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9月6日 JR蘇我駅周辺で発生した突風について

 2015年9月6日21時40分頃、千葉市中央区のJR蘇我駅付近で突風による被害が発生しました。突風による飛散物がJR外房線の車両の窓ガラスを破損し、外房線や京葉線などで一時運転見合わせになるなど公共交通機関への影響があったほか、JR蘇我駅周辺の住宅でも屋根が飛ばされる、電柱が折れる、看板やブロック塀が倒れるなど大きな被害がありました。ウェザーニューズ予報センターは現地調査を行い、被害範囲の幅が狭く直線的であることや、強い風が様々な方向から吹いた痕跡があることから、この突風は竜巻であると推定しています。また、今回の竜巻の強度は、被害状況から改良藤田スケールのEF1程度であると考えられます。


1.現地調査の結果

 突風が発生した翌日の9月7日早朝、当社はJR蘇我駅の南西側の被害現場を中心に現地調査を行いました。建物の複数の側面に被害の痕跡がみられる点や、物が倒れている方向が一定でない点、被害が直線的に続いていることから、今回の突風は竜巻である可能性が高いことがわかりました。被害の多くは、国道357号線とJR内房線・外房線の間の住宅街(図1のオレンジ色点線枠内)で確認されました。特に、千葉市中央区今井3丁目(図1の赤線枠内)付近では被害が激しく、住宅の屋根が飛ぶ、コンクリートの壁が倒れる、電柱が折れる、飛散物により窓ガラスが割れるなどの大きな被害が集中していました。

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図1:現地調査によって確認された被害およびウェザーリポーターから寄せられた被害リポート
※赤いピンは被害が確認された場所、矢印は被害状況から推測される突風の風向を示す。写真内の番号は本文中の番号と対応。

 被害状況をより詳細に調査した結果、図1写真③の住宅には複数の側面に被害の痕跡が見られました。また、図1写真①のコンクリート壁は西方向に、図1写真②の電柱は東方向に倒れているなど、物が倒れる方向が一定でないことがわかりました。これらの点から、突風は一方向から吹いたものでなく、様々な方向から吹いていたことが推測されます。さらに、国道357号線付近から北東方向に幅約100m、長さ約600mの範囲に直線的に被害の痕跡が続いており、これらは竜巻による被害の特徴と一致しています。
 また、被災地周辺にお住まいの人に当時の様子を伺ったところ、「ゴーとトラックが近づいてきた感じがした」、「飛行機が墜落したかと思った」、「激しい音は、30秒から1分で通りすぎた」など、激しい音とともに何かが近づいてきて去った様子を伺わせるコメントが得られました。このような証言や被害状況からも、今回の突風は竜巻であると推定されます。


2.当時の気象状況

 9月6日21時頃、本州の南岸付近に前線が停滞した影響で、南の海上から関東に向かって暖かく湿った空気が流れ込み(図2)、不安定な大気の状態が続きました。また、21時40分頃、千葉市付近では東京湾からの南西風と茨城県側からの東寄りの風がぶつかり合って局地的に強い風の収束が生じ、積乱雲が発生・発達しやすい気象状況となりました(図3赤点線枠内)。21時40分の関東付近の雨雲レーダー(図4)から、風が収束している千葉県の東京湾沿岸に沿って(図3赤線枠内)発達した雨雲が通過している様子がわかります。また、21時35分頃、当社が八街市に独自に設置している「WITHレーダー」も蘇我駅付近に発達した雨雲が接近する様子を捉えました(図5)。


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図2:9月6日21時の天気図
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図3:9月6日21時40分の地上風解析図
赤色ほど風の収束が強いことを示す
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図4:9月6日21時40分
気象庁レーダーによる降雨強度
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図5:9月6日21時34分
「WITHレーダー」による降雨強度
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図6:千葉市中央区川戸町に設置された独自観測システム
「WITHセンサー」が捉えた気圧変化

 さらに、当社が全国3,000カ所に設置している独自観測システム「WITHセンサー」が気圧変化を捉えました(図6)。蘇我駅の約3km東側(千葉市中央区川戸町)に設置されたセンサーでは、21時30分から21時42分にかけて発達した雨雲の通過に伴う気圧の下降や、急な気圧の上昇が観測されました(6分間で0.5hPa上昇)。これは、メソサイクロンと呼ばれる小さなスケールの低気圧の通過によって変化したと考えられます。このような急激な気圧の変動も竜巻発生時の特徴の一つです。


3. まとめ

 今回の突風は、現地調査や現地の方の証言から竜巻であったと推定されます。また、竜巻の規模は、現地調査の被害から最大でEF1程度と考えられます。当社は、今後も「WITHレーダー」や「WITHセンサー」など独自の観測網や全国850万人のウェザーリポーターからの報告を活用し、1秒でも早く竜巻を検知し情報を発信することで、竜巻による被害を軽減していきたいと考えています。