TOP > NEWS > 2018

ニュース

ウェザーニューズ 、「北極海の海氷傾向2018」を発表

北東航路はまもなく開通、北西航路は9月中旬に開通する見込み

航海気象 >

株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2018年の北極海の海氷傾向を発表しました。今夏の北極海の北東航路(ロシア側)は8月下旬、北西航路(カナダ側)は9月中旬に開通する見込みです。海氷域面積は、2010年代としては平均的なペースで融解が進んでおり、最小面積は観測史上6番目、昨年と同程度の440万㎢となる見込みです。今年は、北極海で生産された液化天然ガスのLNG船による輸送が本格的になり、北極海航路の定常的な利用が進んでいます。当社は、独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の観測結果を既存衛星画像と組み合わせ、観測データが少ない北極海の海氷分布をより正確に把握することで、船舶の安全運航の支援を強化していきます。


北極海の海氷傾向2018

北極海の海氷域面積は例年、冬季の2〜3月に年間最大、夏季の9月に年間最小となります。2018年の冬季における海氷域面積は、年間最大時の面積が観測史上最小を記録した2017年の冬季と同程度の大きさになりました。その後の融解のペースは例年並で、8月現在、北極海の海氷域面積は約630万㎢となっています。9月中旬までは融解が進み、最小期には440万㎢程度まで面積が減少する見込みで、2017年冬〜夏季の傾向と類似しそうです。

北極海の海氷分布(2018年8月13日時点)と過去の航路開通期間(緑色部分)および2018年の予想開通期間(赤・黄色部分)
今夏の最小期の海氷面積のイメージ (今年と面積が類似傾向にある2017年の最小期。AMSR2を用いた独自解析画像)

現在、ロシア側の北東航路の状況は、航路域の中心にあるラプテフ海では融解が進んで、ほぼ開けた状態にありますが、その東に位置する東シベリア海では海氷が多く残っており、航行が困難なエリアとなっています。これは、東シベリア海の海域で冬季に成長した定着氷が融解によって崩れたことで生成された厚い流氷が、今もこの付近に多く残っていることが影響していると考えられます。

今後、9月中旬の最小期に向けて海氷の融解は進み、北東航路は徐々に開通に向かいますが、開通時期は東シベリア海で海氷の融解が遅れることで、8月下旬と遅くなる見込みです。

また、カナダ側の北西航路については、アラスカの北に位置するボーフォート海の融解が進んでいますが、カナダ多島海に海氷がまだ多く残っており、融解に時間がかかるため、開通時期は9月中旬となりそうです。

※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。

2012年以降の海氷域面積推移(年別) ※2018年8月以降の点線は予想
現在の海氷の様子 (2018年8月13日、海氷域面積は約630万㎢。AMSR2を用いた独自解析画像)
北極海の海氷の夏季の最小面積(小さい順)

 

本ニュースをプリントアウトしてご覧になりたい方はこちら