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株式会社ウェザーニューズは前年に引き続き、11月30日~12月11日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に参加し、アジア開発銀行のパビリオン、および、ジャパンパビリオンのサイドイベントに登壇しました。
当社は、アジア地域の気候変動適応策支援に関わる進捗とその成果について講演を行いました。具体的には、企業向けに提供する防災支援や気候リスク分析サービス、観測インフラの展開など当社の取り組みを紹介した他、アジア各国のニーズや気象情報の活用事例として、当社と協力関係にあるタイやベトナムの政府・地方自治体関係者およびサービス利用者の声を紹介しました。また、気候変動対策において「緩和」に比べ「適応」の分野では民間事業者の参画、活躍が十分ではないと言われるなか、当社の取り組みは官民が継続的に連携しながら行う「適応」分野の具体的な活動事例として紹介され、イベントに参加した政府関係者、企業、団体と実施したディスカッションは有益なものとなりました。当社は、創業以来「いざという時、人の役に立ちたい」という想いで気象情報サービスを展開し、世界各国の政府や自治体とも協力関係を築いてきました。2022年に新たに立ち上げた「気候テック事業部」では、気候変動による物理リスクの定量分析や、気象モニタリングサービスにも取り組んでいます。
当社は「地球の未来も守りたい」という新たな想いを胸に、今後も気候変動による地球環境の変化に正面から向き合い、「ロス&ダメージ」の最小化や、関係政府・企業と連携しながら国外でも気象情報サービスの展開に取り組んでいきます。
COP28 で登壇した時の様子
気候変動の緩和・適応策支援
ウェザーニューズは1986年に創業して以降、世界の50カ国に対して気象ソリューションサービスを提供してきました。国内においては、気象庁と比べて10倍の密度で独自観測網を整備、お天気アプリ「ウェザーニュース」のユーザーから届く1日18万通の報告も気象データとして収集し、独自の気象データベースを構築しています。独自の気象データベースは、予測精度の向上やサービスの高度化に活用し、航海・航空・陸上など様々な業界の企業向け気象情報サービスや、個人向けのアプリケーションを通じて情報提供を行っています。当社は、船のルーティングサポートを通してCO2排出量の削減を支援するほか、サプライチェーンにおける商品と材料の需給バランスを予測し、最適な在庫管理やフードロスの削減を支援するなど、気候変動の緩和・適応に関するサービスも提供しています。近年、企業のレジリエンス強化を目的とした気候変動のリスクの評価・開示が求められており、企業の気候変動対策をサポートするため、当社は2022年6月に気候テック事業部を新たに設立しました。気候テック事業部では、企業の気候変動リスクに伴う物理リスクを定量的に分析・評価するサービスを提供しています。またバックキャスティングの発想で、物理リスクの分析結果を企業のBCM や BCP に反映させ、最新の気象情報から事業に影響を及ぼすリスクをいち早く察知し、対応策を支援する気象モニタリングサービスの提供も開始しています。今後当社は、国外にも気候変動リスクの定量的な分析、気象情報を活用したリスクに対する適応策、サービス品質を高めるためのインフラ設備の強化を進めていきます。
気象・気候サービスのグローバル展開
当社はすでに、航海・航空業界を中心にグローバルにサービス展開を行っています。また今後、タイ・ベトナムで防災・気象情報をいち早く届けることを目的に、都市部では日本のアメダスと同レベルの密度で観測網を構築する予定です。これらの気象データは、高頻度なナウキャストやサービスコンテンツに活用します。その他、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)と東アフリカの地方自治体で構成されたワークショップでは、当社が開発したコミュニケーションシステム「AIチャットボット」を活用し、災害復興について検討を行っています。
民間企業の役割と、官民連携について
日本の気象庁が警報の発表や基本的な観測を行う役割を担う一方で、当社では「あなたの気象情報」を届けるため、独自の観測網を活用した高解像度かつ高精度の情報提供を行っています。細かな天気予報や意思決定を支援するサービスで、一人一人の生活や仕事に寄り添った情報提供を行っています。今後も当社は「世界80億人の情報の交信台」となることを目指し、気象・気候リスク低減に取り組みます。また各国と連携し、気象・気候リスクを低減するサービスを、国内外で展開していきます。
COP28の会場、および、ジャパンパビリオンの様子