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ウェザーニューズ、“北極海航路2014振り返り”発表

北極海の航路開通期間終了、北東航路は5年連続で開通

〜海運物流からの北東航路への期待大、北西航路は5年ぶりに未開通〜

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株式会社ウェザーニューズ(所在地:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、10月1日に北極海北東航路の一部が海氷で閉鎖されたことにより、2014年の北極海航路開通※期間の終了を発表しました。今夏の最小海氷域面積は480万km2(9月17日時点・図1)で、観測史上6番目の小ささとなりました。ロシア側の北東航路は、5月下旬から海氷の融解が始まり、8月21日から10月1日までの間、5年連続で開通しました。今夏はこれまでに、過去最高となる600航海以上の通行申請が行われ、海運物流において期待が高まっていることがわかります。一方、カナダ側の北西航路はカナダ多島海の一部で海氷が残り、5年ぶりに未開通となりました。

 

北東航路は5年連続で開通し海運物流からの期待大、北西航路は5年ぶりに未開通

 北極海の海氷は今世紀に入り顕著な減少傾向が続いています。2005年には欧州—アジアを結ぶ新たな航路である北極海航路が出現し、2009年には世界初の船舶の商業航海が行われました。2012年には観測史上最小面積を記録し、ロシア側の北東航路は2ヶ月間以上にわたって開通が維持されました。しかし、翌年の2013年の海氷域面積は大きく増加し、航路開通期間も約3週間と短いものでした。このように、海氷の動向によってその年ごとの海氷域面積や北極海航路の開通有無・期間は大きく変化するため、今年の動向が注目されていました。
  2014年の北極海の海氷は北東航路(ロシア側)と北西航路(カナダ側)で傾向に違いが見られました。北東航路では昨年以上に海氷域の後退が進んだことで、8月21日に5年連続の航路開通となり、10月1日までの1ヶ月以上にわたり海氷域に入ることなく通行可能な状態が続きました。これまでに北東航路では過去最高となる600航海以上の通行申請が行われ、海運物流において期待が高まっていることがわかります。
 一方、北西航路はカナダ多島海の一部で海氷が残り、開通には至りませんでした。カナダ側の気温が低く推移したことと、海氷を動かし融解を促進する強い低気圧の通過が少なかったことが要因として考えられます。

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図1.2014年の最小面積記録時(9月17日)と最新(10月20日)の
海氷の様子の比較
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図2.1980年から2014年までの
最小面積の推移
 

 北極海の海氷は長期的に見ると明らかな減少傾向にあるとはいえ、航路の開通日数(図3)や時期、海氷が残りやすい場所などは毎年大きく変化します。また、航路が閉じた後も砕氷船のエスコートにより例年11月頃までは船舶が航海可能であるものの、航路上に多くの海氷が現れ始めるため、北極海を安全に航海するためにはきめ細かい海氷や天候に関する情報が重要となります。ウェザーニューズでは、今後も北極海を航海する船舶の安全運航を支援するため、様々な観測インフラや独自の予測技術を用いて“Polar Routeing Service”を提供していきます。

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図3.過去5年の北極海航路の開通日数
 

参考:北極海航路通行船舶への運行支援サービス“Polar Routeing”について

 昨今の海運業界の北極海利用のニーズの高まりを受けて、ウェザーニューズの航海気象チームでは、2011年より、北極海を航海する船舶への運航支援サービス“Polar Routeing Service”を開始しています。本サービスでは、北極海を航海する船舶および運航会社向けに、ウェザーニューズのグローバルアイスセンターによって解析された海氷の分布や密度に関する情報に加え、航路上の気象、海象(風向、風速、波、気圧など)情報、航海気象チームのリスクコミュニケーターからの対応策コメントが提供されます。2013年までに、ロシア側の北東航路を中心に毎夏約10航海をサポートし、2013年夏には史上1航海目となるカナダ側の北西航路航海においてもサポートを行いました。ウェザーニューズでは北極海を航行する船舶の安全運航への支援を、今後もさらに強化していきます。


※開通の定義
 全航路を海氷域に入らずに航海できると衛星観測データから判断される状況

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図4.航海気象チームから提供される
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