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ウェザーニューズ、「北極海の海氷まとめ2021」を発表

12年ぶり、北東・北西両航路共に北極海航路は開通せず

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)のグローバルアイスセンターは、2021年の北極海の海氷に関するまとめを発表しました。2021年7月の北極海は冷夏傾向で海氷の融解が進まなかったため、年間最小海氷域面積は過去7年間で最大となる461万km2となりました。また北極海航路は、北東航路(ロシア側)・北西航路(カナダ側)共に開通に至りませんでした。北東航路が開通しなかったシーズンは2009年以来12年ぶりとなります。
 アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路を選択することで、輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができます。当社では2021年4月から、海運業界向けのCO2排出量監視サービス「CIM(Carbon Intensity Monitoring)」を開始しました。今後も北極海航路における船舶の安全運航を支援するとともに、CO 2排出量削減への支援にも注力していきます。

※開通の定義:海氷域に入ることなく全航路を通ることができると衛星観測データから判断される状況。

 

図1:北極海航路の開通期間および2021年9月12日(年間最小日)の海氷分布
(左)北東航路・(右)北西航路

冷夏の影響で北極海航路は12年ぶりに開通せず

 近年は、水温上昇による海氷面積の減少が加速し、北極域は他地域と比べて2~3倍のスピードで温暖化が進んでいる可能性も指摘されています。特に、前シーズンの2020年は北極域で記録的な高温が記録されたことで、北極海航路は史上最長となる88日間開通しました。
 一方で、2021年度夏は融解期である7月の北極海が冷夏傾向になったことで、海氷の融解があまり進まず、最小期の9月になっても北極海航路上の一部海域で海氷が解け残りました。その結果、北極海航路の北東・北西両航路共に開通には至りませんでした。

 北東航路が開通しなかったシーズンは、2009年以来 12年ぶりとなります。北西航路においても、航路中に海氷が残ったため、昨年に引き続き開通しませんでした。北極海の海氷域面積の年間最小値は461万km2で、過去7年間で最大となりました。

図2:2021年9月12日(年間最小日)の海氷分布
図3:2012年以降の海氷域面積の推移
 
 
表1:北極海の海氷域面積の記録
北極海の海氷域面積(年間最小値) ※過去7年間、大きい順

順位

面積(km2)

1

2021

461万

2

2017

447万

3

2018

446万

4

2015

426万

5

2016

402万

6

2019

396万

7

2020

355万

数値は最新の方法で再計算しており、過去に発表したプレスリリースと値が異なる年があります。

 

CO2排出量の見える化と北極海航路の安全運航支援で環境対策へ

 2021年6月、国際海事機関(IMO)によって、温室効果ガス(GHG)の削減目標を達成するため、大型外航船を対象にした新たな規制「燃料実績格付け制度」が採択されました。これにより、2023年からは船舶の年間平均燃費実績から環境性能が評価されるようになるため、船主や船舶管理会社では燃費対策が急務となっています。
 当社では2021年4月から、海運業界向けのCO2排出量監視サービス「CIM(Carbon Intensity Monitoring)」を開始しました。従来の最適航路を選定する「OSR(Optimum Ship Routeing)」サービスとCIMを組み合わせることで、環境性を重視した航海とそれによる実際の排出削減量の見える化を実現するなど、海運市場の環境対策をデジタル技術で支援しています。

 こうした新たな制度の採択を背景に、CO 2の排出量を削減することができる北極海航路は今後も活用が進むと考えられています。一方で、北極海の海氷は減少傾向にあるとはいえ、今年度のように季節の気象条件などの影響で沿岸部に海氷が残っていると事故につながるリスクがあります。ウェザーニューズでは引き続き、北極海航路の安全運航を支援するため、独自の超小型衛星や独自の予測モデルを活用して北極海の海氷を細かく観測・分析し、より正確な海氷情報を提供してまいります。

 

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