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ウェザーニューズ、グローバルアイスセンター発表

北極海の海氷がこの夏最小に、観測史上4番目の小ささ

〜活発な海氷の流動と夏の好天が影響、北極海航路は10月上旬まで開通見込み〜


株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、9月14日に北極海の海氷が今夏の最小面積456万km²を記録し、観測史上4番目の小ささとなったことを発表しました。商業利用の進む北極海航路は、今年はロシア側の北東航路、カナダ側の北西航路ともに開通し、現在も海氷域に入ることなく航行が可能な状態となっています。当社グローバルアイスセンターでは、今後は徐々に海氷の結氷が進むものの、10月上旬頃まで航路開通の状態が続くと見ています。

※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状態。


北極海の海氷が今夏最小に、夏の好天の影響で観測史上4番目の小ささ

 北極海の海氷は、通常7月から8月にかけて急速に融解し、毎年9月に一年で最も小さい面積となります。近年、地球温暖化による極域の気温上昇とそれに伴う海水温の上昇により、北極海の年間最小面積は減少傾向にあります。2012年には観測史上最小の面積となる328万km²を記録しています。
 人工衛星データの解析によると、今年は5月頃から海氷の流動が活発で、海氷が融解しやすい状況となっていました。さらに、7月から8月にかけて北極海域が好天傾向で、気温も上昇したことで、融解が進み、観測史上4番目に少ない面積(456万km²)となりました。
 2年ぶりにロシア側・カナダ側両航路開通となった北極海航路は、現在も海氷域に入ることなく航行可能です。今後、徐々に海氷の結氷が進み海氷面積は拡大していきますが、今夏の海氷面積が小さくなったことで航路開通の状態が10月上旬頃まで続くと見ています。

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2015年9月14日の北極海の海氷


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北極海の海氷の年最小面積において
観測史上1位〜4位を記録した4年間の面積変化


 北極海域の海氷の減少は、北極圏以外での気候の変化と密接な関わりがあります。最近の研究では、北極海バレンツ海域での海氷の減少が、日本の冬の気候に影響することがわかっています(Inoue et al., 2012※)。これは海氷が減ることで、バレンツ海周辺で低気圧の経路が変わり、偏西風の風下にある日本に寒気が流入しやすい状況を作るためと考えられています。2011年度の冬には、バレンツ海の海氷が少なかったことが日本に寒冬をもたらしたと言われています。一方、北極海の海氷が減ったことで、商業航路としての北極海利用や、沿岸域での資源開発が活発化しています。ウェザーニューズでは、北極海の海氷の変化をモニタリングすることで、グローバルに変動する気候に向き合うとともに、安全な北極海利用におけるリスクマネジメントサービスを提供していきます。


※参考文献:
Inoue, J., M. E. Hori, and K. Takaya, 2012:
The Role of Barents Sea Ice in the Wintertime Cyclone Track and Emergence of a Warm-Arctic Cold-Siberian Anomaly, J. Clim., 25, 2561-2568.