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2014年のスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ
花粉飛散量、昨シーズンの4割減も花粉症の緩和を実感せず
~関東は花粉飛散量が昨シーズン比7割減、高知や佐賀では約5割以上増加~
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、全国的にスギ・ヒノキの花粉シーズンの終了を迎え、一般の方と共に展開した「花粉プロジェクト2014」における花粉症及び、花粉飛散傾向のまとめを発表しました。花粉症に悩む一般の方や企業、病院などの協力のもと、全国1,000箇所に設置している花粉観測機「ポールンロボ」にて計測された花粉飛散量と、その周辺エリアに住む花粉症の方67,859人の症状をまとめています。本発表は、インターネットサイト「ウェザーニュース」の『花粉のまとめ』(https://weathernews.jp/event/pollen2014/)、スマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」の「花粉Ch.」、携帯サイト(https://wni.jp/?297)からご覧いただけます。
今シーズンのスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ
花粉飛散量は昨シーズンの4割減と少ない結果に
2014年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、全国で昨シーズン比約60%と、北・東日本を中心に昨シーズンより少なくなり、特に関東地方~東北南部では昨シーズンの約20~30%前後の飛散量となりました。西日本でも昨シーズンより少なかった所が多かったものの、九州や四国の太平洋側では昨シーズンより多い量を観測しました。高知県では昨年の約170%、佐賀では約150%の飛散量を記録しています。
また、平年(2008~2013年の平均)と比較しても、北~東日本を中心に少なくなり、関東地方では平年の約40~50%となりました。一方、西日本では、九州や四国(太平洋側)を中心に平年よりも飛散量が多く、高知県や徳島県では平年の約2倍の飛散量を観測しました。
九州や四国の太平洋側など、西日本で花粉の飛散量が多くなった要因として、昨年夏の記録的な暑さ(高知県で日本国内における高温記録を更新した)が影響していると考えられます。花粉のもととなる雄花は、夏が晴れて暑いほど生育が良くなることが知られており、今年はその条件に一致しました。
花粉飛散量は、花粉が多く飛散した翌年は飛散量が少なくなったり(裏年)、少ない年の翌年は多くなったり(表年)と、交互に増減する傾向があります。今シーズンは裏年にあたっていましたが、特に九州では、ここ数年は表年と裏年の飛散量の差が比較的小さい傾向にあり、花粉の飛散量は前年の夏の気象条件に左右されやすくなっていると考えられます。
一方、その他の西日本や東日本、北日本では、表年と裏年の花粉飛散量の差が大きく、裏年であった今シーズンは、前年の夏が晴れて暑かったにも関わらず、昨シーズンよりも飛散量が少ない結果となりました。
今シーズンの花粉飛散傾向、スギ花粉よりもヒノキ花粉のピークが顕著
今シーズンの飛散傾向に関しては、2月中旬までの寒さの影響で本格的な飛散開始が昨年より遅れた所が多く、中国・四国(瀬戸内側)では3月上旬~中旬、関東~近畿地方では3月中旬~下旬にピークとなりました。また、スギ花粉の飛散が少なくなるとヒノキ花粉が増加し、中国地方~四国(瀬戸内側)では3月末~4月上旬、関東~近畿地方では4月上旬~中旬を中心にピークを迎えた所が多くなりました。
関東〜中国地方では、スギ花粉の1日の飛散量は昨シーズンより少ないところが多く、ヒノキ花粉の1日の飛散量がスギ花粉を上回る日もありました。今シーズンはヒノキ花粉の飛散にメリハリがあり、スギ花粉よりもヒノキ花粉のピークが顕著に現れました。
寒気の影響を受けにくかった九州や四国(太平洋側)では、花粉の飛散ピークはあまり遅れることなく、2月末~3月上旬のスギ花粉のピーク、その後3月下旬にヒノキ花粉のピークを迎えました。
北海道では4月下旬~5月前半にかけて、季節は外れの暖かさが続いたため、昨シーズンよりもかなり早くシラカバ花粉が飛散しはじめ、5月上旬にピークを迎えました。また、すでに本格シーズンが終了し、次第にシーズンの終息に向かっています。
花粉飛散量は少なくても症状は緩和されず
花粉症の症状を調査するため、スマホアプリ『ウェザーニュースタッチ』内のウェザーリポーターの協力のもと、「非常にツライ」「ツライ」「ややツライ」「大丈夫」の4択から選んで症状を報告してもらいました。寄せられた毎日の症状報告から、症状が出ている方で「ツライ」「非常にツライ」を選択した方の割合を調べました。結果、四国(瀬戸内側)から関東では、花粉の飛散量は昨シーズンより少なかったにも関わらず、「ツライ」「非常にツライと感じた方の割合が昨シーズンより多くなりました。これは、花粉飛散量は多くなかったものの、例年は症状が軽減される花粉シーズン後半の3月末~4月に、ヒノキ花粉のピークが顕著に現れたため、重い症状の出る期間が長引いたと推測されます。
一方、北陸や東北は、ヒノキ花粉の影響がほとんどない地域性に加え、スギ花粉の飛散量も昨シーズンより少なかったため、症状が抑えられたエリアが多くなりました。
また、花粉の飛散量が昨シーズンより多くなった九州南部や四国の太平洋側では、「ツライ」「非常にツライ と感じた方の割合が昨シーズンより10%も増えました。

※北海道はシラカバ花粉の飛散量。沖縄県は目立った花粉の飛散がないため除く
※症状は、各県の本格花粉シーズン開始日からシーズン終了までに症状が出ている方(“非常に辛い”“辛い”“やや辛い”と回答した方)のうち、“非常に辛い”“辛い”と回答した方の割合をまとめた結果

※本格花粉シーズン開始日/終了日:花粉症の症状が出始める花粉飛散数30個/日を超えた日/飛散がなくなった日
※北海道は、まだシーズン終了になっていないため、一部予想を記載。