ニュース
ウェザーニューズ、2014年夏の“ゲリラ雷雨”まとめ発表
“ゲリラ雷雨”発生数は全国3,219回、最多発生エリアは関東に
~過去最多49万通の防衛隊員からの報告を予測に活用、全国平均56分前にお知らせ〜
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、12月5日(金)、“ゲリラ雷雨”の発生回数と、“ゲリラ雷雨”による被害軽減を目指す「ゲリラ雷雨防衛隊」の今夏における取り組み結果を発表しました。2014年夏は、全国で合計3,219回の“ゲリラ雷雨”が発生し、最も発生回数が多かったエリアは関東となりました。「ゲリラ雷雨防衛隊」の発足7年目となる今シーズンは合計5.6万人が参加し、期間を通して過去最多となる合計49万通の報告が寄せられました(7月15日〜9月30日)。今年の防衛隊員は6割が男性で特に40代が多く、個人の最多報告数は合計3,017通(1日平均33通)に上り、最年少は15歳、最高齢は79歳と幅広い世代の方にご参加いただきました。ウェザーニューズは、隊員から寄せられた報告や、全国80ヶ所で雨雲を高頻度で観測する小型レーダー「WITHレーダー」、全国3,000ヶ所の気象観測システム「WITHセンサー」の解析データをもとに“ゲリラ雷雨”の発生を予測し、“ゲリラ雷雨”通知サービス登録者16.5万人に対して、今年は“ゲリラ雷雨”が発生する平均56分前に危険をお知らせすることができました。来年も引き続き、「ゲリラ雷雨防衛隊」への参加を広く呼びかけ、全国の方と共に“ゲリラ雷雨”による被害軽減に努めていく予定です。
「ゲリラ雷雨防衛隊」のまとめはこちら |
https://weathernews.jp/ip/info/guerrilla2014/report/index.html |
「ゲリラ雷雨防衛隊」2014振り返り
今シーズンの“ゲリラ雷雨”発生回数は合計3,219回で、昨年より1,178回多くなりました。発生回数が最も多かったエリアは関東で、都道府県では福島県が最も多い結果となりました。また、日本の87%の人が“ゲリラ雷雨”に遭遇し、今シーズンの一人当たりの遭遇回数は平均3.2回となりました。 今夏は約5.6万人が「ゲリラ雷雨防衛隊」として参加し、過去最多となる合計49万通の報告が届きました。今年の防衛隊員は、6割が男性で特に40代が多く、7割以上が初参加となりました。また、個人の最多報告数は合計3,017通(1日平均33通)に上り、最年少は15歳、最高齢は79歳と幅広い世代の方にご参加いただきました。1人あたりの1日報告数が多かった都道府県は1位新潟県、2位秋田県、3位石川県となりました。
今夏の“ゲリラ雷雨”傾向
今年の夏(7〜9月)は、例年より太平洋高気圧の勢力が弱く、雨雲の発生要因となる湿った空気が高気圧の縁辺を通って日本付近に流れ込み、“ゲリラ雷雨”が発生しやすい状況が続きました。シーズンを通した“ゲリラ雷雨”発生回数は、合計3,219回で、全国的にみると昨年より1,178回多くなりました。月別の“ゲリラ雷雨”発生回数は、7月(7月15日〜31日)は1,116回、8月(8月1日〜31日)は1,320回、9月は783回(9月1日〜30日)となり、7〜8月に発生回数が多い傾向が見られました。
また、昨年と同じ期間(7月23日〜9月30日)で比べると、近畿や東海では昨年より多くなりました。これは、湿った空気が日本の南から近畿や東海に流れ込みやすい位置に高気圧が停滞したことが大きな要因です。その他のエリアでも雨は降ったものの、前線・低気圧、台風を要因とするものが多く、突発的な雷雨の発生回数は昨年とほぼ同等となりました。
〜7月ー9月の“ゲリラ雷雨”傾向〜
7 |
上旬に太平洋側に停滞していた梅雨前線が、中旬になると日本海側に北上し、西〜東日本(太平洋側)では梅雨が明けて、晴れのエリアが多くなりました。一方で、太平洋高気圧の縁辺を通って南から湿った空気が流れ込んだことで、西〜東日本(太平洋側)では“ゲリラ雷雨”の発生が増えました。特に、7月19日〜21日は夏にしては非常に強い寒気が日本上空を通過したことで大気の状態が不安定になり、全国的に大雷雨となりました。 |
|||||||||||
8 |
上旬は、台風11号、12号の影響を受けて四国〜東海など一部地域で大雨となりました。また、中旬〜下旬は、日本海付近に前線が停滞し、広島市や福知山市などで夜間に集中豪雨が発生しました。8月を通して、台風や前線の影響など発生をある程度事前に予測できる場合が多く、突発的な“ゲリラ雷雨”の発生回数は全国的にやや少なくなりました。 |
|||||||||||
9 |
秋雨前線が本州の南岸に停滞したことで、太平洋側では前線の影響で曇りや雨となる日が多く、“ゲリラ雷雨”は発生しにくくなりました。ただ、寒気を伴った低気圧が北日本の上空を通過する際、西〜東日本でも地表付近と上空との温度差が大きくなって大気の状態が不安定となり、9月10日は東京都心で“ゲリラ雷雨”が発生し道路冠水に至りました。下旬は移動性高気圧に覆われて乾燥した空気が流れ込むようになったことで、“ゲリラ雷雨”の発生回数は少なくなりました。 |
主要都市の“ゲリラ雷雨”発生回数と通知サービスの送信時間
(2014年7月15日~9月30日)
発生回数は全国で3,219回、東京都で96回、大阪府で145回となりました。ウェザーニューズは、“ゲリラ雷雨”通知サービスを登録している16.5万人に対し、全国平均56分前、東京都・大阪府に44分前にお知らせをしました。(※その他の地域の発生回数や送信時間は最終ページを参照)
2014年夏の「ゲリラ雷雨防衛隊」に5.6万人が参加
〜合計49万通の報告を“ゲリラ雷雨”の予測に活用!全国平均56分前にお知らせ〜
「ゲリラ雷雨防衛隊」は、2008年の神戸市の事故をきっかけに始まり、予測不可能と言われた“ゲリラ雷雨”を事前に全国の方と発見し、“ゲリラ雷雨”による被害の軽減を目指す取り組みです。スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」から参加可能で、今年は5.6万人が隊員として活動しました。
隊員になると、ウェザーニューズ予報センターの“ゲリラ雷雨”防衛隊本部から“ゲリラ雷雨”が降りそうなエリアの監視を依頼する「監視体制強化指令」が送られます。通知を受けた隊員は、雲の写真や色などを報告する役割を担います。防衛隊本部は隊員から寄せられる何万通もの写真や体感情報を常時確認しており、より多くの雨雲に関する情報が届くことで、“ゲリラ雷雨”通知サービス「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」の登録者に“ゲリラ雷雨”の発生前に危険を知らせることが可能になります。
今夏「ゲリラ雷雨防衛隊」を結成した期間(7月15日〜9月30日)における、“ゲリラ雷雨”発生の危険性を事前にお知らせする「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」は過去最多の49万通の報告により発生の平均56分前に送信され、全国16.5万人の通知サービス登録者に対して、安全な場所への退避や対策の必要性について、事前に伝えることができました。今年は、雲の画像を効率良く確認し、さらに報告した隊員に現状を知らせるため、自動の雲画像解析システムを本格的に導入しました。導入により、隊員が写真を送ると、雲の“色”と“形”がコンピュータで自動判定され、報告した隊員は判定結果に表示される星の数で「安全」「注意」「危険」の3段階のうちどれくらい危険なのかを確認することが可能になりました。
また、ウェザーニューズは、隊員からの報告だけではなく、“ゲリラ雷雨”を捕捉するために独自開発した『WITHレーダー』や全国3,000カ所に設置された独自観測機『WITHセンサー』など“観測”情報を組み合わせることで雨雲の早期発見に努めています。来年も引き続き、「ゲリラ雷雨防衛隊」への参加を広く呼びかけ、全国の方と共に“ゲリラ雷雨”による被害軽減に努めていく予定です。(※詳細は「参考情報1、2」を参照)
「ゲリラ雷雨防衛隊」のサービス利用結果
ウェザーニューズでは、“ゲリラ雷雨”対策サービス「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動に関し、その利用状況を調査するため、10月3日~10月10日にアンケートを実施し、合計9,172件の回答を得られました。「来年も防衛隊として参加したいですか?」という質問に対して、93.7%の人から“活動したい”との回答をいただきました。また、今年から本格的に導入した画像解析技術について「報告後の雲の判定結果についてこの機能は、ソラヨミ向上に役立った?」という質問に対しては、77.5% の人から“かなり役立った”、あるいは“役立った”という回答が得られました。画像解析結果から読み取れる雲の危険度を即表示したことで、隊員にとっては雲の発達具合によってどの程度の危険なのか判断する参考となったようです。さらに、「スマートアラーム・ゲリラ雷雨メールを来年も利用したいですか?」との質問に対して、92.5%の人から“利用したい”と回答があったことから、今年も多くの方に通知サービスをご満足いただけた結果となりました。来年も更なるバージョンアップを行い、“ゲリラ雷雨”による被害軽減に努めます。(※詳細は「参考情報3」を参照)
「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動事例
■事例①
2014年7月19日〜21日 夏休み最初の3連休を“ゲリラ雷雨が直撃
7 月 19 日〜21 日は上空 5500m 付近を 7 月としては非常に 強い寒気(-12°C以下)が通過しているところに、南から 暖かく湿った空気が流れ込んでいたことで、東北〜西日 本の広い範囲で大気の状態が不安定な状況が続き、全国 各地で“ゲリラ雷雨”が多発した。都心でも、20 日 16 時頃に南東風と北東風が東京湾北部でぶつかって上昇気 流が強まり雨雲が発達した。その後、地上風がぶつかる エリアは (図 1)埼玉県中部から東京湾北部にかけてライ ン状に広がり、これに沿って雨 雲の発生・発達が続いた。 この事例では、風がぶつかって 雨雲が発生・発達を繰り返す状 況が同じエリアで続いたため、 局地的な豪雨となり、東京都心 付近では16時50分から17時 50 分までの 1 時間に 53mm を降 らせる集中豪雨となった。都内 から横浜周辺ではこの集中豪 雨による冠水や激しい雷雨の 報告が多数届いた(図 2)。
○「ゲリラ雷雨防衛隊」の当日の動き当日は、大気の状態が不安定で、午前中から関東北部や山沿いの隊員から灰色の雲の報告が届いた ため、関東の防衛隊員に向けて「監視体制強化指令」を送った。15 時を過ぎると都心方面からも濃 い灰色雲の報告や、「天気が下り坂になりそう(雨が降りそう)」という報告が急増(図 2)したこ とを受け、16 時 15 分、都心周辺の“ゲリラ雷雨”通知サービス登録者に向けて「スマートアラー ム(ゲリラ雷雨モード)」を送信した。
■事例②
2014年8月19日 名古屋で短時間に猛烈な雨を降らせた“ゲリラ雷雨”
○概況
8月19日は、本州の南海上にある上空の寒気(図3:上空5800m付近で-6℃以下)の影響で、地表付近と温度差が生じ、東日本(太平洋側)では大気の状態が不安定であった。また、低気圧に向かって、南からは雨雲の要因となる暖かく湿った空気が流れこんでいた。東海を中心に“ゲリラ雷雨”が発生し、名古屋市では15時00分から16時00分までの1時間で局地的に30mm(10分雨量21mm)の激しい雷雨となった。
当日は、13時頃に三重県で“ゲリラ雷雨”が発生しており、14時過ぎには名古屋市周辺から入道雲や風の報告が増え始めた。このとき、雨雲の急な発生・発達を予測するウェザーニューズの独自システム「ゲリラ雷雨解析予測システム」は、名古屋市周辺に発生する可能性が高いと予想していた(図4)。その後も、入道雲が発達しているという報告や、雲底が黒い報告が増えたため、14時55分、防衛隊本部は名古屋市に向けて「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」を送信した。その後、15時には雨雲レーダーで発達した雨雲をとらえ始め、15時30分に雨が降り出した。この日は、防衛隊リポートと当社の独自システム「ゲリラ雷雨解析予測システム」の活用により、30分前までに“ゲリラ雷雨”通知サービスの登録者に向けて“ゲリラ雷雨”発生を伝えることができた。
■事例③
2014年9月10日 帰宅時間に雷雨直撃、東京の駅構内で足首が浸かるほどの冠水被害 ○概況
9月10日は西〜東日本の上空に季節外れの強い寒気(-9℃)が流れ込んでいたことで、地表付近と上空との気温差が大きく、大気の状態が不安定となり、山沿いを中心に雨雲が発生しやすい状況だった。15時頃に都心付近で風が収束して雨雲が発生し、16時30分〜17時30分、台東区で1時間100mm(10分雨量20mm)の激しい雨となった。東京都東部や千葉県東葛飾エリアから、道路冠水などの報告が多く寄せられた(図6)。
○「ゲリラ雷雨防衛隊」の当日の動き
当日は、午後から山沿いを中心にモクモクと発達した雲の報告が寄せられ、15時頃には東京都西部で風がぶつかって上昇気流が強まり雨雲が発生しやすい状況となった。15時30分を過ぎると、風がぶつかるエリアは都心にも広がったため、防衛隊本部は品川区周辺に向けて「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」を送信した。さらに、千代田区の防衛隊員からも「曇ってきた」という報告が寄せられたため、15時50分に東京都23区全域、千葉県東葛飾エリアに「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」の送信を開始した。この日は、風がぶつかるエリアの動向の監視と防衛隊員のリポートにより、“ゲリラ雷雨”が発生する20〜40分前に危険を知らせることができた。
“ゲリラ雷雨”の発生を監視する独自観測システム
『WITHレーダー』で“ゲリラ雷雨”を徹底監視
『WITHレーダー』は、“ゲリラ雷雨”を捉えるために開発し、全国80カ所に設置している独自のレーダーです。半径50㎞の範囲の上空2㎞以下の現象を150m四方毎に6秒間隔の超高頻度で観測することが可能です。従来のレーダーでは捉えられない2km以下の現象を観測可能なため、“ゲリラ雷雨”となる可能性がある小さな雲をいち早く発見でき、雲を縦に切った断面図も見ることができるため雲の成長を追いかけるのに最適です。
さらに、『WITHレーダー』は、雨の強度の情報だけでなく、雨雲の移動速度、移動方向も捉えることができます。ウェザーニューズでは、隊員から寄せられた報告をもとに“ゲリラ雷雨”発生可能性エリアを即座に絞り込み、より詳細な雲の中身を確認しています。
全国3,000カ所にある独自観測システム『WITHセンサー』(ソラテナ)は、“ゲリラ雷雨”が発生する前の変化の監視に活用します。『WITHセンサー』は、気温、気圧、湿度、感雨、日照、紫外線の6つの要素を観測することができ、1分毎にデータが更新されます。“ゲリラ雷雨”の発生の可能性を検討する上で、地上の温度や気圧の変化は重要な要素です。ウェザーリポーターからの報告と併せて、『WITHセンサー』を活用することで、これまで以上に早期に雨雲を発見し、“ゲリラ雷雨”による危険性をいち早く伝えることを目指します。
都道府県別「ゲリラ雷雨防衛隊」の実績(7月15日~9月30日)
エリア | 都道府県 | “ゲリラ雷雨” 発生回数(回) |
“ゲリラ雷雨"通知 送信時間(分前) |
北海道 | 北海道 | 86 | 51 |
東 北 | 青森 | 43 | 63 |
秋田 | 23 | 52 | |
岩手 | 36 | 62 | |
山形 | 48 | 55 | |
宮城 | 112 | 52 | |
福島 | 175 | 50 | |
関 東 | 茨城 | 120 | 37 |
栃木 | 141 | 50 | |
群馬 | 109 | 55 | |
千葉 | 45 | 40 | |
東京 | 96 | 44 | |
埼玉 | 131 | 51 | |
神奈川 | 37 | 54 | |
中 部 | 山梨 | 14 | 99 |
長野 | 97 | 55 | |
静岡 | 95 | 55 | |
愛知 | 167 | 39 | |
岐阜 | 113 | 57 | |
新潟 | 108 | 58 | |
富山 | 32 | 42 | |
石川 | 8 | 103 | |
福井 | 8 | 47 | |
三重 | 138 | 73 | |
近畿 | 滋賀 | 138 | 63 |
京都 | 107 | 58 | |
奈良 | 70 | 57 | |
兵庫 | 115 | 62 | |
大阪 | 145 | 44 | |
和歌山 | 16 | 59 | |
中国 ・ 四国 |
鳥取 | 24 | 72 |
島根 | 13 | 59 | |
岡山 | 73 | 64 | |
広島 | 65 | 74 | |
山口 | 25 | 59 | |
香川 | 29 | 42 | |
徳島 | 39 | 62 | |
愛媛 | 25 | 53 | |
高知 | 14 | 79 | |
九州 ・ 沖縄 |
福岡 | 60 | 62 |
大分 | 33 | 64 | |
佐賀 | 29 | 79 | |
長崎 | 20 | 52 | |
熊本 | 58 | 62 | |
宮崎 | 49 | 63 | |
鹿児島 | 40 | 79 | |
沖縄 | 50 | 54 | |
全国 | 3,219 | 56 |