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ウェザーニューズ、梅雨前半の振り返りを発表
6月の降雨量、全国で例年並も、関東や北海道では2倍以上
〜梅雨前半は寒冷渦の影響で特定の地域で雨量まとまり、地域差大に~
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、7月2日(水)、今年の梅雨前半の振り返りを発表しました。本発表は、これまでの降った降雨量と今後、予想されている降雨量の傾向を知ってもらう事で、土砂災害や浸水などの対策に役立てていただくことを目的としています。最新情報は、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の『梅雨見解』(毎週金曜に更新)をご覧ください。
梅雨前半(6月)の降雨量
〜梅雨前半は偏西風の蛇行で寒冷渦が停滞、極端に偏る雨量分布に〜
梅雨前半(6月)は日本上空の偏西風が大きく蛇行することが多く、寒冷渦(上空に寒気を持つ低気圧)が日本付近に停滞する日が多くなりました。梅雨前線に比べ、寒冷渦は局地的に激しい雨を降らせる特徴があるため、6月の降雨量は多い地域と少ない地域に極端に分かれる分布となりました。関東地方では広範囲で平年の200%以上の雨が降り、埼玉県ときがわ町では平年の約5倍(748mm)の雨を観測しました。一方、東海や近畿地方では降雨量が平年の50%未満となった地域が多く、静岡県浜松市では平年の17%(41.5mm)、兵庫県神戸市では平年の25%(45.5mm)の降雨量となりました。
全国主要地点の6月の総降雨量(※1)は31,713mmで、平年値32,254mmとほぼ同レベルの値になっています。梅雨前半は地域によって降雨量の分布が大きく偏りましたが、日本列島全体で見ると降雨量が平年より大きく増減した訳ではなく、寒冷渦の影響で極端に偏った降雨分布になったと考えられます。
6月上旬の梅雨入り直後は、上空に寒気を伴う非常に動きの遅い低気圧の影響で西〜東日本の広い範囲で大雨となり、関東ではわずか3日間で平年の梅雨時期の総雨量に匹敵する大雨となった地点もありました。また、6月9日は上空の寒気の影響で、各地で雷雨が発生し、関東からも河川の増水や道路冠水などの報告が多く寄せられました。
6月中旬は寒冷渦の影響で梅雨入りの発表がない北海道を中心に曇りや雨の日が続き、札幌では6月の連続降水日数の記録を更新しています。
6月下旬になると、梅雨前線は本州付近まで北上しました。九州南部を中心に大雨となり、冠水や土砂災害などの被害が発生しました。一方、東日本や東北は寒冷渦の影響を強く受け、局地的に激しい雨が降る天気が多発しました。6月24日は東京都の調布市や三鷹市を中心に激しい雷雨が発生して大量の雹が降りました。道路一面が真っ白な雹の川になり、都内とは思えないようなウェザーリポートが続々と届きました。また、29日は都心で激しい雷雨に見舞われ、道路冠水が相次ぎました。
※1)全国主要地点の6月の総降水量は、気象庁の全官署(154箇所)の6月の降水量を合計した値です。
関東と北海道で6割以上が“雨が多い”印象
ウェザーニューズは、2014年6月30日、今年の梅雨の印象を調査するため、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」でウェザーリポーターの協力のもと、「今年の梅雨前半の印象は?」と質問し、“雨が多い”“雨が少ない”“いつもと同じ”の3択で回答してもらいました。
“雨が多い”印象が強かったのは関東と北海道で、6割以上の方が“雨が多い”と回答しました。関東は梅雨入り直後の大雨に加え、都内でも大量の雹を伴う激しいゲリラ雷雨があったことが影響していると考えられます。また、北海道は各地で2週間以上雨が続き、札幌では6月6日以降、18日間連続で降雨があり、6月としては明治18年以来最長の連続降雨記録となりました。
九州全体では“雨が多い”と回答した人の割合は16%ですが、6月下旬に大雨になった九州南部のみで集計すると、“雨が多い”と回答した割合は約半数に上りました。(九州南部の回答:“雨が多い”47.5%、“いつもと同じ”27.5%、“雨が少ない”25.0%)
一方、東海から西の地域では“雨が少ない”と答えた割合が多くなりました。特に東海や北陸、近畿は9割前後が“雨が少ない”と回答しており、今年の梅雨前半は梅雨らしさを感じられない天候だったことが分かりました。都道府県別のデータを分析すると、“雨が多い”と答えた割合が多い地域を中心に6月の降雨量が平年を上回っており、実際の降雨量と梅雨前半の雨への印象に対する人の感覚には非常に密接な相関がある事が分かりました。
7月の降雨量、多いところで平年の1.5倍超える恐れも
梅雨後半(7月)は梅雨前線が本州付近に北上します。このため、梅雨前半(6月)に比べ広範囲でまとまった雨が降るようになり、西日本を中心に強雨や大雨が数回ある見込みです。特に7月上旬は西日本方面に梅雨前線が停滞しやすい上、暖かく湿った空気の影響も加わり、西日本の太平洋側を中心に大雨の恐れがあります。7月中旬は東日本でも大雨になる日がありそうです。7月中旬の後半以降は梅雨前線がさらに北上し、北陸や東北南部で強雨や大雨の恐れがあります。
梅雨前半は寒冷渦の影響で降雨量の分布に極端な偏りが生じていましたが、梅雨後半は梅雨前線の影響で日本列島の広範囲で雨がまとまるようになるため、7月の予想降雨量は北海道〜九州の広い範囲で平年より多くなる見込みです。西日本の太平洋側では梅雨前線の影響に加え、暖かく湿った空気の影響も受けやすく、多いところで平年の1.5倍を超える降雨量となる恐れもあります。道路冠水や河川の増水、土砂崩れなどの災害に警戒が必要です。