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広島は週末に前線接近で再び雨、土砂災害に厳重警戒を

~ 高知市の3分の1の積算雨量で大規模土砂災害に至った要因を紐解く ~

株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、8月20日に大規模な土砂災害が発生した広島市、今年の8月2日から4日に記録的大雨となった高知市、2009年に大規模な土砂崩れが発生した防府市(山口県)の3都市の事例で、災害発生時の雨の降り方と土砂災害の規模の比較を行いました。その結果、今回の広島市の土砂災害は、高知市の3分の1の積算雨量で発生したことが分かりました。土砂災害の被害規模には、積算雨量・雨量強度・地質など、複数の要因が関係します。ウェザーニューズの週間予報では、週末に前線が接近し、広島で再び雨が降る可能性があります。広島に限らず、お住まいの地域の地形や地質を把握するとともに、雨の強さにも十分気をつけ、土砂災害に注意してください。


広島市・防府市・高知市の積算雨量の比較

 広島市では8月19日夜から20日未明にかけて1時間に100mmを超える非常に激しい雨が降り、市内の安佐南区、安佐北区では大規模な崖崩れや土石流が発生しました。広島市安佐北区三入東では19日夜以降、断続的に雨が降り、降りはじめから土砂災害が発生する20日未明の積算雨量が270mmを超えました(図1)。2009年に大規模な土砂災害が発生した山口県防府市でも、災害発生までに200mmを超える雨が観測されました(図2)。一方、今年の8月2日〜4日に記録的な大雨となった高知県高知市の積算雨量(図3)は、広島市の土砂災害発生時の3倍以上だったにも関わらず、広島市のような大規模な土砂災害は発生しませんでした(※表1参照)。このことから、土砂災害の規模を左右する原因は必ずしも積算雨量だけではないと言えそうです。

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図1 : 広島県広島市安佐北区三入東の
2014年8月19日〜20日の雨量
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図2 : 山口県防府市の2009年7月20日〜21日の雨量
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図3:高知県高知市の2014年7月30日〜8月6日の雨量
表1:広島市・防府市・高知市の各事例の被害の比較 140826_table1

今回の土砂災害の気象的要因は1時間100mmレベルの短時間強雨

 広島市で大規模な土砂災害が発生した場所では、過去にも積算雨量が200mmから250mmとなる雨を観測したことがありましたが、その時は大規模な災害には至りませんでした。
 今回、土砂災害が発生する直前の広島市安佐北区三入東の雨量を見ると、20日午前2〜3時に90mm、午前3〜4時に121mmの雨が降っており、土砂災害発生時には1時間に100mm前後の猛烈な雨が観測されていたことが分かります(図4)。また、土砂災害発生直前の20日午前2〜3時の10分天気報告(※)のマップを見ると、「ゴォーー」と雨音が響く猛烈な雨の降り方をしている地点(黄色の丸印)が広島市から北東へ延びて密集していることが分かります(図5)。今回、大規模な土砂災害が発生した場所(図6)は「ゴォーー」という激しい雨の降り方をしていたエリアに含まれており、20日未明の短時間強雨が土砂災害発生の原因の一つになったと考えられます。

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図4:土砂災害発生時の広島市安佐北区三入東の雨量
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図5:20日午前2〜3時に届いた10分天気報告
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図6:土砂災害発生エリア(赤色で示す部分)

※) 10分天気報告
「10分天気報告」は、ウェザーリポーター650万人が利用する降雨予測サービス「10分天気予報」で報告された情報を公開しています。報告は、ウェザーリポーターが現在地における天気の情報を選択肢(晴れの際には"影はっきり""影うっすら"、曇りは"影なし"、雨は"ポツポツ""パラパラ""サー""ザーザー""ゴォーー")の中から選び、ウェザーニューズに送られてきます。「10分天気予報」の利用者は、10分ごとの天気を1時間先まで確認することができます。

土砂災害の規模を左右する地質の違い

 独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開している地質データ(図7)から、今回大きな被害があった広島県広島市や2009年に大規模な土砂災害が発生した山口県防府市では、薄いピンク色で表示される“後期白亜紀(K2)の花崗岩”の分布が目立つことが分かります。一方、高知市に広く分布しているのは、灰緑色で表示されている“ペルム紀(P)の付加コンプレックスの基質”や白色で表示されている“後期更新世-完新世(H)の海成または非海成堆積岩類”であり、地域により地質が異なっていることが分かります。
 さらに、広島市の航空写真(図8)を見ると、やや傾斜が急な扇状地が写っていますが、これは過去に繰り返し土砂災害が発生したことを示唆しています。過去の事例では、1999年6月29日、活発な梅雨前線の影響で九州、中国、中部地方の広い範囲で大雨となりました。広島県では集中豪雨により土石流などの土砂災害が発生し、県内だけで死者・行方不明者合わせて31人を数える甚大な災害になりました(6.29豪雨災害)。この時、高知県では最大積算雨量341mmを観測し、福岡県では最大雨量強度100mm/時を観測しました。積算雨量、雨量強度ともに高知県・福岡県を下回る値の広島県で当時、大規模な土砂災害が発生したのは、地質が大きな原因だったと考えられます。
 これらのことから、雨量強度や積算雨量だけでなく、地域による地質の違いも加味して土砂災害のリスク軽減を考える必要があります。1時間の雨量が100mmに達するような強雨の際は、崩れやすい地質の地域では特に土砂災害のリスクが高くなります。土砂災害による被害を少なくするためには、暮らしている地域の地形や地質を把握するとともに、雨の強さにも十分注意する必要があるでしょう。

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図7:独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開
している地質データ( https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php )
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広島市の航空写真(提供:アジア航測株式会社)

広島市は週末に再び雨、土砂災害・二次災害に警戒を

 広島市では29日(金)〜30日(土)にも雨が降る可能性があります。図9は土砂災害の前兆と言われる現象を4つ紹介しています。また、図9の現象以外にも、「土が腐った匂いがする」「沢や井戸の水が濁る」「異様な匂いがする」「川に流木が混ざる」「雨の日に川の水位が急激に下がる」なども土砂災害の前兆です。危険な兆候に遭遇したら、すぐに斜面から離れ、できるだけ丈夫な建物の2階以上の安全な場所へ避難して下さい。

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図9:土砂災害の兆候