関係

 5月31日現在、台風はまだ発生しておらず、台風1号の発生が6月以降となるのは、1998年以来18年ぶりです。台風が発生しにくい原因として、インド洋の高温によって台風の発生域で積乱雲が発生しにくくなっていることが考えられます。
 現在、インド洋では平年より海面水温が高い状態が続いており、海から盛んに水蒸気が供給されて対流活動が活発になっています(図1:①)。盛んに上昇気流が発生しているインド洋に空気を送り込む風の流れが強化され、フィリピンの東海上で北東風が強まります(図1:②)。この影響で台風の主な発生域であるフィリピンの東海上では太平洋高気圧が平年より強まり、台風のもととなる積乱雲が発生しにくい状態(図1:③)となっています。

◆今シーズンの台風発生数は平年より少ない予想

 台風の発生数は海水温に大きく影響され、今シーズンの傾向は以下の通りと見込んでいます。
  ・春にエルニーニョ現象が終息し、夏にはラニーニャ現象が発生
  ・インド洋の海面水温が高い状態が続く(図2参照)
過去に同様のパターンだった年は台風発生数が平年より少ない傾向が見られたことから、今年の台風発生数は平年より少ない可能性があります。
 春〜夏にエルニーニョ現象が終息し、かつ、夏にインド洋の海面水温が高かった年は、1951年の統計開始以来4シーズン(2010年、1998年、1992年、1983年)あり、1992年以外は台風の年間発生数が平年(約26個)より少なくなっていました。さらに、夏にラニーニャ現象が発生したのは2010年と1998年で、それぞれの年間発生数は14個および16個と、平年の6割程度でした(表1参照)。
 台風の年間発生数が少ない傾向であっても、日本に接近・上陸する台風が少なくなるとは限りません。今シーズンも台風の動向には十分注意が必要です。

図2:季節予報モデルによる2016年6〜8月の海面水温平年偏差予測(出典:ECMWF)
図2:季節予報モデルによる2016年6〜8月の海面水温平年偏差予測(出典:ECMWF)
上記の図はcreative commons CC BY-NC-ND4.0に基づき表示しています。
表1:エルニーニョ現象が春~夏に終息し、夏にインド洋の海面水温が平年より高かった年の台風発生数(月別・年間)
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