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ウェザーニューズ、2013年の夏の“ゲリラ雷雨”傾向の中間まとめを発表

“ゲリラ雷雨”発生回数、全国は昨年比2.7倍、東京では昨年比6.4倍を観測

~ 今後は8月下旬をピークに全国で多数のゲリラ雷雨が発生する見込み ~

株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、全国各地で突発的かつ局地的に大雨や雷をもたらしている“ゲリラ雷雨”に対し、十分な対策を取っていただくため、7月末~8月中旬までの“ゲリラ雷雨”発生回数および今後予想される“ゲリラ雷雨”発生傾向を発表しました。8月15日までに発生したゲリラ雷雨の発生回数を昨年と比較したところ、全国で昨年比2.7倍、関東南部で昨年比4.5倍増加していることから、これまでは関東の都市部で“ゲリラ雷雨”が多く発生していると言えそうです。8月下旬〜9月上旬の“ゲリラ雷雨”発生回数は西〜東日本を中心に増加する傾向で、8月15日以降は全国で昨年比1.6倍増加する見込みです。今後も発生する“ゲリラ雷雨”による被害を軽減するため、一人ひとりの減災意識を高め、“ゲリラ雷雨”に備えることが必要とされます。

今シーズンのゲリラ雷雨傾向

―7月末~8月中旬の“ゲリラ雷雨”発生傾向まとめ―

今年の夏は梅雨明けが早く、梅雨明けと同時に太平洋高気圧が強まりました。梅雨明け直後は、太平洋高気圧が西に強く張り出している状態が続いたため、雨雲が発生しにくく、昨年より“ゲリラ雷雨”の発生回数は少なくなりました。7月末は、太平洋高気圧の勢力が弱まったことにより、西~東日本の太平洋側でゲリラ雷雨が発生しやすくなりました。7月23日は目黒川が氾濫危険水位を超過、7月27日は隅田川花火大会が中止、8月12日は練馬区を中心とした局地的な豪雨が発生するなど、東京都内をはじめとする関東南部を中心にゲリラ雷雨が発生しました。都市部にゲリラ雷雨が発生したことで、落雷による停電や大雨による道路の冠水が起こり、交通機関や生活に大きな影響が出ました。東海地方より西における“ゲリラ雷雨”の発生回数は関東地方ほど多くはないものの、愛知県を中心に昨年よりも増加し、局地的な集中豪雨により道路冠水など生活へ影響を与えた日もありました。8月中旬は、太平洋高気圧の勢力が強まったため、“ゲリラ雷雨”をもたらす雲が発達しにくく、雷雨の発生は山沿いが中心となりました。
 これまでの“ゲリラ雷雨”発生回数は、全国的に昨年より多く発生している県が多く、特に関東地方を中心に発生回数が多くなりました。例として、関東南部で発生したゲリラ雷雨の回数を昨年と比較したところ、関東南部では8月15日までに300回発生し、昨年比で4.5倍増加していることが明らかになりました(東京都で昨年比6.4倍増、埼玉県で昨年比3.8 倍増、千葉県で昨年比6.2倍増、神奈川県で1.5倍増)。一方、四国・九州地方では、昨年と同程度、もしくは昨年より発生回数が少ない県もありましたが、これは太平洋高気圧の張り出しが西に強かったことが原因として考えられます。

20130820_0 ―8月下旬~9月の“ゲリラ雷雨”発生傾向―

8月下旬〜9月上旬は、一時的に太平洋高気圧の勢力が弱まることで、太平洋高気圧の縁を回って暖かく湿った空気が流れ込みやすくなる、あるいは、雨雲がより発達しやすくなるため、西~東日本でゲリラ雷雨が発生する見込みです。発達した雨雲の下では、激しい雷雨や突風を伴い、それが継続すると道路冠水や短時間での中小河川の増水などが発生する可能性があるため、注意が必要です。一方で、北日本(北海道や東北北部)では、低気圧や前線の影響を受けた雨が降ることがありそうです。9月中旬は、再び太平洋高気圧が強まって北~東日本を中心に厳しい残暑となり、ゲリラ雷雨の発生も徐々に落ち着いてくる見通しです。一方、西日本や東海地方では、高気圧の縁を回って流れ込む暖かく湿った空気の影響を受け、晴れることはあるものの、雷雨が発生しやすい見通しです。9月下旬になると、全国的に残暑が落ち着き、周期的に通過する低気圧・前線の影響を受けて雨が降るようになるため、ゲリラ雷雨の発生は少なくなる見通しです。今後のゲリラ雷雨の発生回数は、関東地方の各県で130回前後、東海地方では150回前後、近畿地方では110回前後と予想されます。今後も発生する“ゲリラ雷雨”による被害を軽減するため、一人ひとりの減災意識を高め、“ゲリラ雷雨”に備えることが必要とされます。

“ゲリラ雷雨”発生回数の求め方

“ゲリラ雷雨”をもたらす雷雲は、予め予測可能な前線による雨とは別で、“突発的”かつ“局地的” に発達し、事前に予測することが難しいのが特徴です。また限られた数しか設置されていないアメダスでは、全ての降雨を正確に観測できないのが現状です。当社では、全国500万人以上の利用者からなる降雨報告において、“ザーザー”以上の強い雨 (5段階中の2番目以上に強い雨)が報告された中で、前線等の影響による雷雨(事前予測ができていた雨雲)を除き、当日の朝の時点で予測できていなかった 雷雨を“ゲリラ雷雨”とし、10kmメッシュごとにカウントしています。昨年2012年の発生回数は8月3日~9月30日の期間で算出しています。

“ゲリラ雷雨”傾向について

当社では、日々、長期気象予測サービスの実用化に向けて取り組みをおこなっていますが、現在の気象予測の技術水準では、予測精度の誤差が大きくなる場合があります。この度の“ゲリラ雷雨”の傾向発表にあたり、気象機関や長期予報の有識者の複数の見通しを元に、総合的に見解を出しています。本リリースにおける情報につきましては、発表日における最新の見解になります。