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ウェザーニューズ、「北極海の海氷まとめ2019」を発表

夏の記録的な暑さで観測史上2番目に小さい海氷域面積を記録

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2019年の北極海の海氷に関する振り返りを発表しました。北極海の海氷域面積は、毎年2〜3月に最大、9月に最小になります。今夏の北極域は記録的な暑さとなり、ラプテフ海からビューフォート海では観測史上最速のペースで海氷域が減少しました。また、9月に観測された年間最小面積は396万km2で、これは観測史上2番目に小さい海氷域面積となりました。
 今シーズンの北極海航路の開通期間は北東航路(ロシア側)が8月20日から10月21日で、これまでで最も遅い日まで開通(※)した年になりました。また、北西航路(カナダ側)は、9月1日から9月29日にかけて3年ぶりに開通しました。
 アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路を選択すると、輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができます。当社は2011年より、北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを提供しています。2019年は13航海をサポートし、船舶がスエズ運河経由で航行した場合と比較して、約1.25万t-CO 2の排出量削減に貢献しました。今後も北極海航路における船舶の安全運航を支援するとともに、CO 2排出量削減にも注力していきます。

※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。

 

図1:北極海航路の開通期間および2019年9月17日(年間最小日)の海氷分布
(左)北東航路、(右)北西航路

夏の記録的な暑さの影響で観測史上最速で海氷が融解

 今夏は北極域で記録的な暑さとなったことで、海氷の融解スピードが速まりました。カリフォルニア大学によると、北緯70度以北における8月の平均気温は過去40年間で最も高く、6月と9月の平均気温も過去2番目に高くなりました。この影響で、海氷の融解は例年以上に進み、特にラプテフ海からビューフォート海では観測史上最速のペースで海氷域が減少しました。

図2:2012年以降の海氷域面積の推移

 表1:北極海の海氷域面積の記録

数値は最新の方法で再計算しており、過去に発表したプレスリリースと値が異なる年があります。

 今年は3月12日に年間最大面積1,427万㎢、9月17日に年間最小面積396万㎢を記録しました。年間最小面積は北極海上で発生した巨大な低気圧の影響で最小となった2012年8月の記録に次いで、1979年の観測開始以来2番目に小さくなりました。

2019年3月12日(年間最大日)の海氷分布
2019年9月17日(年間最小日)の海氷分布


 北東航路(ロシア側)の開通は、2018年より10日程早い8月20日となりました。この開通状態が10月21日まで2ヵ月間続き、今年はこれまでで最も遅い日まで開通した年となりました。これは、温暖化の影響で気温だけでなく海水温も上昇し、結氷が遅れたことが要因として挙げられます。一方、北西航路では、3年ぶりにカナダ多島海域の海氷が融解し、9月1日に開通が確認できました。開通期間は9月29日まで1ヵ月程続きました。


ウェザーニューズは北極海航路の安全運航をサポートし、CO 2削減にも貢献

 近年、北極海で生産された液化天然ガスのLNG船による輸送が活発になっているほか、北極海航路の定常的な利用が進んでいます。アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路の航路距離はスエズ運河経由の約 2/3、喜望峰経由の約 1/2 となるため、航海を通じて輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができます。
 当社は2011年より、北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを提供しています。2019年は13航海をサポートし、船舶がスエズ運河経由で航行した場合と比較して、約1.25万t-CO 2(※)の排出量の削減に貢献しました。

※IMOガイドライン(MEPC .1/Circ.684)に基づいて算出。


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