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1月14〜16日、記録的寒気による広島・京都・三重の積雪について
1.はじめに
2017年1月14日から16日にかけて、日本列島に非常に強い寒気が流れ込み、日本海側だけでなく太平洋側の市街地でも大雪となりました。京都市や広島市では記録的な積雪となり、この積雪の影響で東海道・山陽新幹線は大幅に遅れ、中部国際空港や広島空港では、滑走路の積雪により航空便の遅延や欠航が発生しました。また、15日はアメダス地点の半数で今季最低気温を観測し、岩手県奥州市では観測史上1位(-16.5度)を記録しました。
2.雪の様子
14日未明から16日にかけて、北〜西日本の日本海側を中心に雪が降り続きました。日本海側だけでなく、愛知県や三重県、京阪神や瀬戸内の市街地でも14日未明から15日午後にかけて雪が降り、広島で19cm、京都で14cmの積雪を記録しました(表1)。
当社はより多くの積雪情報を得るため、全国のウェザーリポーターと積雪調査を実施しました。
14日5時30分から16日10時にかけて、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」のユーザーに「積雪の状況は?」と質問しました。全国23,994人の回答(“積雪無し”、“芝生にうっすら”、“道路にうっすら”、“道路にしっかり”から選択)から、日本海側だけでなく、東海地方西部や滋賀県、京都府、山陽地方でも“道路にしっかり”と積雪していることがわかりました(図1)。
また、積雪をより定量的に把握するため、14日6時から17日0時にかけて、「積雪の深さは?」と質問し、定規で測っていただきました。全国6,911人の回答から、アメダスの観測機器のある都市だけでなく、他にも局地的に積雪しているところがあることがわかりました(図2)。
太平洋側の広い範囲で既にピークを越えた16日にも、三重県北部からは依然多くの報告が寄せられ、四日市市からは積雪40cmを超える報告も届きました。名古屋市や津市など近隣の市街地からは晴れ間の報告もあり、アメダスでもほとんど積雪は増えていなかったことから、四日市市付近の限られた範囲で、局地的に積雪が増加したと言えそうです。
14日から16日にかけて、雨や雪に関する写真付きのウェザーリポートが全国から46,274通届きました。特に15日は報告が多く、京都府と広島県から通常の3倍を超えるリポートが寄せられました(図3)。
図3:1月15〜16日、雪のウェザーリポート
当社は局地的な積雪について把握するため、アメダスの積雪深とウェザーリポーターからの情報を合わせて独自の解析積雪深マップを作成しました。観測情報にウェザーリポートを加えることで、より正確に状況を把握することが可能になりました(図4)。
3.雪の要因
3-1. 記録的に強い寒気
1月8日から9日にかけて本州の南岸を低気圧が通過した後、日本付近では冬型の気圧配置が続いていました。13日頃からは日本の東海上で低気圧が発達し、また、大陸で高気圧が強まることにより、日本付近では等圧線が南北に数多く並ぶ、強い冬型の気圧配置になりました(図5左)。それに伴って、日本海側の上空約3,000mに-24度以下の非常に強い寒気が流れ込みました(図5右)。
また、WITHレーダーの観測から、セル状の非常に発達した積乱雲が日本海から上陸しつつ発達する様子や、太平洋側へ移動していく様子が見られました(図7)。上空の強い寒気の影響で大気の状態が不安定になり、積乱雲がより発達しやすくなっていたことが推測されます。
3-2. 太平洋側への流れ込み
雪雲が太平洋側へ流れ込むことで、京都や広島では15日の未明から昼頃にかけて、1時間あたり1〜5cmの積雪の増加がありました。特に広島では、15日の7時、8時と連続して1時間に+5cmと積雪が急激に増加しました(図8)。
ウェザーニューズの解析雨量によると、15日6時、日本海から島根県西部を通って広島市付近へと伸びる帯状の強い降水帯が見られます(図9左の点線)。この付近では、朝鮮半島の地形の影響と見られる風の収束(図9右の点線内、日本海上の赤い部分)が解析されています。この風の収束によって雪雲がより発達していたと考えられます。
京都では広島ほどの積雪の急激な増加はありませんでしたが、北西から北北西の風により雪雲の流れ込みが継続し、積雪が増加しました。
また、名古屋では最大4cmの積雪深(アメダス)でしたが、その南西側の四日市市では40cm以上もの積雪となりました(ウェザーリポート)。冬型気圧配置における東海地方西部の降雪は、若狭湾付近から流れ込む雪雲によってもたらされるため、全体的な風向きによって降雪の場所が変わることが知られています。名古屋市や岐阜市を中心に雪が降る際は、全体的な風向が西北西、四日市市を中心に降る際は北西から北北西となることが多いとされています。今回は全体的に北西の風向であった時間が長かったため、名古屋市よりも四日市市周辺で降雪が多くなりました(図10)。
4. まとめ
2017年1月14日から16日にかけて、日本付近に非常に強い寒気が流れ込み、日本海側だけでなく、京都市や広島市などの太平洋側の市街地でも積雪するところがありました。アメダスの積雪深観測のない四日市市でも40cm以上の積雪があったことが、ウェザーリポートからわかりました。
この期間、上空約3,000m付近で記録的に強い寒気が流れ込んでいたため、大気の状態が不安定になり、雪雲が発達しやすくなっていました。また、広島市付近には風の収束線が解析され、そこでの雲の発達も寄与していたと考えられます。一方、京都市や四日市市付近の積雪は、上空の風が丹後半島沖や若狭湾からの雪雲が流れ込みやすい北西から北北西で継続したことが要因と思われます。
当社は、全国のウェザーリポーターから寄せられる報告をいち早く予測に反映し、共有することで被害軽減に努めています。Wx Filesは今後同様の災害を少しでも減らすことを目的としています。