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ウェザーニューズ、北極海の海氷傾向2016を発表

北極海の海氷域面積は観測史上5番目に小さくなる予想

〜北極海航路は北東・北西共に8月下旬に開通見込み〜

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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2016年の北極海の海氷傾向を発表しました。北極海の海氷面積は今年3月に同時期としては観測史上最小を記録し、現在もこの時期としては観測史上最小に近い面積となるペースで融解しています。ただ、東シベリア海などで広範囲に厚い海氷がある影響で、夏には融解がペースダウンする見込みです。今年9月の最小海氷域面積は480万km2となる予想で、1979年の観測開始以来5 番目に小さい面積となる見込みです。また、今シーズンの北極海航路は、ロシア側の北東航路、カナダ側の北西航路共に8月下旬に開通し、その後10月初旬まで海氷域に入ることなく通航可能となる見通しです。北極海の商業航海や資源開発の動きは年々活発になっており、ロシアのNSRA(The Northern Sea Route Administration)によると、今年、ロシア側の北東航路の通航許可を得た航海数はすでに340を超え、昨年と同様のペースとなっています。船舶の安全運航において海氷はリスクになるため、詳細な海氷情報へのニーズが高まっています。ウェザーニューズでは、北極海の海氷を観測する超小型独自衛星“WNISAT-1R”を今年打ち上げる予定で、北極海航路の安全運航を支援する“Polar Routeing Service”をさらに強化していきます。

◆9月には観測史上5番目に小さくなる予想、北極海航路は北東・北西共に8月下旬開通へ

海氷域面積の推移(年別)
海氷域面積の推移(年別)

 北極海の海氷域面積は、毎年3月にその年の最大、9月には最小となります。今年3月には同時期の面積として観測史上最小となる1,390万km2を記録しました。これは、北極の海氷が夏の融解期のみならず、冬の結氷期においても減少傾向であったことを示しています。その後も、北極海の海氷は同時期の観測史上最小か、最小に近い面積となるペースで融解しています。
 今後も海氷の融解は進み、沿岸域から徐々に開水域が広がっていく予想です。ただ、東シベリア海などでは広範囲に厚い海氷があり、そこでの融解があまり進まないことから、夏には融解がややペースダウンする見込みです。その結果、9月の海氷域面積は、観測史上5番目に小さい約480万km2となる予想です。
 今シーズンの北極海航路は、ノボシビルスク諸島周辺の海氷の融解によって北東側が、カナダ多島域の海氷の融解によって北西側が、共に8月下旬に開通する見通しで、その後、10月初旬まで通航可能な状態が続く見込みです。
※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。


北極海の海氷分布(2016年6月28日時点)と 過去の航路開通期間(緑色部分) および2016年の予想開通期間(赤・黄色部分)
北極海の海氷分布(2016年6月28日時点)と過去の航路開通期間(緑色部分)
および2016年の予想開通期間(赤・黄色部分)

表:北極海の海氷域面積の記録
20160630-4

◆北極海航路の安全運航を支援する“Polar Routeing Service”
 〜今秋、北極海の海氷を観測する超小型独自観測衛星“WNISAT-1R”打ち上げへ〜

航海気象チームから提供される コンテンツサンプル
航海気象チームから提供される
コンテンツサンプル

 1979年の統計開始以来、北極海の海氷面積は長期的に減少傾向で、北極海航路の活用が注目を集めています。北極海を安全に通航するためには海氷のリスクを避けることが不可欠で、ウェザーニューズの航海気象チームでは2011年より、北極海を通航する船舶への運航支援サービス“Polar Routeing Service”を行っています。北極海を通航する船舶および運航会社向けに、ウェザーニューズのグローバルアイスセンターが解析した海氷の分布や密度に関する情報に加え、航路上の気象・海象(風向、風速、波、気圧など)情報、航海気象チームのリスクコミュニケーターから対応策情報を提供しています。
 また、今年は北極海の海氷分布を観測する超小型独自衛星“WNISAT-1R”を打ち上げる予定です。今後は本衛星から詳細な海氷データを得ることで、北極海航路の安全運航を支援する“Polar Routeing Service”をさらに強化していきます。