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2015年のスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ
今年の花粉は短期集中型!昨年より3週間短い花粉シーズンに
~西日本ほど飛散量は少なく症状も軽め、九州北部では9割減の地域も!〜
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、全国的にスギ・ヒノキの花粉シーズンの終了を迎え、一般の方と共に実施した「花粉プロジェクト2015」における花粉症及び、花粉飛散傾向のまとめを発表しました。花粉症に悩む一般の方や企業、病院などの協力のもと、全国1,000箇所に設置している花粉観測機「ポールンロボ」にて計測された花粉飛散量と、その周辺に住む花粉症の方82,013人の症状をまとめています。また、今年は新たにウェアラブルくしゃみカウンター「ポールンウォッチ」を開発し、会員と一緒にくしゃみの回数を数えて花粉飛散量との関係を調査しました。本発表は、インターネットサイト「ウェザーニュース」の『花粉のまとめ』(https://weathernews.jp/event/pollen2015/)、
スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の「花粉Ch.」、携帯サイト(https://wni.jp/?297)からご覧いただけます。
スギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ
◇花粉飛散量は東西で分かれた!東ほど多く、西ほど少ない結果に
〜静岡県の飛散量は昨年の2倍、佐賀県は昨年の9割減〜
2015年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国で昨年の約80%となりました。エリア別では、東北~関東、東海の飛散量は昨年よりも多く、静岡県では昨年の約210%、栃木県でも約190%を観測しています。一方で、西日本の飛散量は昨年よりも少なく、九州北部では昨年より非常に少ない飛散量(10~60%)となりました。
また、平年(2008-2014年の平均)の飛散量と比較すると、山形では約130%、青森では約120%など平年より飛散量が多かったエリアはあるものの、全国的には平年の約60%となりました。
東北や東日本で昨年より花粉の飛散量が多くなった要因として、昨夏は晴れて暑い日が多く、花粉を放出する雄花の生育に適した天候となったこと挙げられます。また、今年の東北や東日本は花粉が放出されやすい“表年”であったことも要因の一つとして考えられます。
一方、西日本で昨年より飛散量が少なくなった理由としては、昨夏は中国、四国、九州を中心に曇りや雨の日が多く、雄花の生育に不向きな天候となったことが挙げられます。さらに、四国・九州では花粉の放出が少ない“裏年”に当たったことで、より花粉が飛びにくい状況になったと考えられます。
今年の花粉は短期集中型!昨年より3週間短い花粉シーズンに
静岡県や九州の一部が一番初めにシーズンに突入してから、最後に岐阜県で飛散が終了するまでの期間は、昨年と比べて3週間程度短い花粉シーズンとなりました。また、飛散ピーク時期や花粉シーズン終了は全国的に昨年より1〜2週間早まり、飛散量がシーズンの前半に集中する傾向が見られました。今年の1月末〜2月上旬にかけて平年・昨年より寒い日が多く、通常この時期に花粉シーズンに入ることの多い関東や九州の一部では、花粉シーズン開始が昨年より1〜2週間遅れ、全国的にみても1週間の遅れとなりました。その後は冬型の気圧配置があまり続かなかったために寒気の影響を受けにくくなり、暖かい日が増えて各地で続々と花粉シーズンに入りました。
2月下旬も全国的に平年より暖かい日が続き、“春一番”が吹くなど花粉の飛散に好条件となったため、花粉シーズンに入って数日で急激に飛散量が増え、2月下旬〜3月はじめにかけて関東〜東海や西日本の広い範囲で早くも本格花粉シーズンに突入しました。その後、東北南部や北陸でも昨年より数日~2週間程度早く本格花粉シーズンを迎えました。
3月〜4月も西・東日本では時々平年より寒くなる日はあったものの暖かい日が多く、北日本でも平年より暖かい日が続きました。寒さの影響で花粉シーズン開始は全国的に1週間遅れたものの、その後の暖かさにより各地で続々と花粉シーズンや本格花粉シーズンを迎え、花粉シーズン終了は昨年と比べて1〜2週間早まりました。このため、今年の日本の花粉は短期集中型と言えそうです。
北海道のシラカバ花粉の飛散量は昨年より少なくなりました。昨夏は晴れて暑い日が多く、雄花の生育に好条件となりましたが、今年は花粉を放出しにくい裏年であったことが強く影響したと考えられます。シラカバ花粉の飛散ピーク時期は昨年とほぼ同じか数日早くなりました。
ツライ症状は花粉シーズン前半に集中!症状は全国的に昨年より軽め

花粉症の症状を調査するため、スマホアプリ『ウェザーニュースタッチ』内のウェザーリポーターの協力のもと、「非常にツライ」「ツライ」「ややツライ」「大丈夫」の4択から選んで症状を報告してもらいました。全国82,013名から日々寄せられた症状報告から、症状が出ている方で「ツライ」「非常にツライ」を選択した方の割合を調べました。
結果、西日本を中心に昨年より症状が軽い人が多いことがわかりました。これは、西日本におけるスギ・ヒノキ花粉の飛散量が昨年より少なかったことを反映していると言えそうです。
一方、東日本や東北の飛散量は昨年並〜多いにも関わらず、ツラく感じた方の割合が少ない結果になりました。理由としては、今年は短期集中型で花粉シーズン自体が昨年より短かったことが挙げられます。ただ、花粉シーズン前半〜中盤にツラく感じた人は昨年と比べて同程度〜多くなりました。これは飛散量が花粉シーズン前半に集中したためと考えられます。
花粉に“目”を光らせる「ポールンウォッチ」でくしゃみの回数と花粉数の関係を調査

今年は、新たにくしゃみをカウントする『ポールンウォッチ』を開発・配布し、くしゃみと花粉飛散量の関係を調査しました。配布を開始した3月20日から本州の花粉シーズン終了した5月7日にかけて、100名のモニターにくしゃみの回数をカウントしていただいた結果、花粉飛散量とくしゃみの数に相関が見られ、人間の感覚が花粉に敏感に反応していたことがわかりました。右図は、1日毎のくしゃみの総数と花粉飛散量(全国の平均値)の推移グラフです。3月20日以降でくしゃみの総数が最も多かったのは3月22日で、1人あたりのくしゃみ回数は平均8回となりました。 その後、3月26日~4月10日にかけてくしゃみ数が減少していき、以降はなだらかに減少していきました。また、くしゃみの回数は、花粉飛散量の変化に一歩遅れるかたちで推移していくことがわかりました。
『ポールンウォッチ』は、直径4cmのウェアラブルくしゃみカウンターで、くしゃみをする時に鼻を押すと、回数によって『ポールンウォッチ』の目の色が「青」から「黄」「赤」「紫」へと4段階で変化します。記録されたくしゃみの回数と時間は、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を通してウェザーニューズに寄せられました。来年は花粉シーズン開始からくしゃみの回数の変化を追い、花粉飛散量とくしゃみの関係を明らかにしていきます。
花粉飛散量と症状報告

※北海道はシラカバ花粉の飛散量。沖縄県は目立った花粉の飛散がないため除く
※症状は、各県の本格花粉シーズン開始日からシーズン終了までに症状が出ている方(“非常にツライ”“ツライ”“ややツライ”と回答した方)のうち、“非常にツライ”“ツライ”と回答した方の割合をまとめた結果
花粉・本格花粉シーズン開始・終了日

※本格花粉シーズン開始日/終了日:花粉症の症状が出始める花粉飛散数30個/日を超えた日/飛散がなくなった日
各エリアの見解
※表年:花粉飛散量が少ない年の翌年で、飛散量が多くなりやすい年
裏年:花粉飛散量が多い年の翌年で、飛散量が少なくなりやすい年