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ウェザーニューズ、第二回花粉飛散傾向を発表
来春の花粉シーズンは2月初めの到来予想
~飛散のピークは、西〜東日本は2月下旬〜3月中旬、北日本は3月中旬からの予想〜
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区 代表取締役社長:草開千仁)は11月26日、2016年の花粉シーズンにおける全国の“スギ・ヒノキ花粉飛散”傾向を発表しました。本発表は、花粉症に悩む方がシーズンの花粉傾向を把握し、早めの対策に役立てていただくことを目的としています。2016年のスギ・ヒノキ花粉は、2月初めから関東や九州を中心に飛散が始まる予想です。その後、2月中旬にかけて東海や近畿など東〜西日本の広範囲で飛散が始まり、3月中旬にかけて飛散エリアは東北へ拡大していく見込みです。飛散開始後、7~10日間程で飛散が本格化し、3月中には西〜東日本の広範囲で飛散のピークを迎えそうです。また、ヒノキ花粉のピークは3月中旬~4月上旬の予想です。2016年シーズンの花粉飛散量は、全国的に平年より少なめの予想ではありますが、西日本では2015年の約1.5〜2倍となるため、油断はできません。花粉症には早めの対策が効果的なので、飛散開始の2週間前までを目安に準備しておくことをおすすめします。
来春の飛散時期傾向
〜飛散開始時期〜
スギの雄花は、冬の寒さで休眠から目覚め、寒さがピークを過ぎて次第に暖かくなると、花粉を飛ばし始めます。
花粉の飛散開始時期に影響する12月末〜2月の気温は、北日本ではほぼ平年並、東〜西日本では高めとなる予想です。2016年のスギ・ヒノキ花粉の飛散開始時期は、全国的に平年並のところが多くなる見込みですが、東海や四国(太平洋側)、九州では平年よりやや早めとなるところもありそうです。
早ければ2月初めには九州や関東で飛散が始まるところがあり、2月中旬には東海や西日本の広範囲、2月下旬には北陸や東北でも飛散が始まる予想です。
ただ、飛散開始時期は1月末以降の暖かくなるタイミングに大きく左右されるため、花粉シーズンが近づいてから再度、最新の情報をご確認ください。なお、ウェザーニューズでは、冬の天候(2015〜2016年)を加味して花粉の飛散開始時期を予想しています。また、飛散状況については花粉観測機『ポールンロボ』を使用し、1日に10個の花粉を観測した日が2日以上あった場合にそのエリアの飛散開始と定義し、発表していきます。
〜飛散ピーク時期〜
九州や四国で2月末~3月初め、中国地方や近畿、関東、東海で3月上旬~中旬、北陸で3月中旬~下旬、東北で3月下旬~4月上旬にスギ花粉の飛散がピークとなる見込みです。スギ花粉のピークが過ぎた後は、桜の花が咲く頃にヒノキ花粉の飛散が増え、九州や四国では3月中旬~下旬、中国地方や近畿、関東、東海では4月上旬~中旬にヒノキの花粉飛散量がピークとなる予想です。
来春の飛散量の傾向
2016年のスギ・ヒノキ花粉シーズンの花粉飛散量は、ほぼ全国的に平年(2008〜2015年平均)より少なくなる予想で、平年比が90%以上となる山形県や岩手県でも平年を上回る量の花粉が飛ぶことはない見込みです。ただ、風が強い日や雨の降った翌日などには一時的に花粉の飛散が増える可能性があり、注意が必要です。
平年より少ない予想ではありますが、昨シーズンの花粉飛散量が少なかった九州北部や四国では2015年比が約1.5〜2倍となる見込みで、2015年に症状が軽かったとしても油断はできません。
花粉症対策は早めに始めるほど効果が出やすく、飛散開始の約2週間前を目安に始めるのが良いと言われています。2月以降は次第に花粉の飛散量が増えていく予想のため、1月から対策を始めるのがおすすめです。
〜全国の花粉飛散量予想〜
ウェザーニューズでは、①スギ・ヒノキ林の活性度、②2015年夏の天候、③年ごとの飛散量傾向(飛散量が多い表年・少ない裏年の関係)、④『雄花リポート』を加味して、花粉の飛散量を予想しています。
①スギ・ヒノキ林の活性度
花粉飛散予測には、衛星データから得られた全国の森林における雄花の生長状況も参考にしています。今回用いたのは、千葉大学環境リモートセンシング研究センターと共同で研究を進めてきた「光合成有効放射吸収率(植物が光合成に有効な波長の光を吸収する割合;FPAR)」から解析した森林の活性度を示す指標で、この値が高いほど植物は光合成を活発に行い、スギの雄花が多くなると考えられます。この指標を用いて解析した結果、2015年夏の森林の活性度は、北日本や東日本で前年と同程度か低くなり、西日本では前年より高くなりました。このことから、2016年の花粉飛散量は、北~東日本では2015年と同じくらいか少なめ、西日本では2015年より多めとなる傾向があると考えられます。
②2015年夏の天候
一般的に、よく晴れて暑い夏ほど植物の光合成が盛んになり、雄花の生産量が多くなるという理由から、スギ・ヒノキ花粉の発生源となる雄花の生産量は前年の夏の天候との相関が高いと言われています。(北海道のシラカバ花粉も同様。)
2015年の夏は、北〜東日本は太平洋側を中心に晴れて暑い日が多くなりましたが、西日本では中四国~九州を中心に曇りや雨の日が多く、晴れて暑い日が平年より少なくなりました。北〜東日本は広範囲で雄花の生育に適した天候でしたが、西日本は九州など西のエリアほど雄花の生育に不向きな天候となりました。
③年ごとの飛散量傾向
花粉の飛散は多い年と少ない年が交互にやってくることが多く、花粉が多く飛散する“表年”の翌年は、飛散量が減少する“裏年”となる傾向があります。
2016年の花粉シーズンの北海道や西日本は“表年”となり、2015年より花粉の飛散量が増加する見込みです。一方、東北や東日本は“裏年”となり、周期的にも前年より飛散量が少なくなる傾向があります。ただ、近年の九州では“表年”“裏年”の飛散量の増減があまり明瞭ではなく、“表年”“裏年”による増減より、夏の天候に大きく影響される傾向があります。
④雄花リポート
ウェザーニューズには、 ウェザーリポーターと呼ばれる全国900万人の会員から、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を通して、天気や植物などに関する様々なリポートが1日に2〜3万通寄せられます。今回の花粉飛散予想では、ウェザーリポーターと花粉の発生源となるスギ雄花を調査した『雄花リポート』(11月6日~16日実施)を活用しています。『雄花リポート』によると、北〜東日本を中心に雄花の量は「昨年と同じくらい」「昨年より少ない」という報告が多く、西日本では「昨年より多い」という報告が多くなりました。下記の写真は、期間中にウェザーリポーターから届いたスギの『雄花リポート』です。
青森県中津軽郡 少ない気がします |
福島県いわき市 いつもの年より少なく感じます |
茨城県筑西市 昨年よりも少ない気がします |
岐阜県岐阜市 この木は毎年見ていますが、今年は雄花多めな感じです。 |
京都府与謝野郡 例年よりも多い |
山口県長門市 これが一段と成長すると思うとゾッとします! |
愛媛県西条市 来年も花粉で アズルのかな? |
福岡県朝倉郡 日が当たる所は沢山付いてますね! |
①〜④を総合的に解析した結果、2016年シーズンの花粉飛散量は、西日本を中心に2015年より多く、北日本や東日本を中心に2015年より少なくなる見込みです。
全国のウェザーリポーターから、症状を和らげるには花粉を体内に取り込まないようにする対策が最も有効だというコメントがこれまでに数多く寄せられています。飛散開始の約2週間前を目安に早めの対策をとることをおすすめします。