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関東で記録的なスピード開花となった今年の桜に異変?

3月の記録的な高温の影響で、関東で不揃いな桜の目撃報告が多数に

~満開日のばらつきが例年より大きく、東京都の3人に1人が異変を実感~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、各地で桜の見頃シーズンを迎える中、全国のサポーター(スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」や携帯サイト利用者)から今年の桜に関する異変報告が多数寄せられたため、その実態を調査すべく、サポーターと共に異変の検証をおこない、この度その結果を発表しました。今回対象としたサポーターからの報告情報は、3月、4月に届いた約15,000通の桜に関する報告で、「さくらプロジェクト」に参加する一般の方の「マイ桜」約13,800本(4月3日現在の登録数)や名所の桜の開花状況について、寄せられた写真とコメントから分析を行いました。ウェザーリポートから、今年の桜は、特に関東でスピード開花となったほか、同じ場所でも咲き方が不揃いであるという特徴を持つことが分かりました。本検証結果は、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」や携帯サイト(https://wni.jp)にて公開しています。ウェザーニューズでは、今後もウェザーリポーターと共に桜の変化を追いかけ、地球環境について考えながら、日本の春の象徴である桜をより多くの方と楽しめるよう取り組んでいきます。

ウェザーリポートを基にした桜の開花状況に関する検証結果

左図:東京都目黒区3/22撮影 川の左岸は“満開”であるのに対し、右岸は“つぼみ”の状態。
中央図:東京都国分寺市3/22撮影 撮影地から3kmほど離れた府中市桜通りでは“満開”。
右図:東京都世田谷区3/22撮影 撮影地から4kmほど離れた砧公園では“満開”。

東京が桜の見頃シーズンを迎えた3月22日(金)〜23日(土)に寄せられた、桜の開花状況に関する報告を分析した結果、同じ区域や公園の敷地内であっても、場所によって桜の咲き方が不揃いであることが判明しました。各地から届いた写真とコメントによる報告を見ると、「桜並木など同じ場所であっても、いつもの年に比べて桜が咲きそろわない」「満開だと思って行ったのに、まだ咲いてなかった」というコメントが届いており、東京都目黒区からは、片方の川岸の桜は“満開”であるにも関わらず、対岸では“つぼみ”の状態と、咲き方が不揃いになっていることが分かる報告が寄せられました(上図:左)。また、東京都府中市の桜通りでは、23日(土)に満開を迎えましたが、3kmほど離れた場所にある武蔵国分寺公園の桜については、前日22日(金)に「見頃にはほど遠い」と報告がありました(上図:中央)。同様に、23日(土)に満開を迎えた砧公園がある世田谷区からは、「まだ五分咲き」と開花状況が異なっている報告が届きました(上図:右)。名所によって開花状況に大きな差が生じていたため、『あの名所が見頃ならここも見頃のはず』と出かけた場合、予想よりも咲いておらずがっかりしたという方も多かったかもしれません。
これらの報告をふまえ、30日(土)にスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を利用している全国の方に対し、「不揃いな桜を見かけましたか?」と質問したところ、11,206人の方から回答を頂きました。選択肢(“見た”“見ていない”)から回答して頂いた結果、各地から“見た”という報告が寄せられ、東京都では3人に1人が今年の桜の咲き方が変だと感じていることが判明しました。

桜の名所(東京都)における満開日傾向の比較

都内名所の満開日傾向
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桜の名所における今年の咲き方の特徴を調べるため、東京都内のソメイヨシノの名所26カ所の満開日(※) を過去10年平均と比較しました。その結果、今年は開花スピードが早く、満開になった日のばらつきが大きいことが判明しました。
都内の名所の満開日傾向(グラフ)を見ると、まず、名所の満開日の過去10年平均は4月2日頃にピークがあるのに対し、今年の満開日は3月23日頃に集中し、開花が異常に早かったことが分かります。さらに、過去10年平均では、満開日のピークが山型となって現れ、名所の桜が同時期に満開となっています。しかし、今年は3月23日頃に満開のピークが訪れた後、3月25日〜27日、3月29日頃に遅れて満開となった名所があることが分かりました。
“府中市の桜通り”と“国営昭和記念公園”の満開日を比較すると、差は10年平均で1日にも関わらず、今年の満開日は“府中市の桜通り”で3月23日、“国営昭和記念公園”で3月29日と、6日ほど満開のタイミングがずれていることが分かりました。
※ウェザーニューズ調べによる

マイ桜報告から判明 今年は生長スピードの個体差が大きい傾向に

東京のマイ桜の生長具合
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スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」や携帯サイトから参加できる「さくらプロジェクト」では、家の近くの公園や通勤路にある桜など、身近な桜から観察する一本“マイ桜”を決めて、つぼみから開花、満開、そして葉桜になるまでの生長を記録・共有しています。
通常、見頃シーズンを迎えると、“もうすぐ満開〜満開”の報告が全体の大部分を占め、“一輪開花〜けっこう咲いた”や“散り始め”の桜はほぼ現れず、生長具合のばらつきは小さくなります。過去3年のマイ桜報告を調べても、桜の生長具合に大きくばらつきが出るのは多くて2日間程度ですが、今年はその大きなばらつきが出た日が3日間(3月24日〜26日)ありました。つまり、満開を迎えた桜だけでなく、咲き始めや散り始めの桜も同時期にあったということを示しています。
これらマイ桜の報告から、今年は近年と比べて、桜の成長スピードが個体によって不揃いだということが判明しました。

今年3月、関東で史上最高気温を記録 桜のスピード開花の要因に

都内名所の満開日傾向
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開花に大きな影響を与える気温に注目し、その実態を明らかにするため、3月の東京の気温データを振り返りました。
東京では、3月10日(日)に史上最早で最高気温が25℃以上になり、19日(火)にも再び25℃以上を記録しました。3月のうちに2回25℃を上回ったのは史上初となります。また、3月の日平均気温の積算値を見ると、5年平均では308℃だったのに対し、今年は375℃に達しました。この高温傾向が影響し、3月の平均気温は関東で史上1位の高温となりました。
これは、今年3月は低気圧が日本海をたびたび通過し、南からの風が吹く日が多くなったことが原因の一つとして考えられます。この風の影響で暖かい空気が流れ込み、日本各地で記録的な暖かさとなりました。この暖かさにより、一気に桜の生長が進み、西~東日本で早い開花を迎え、開花が遅かった昨年と比べると名所の桜は平均で2週間、過去5年平均と比べると平均で10日早い開花となりました。 3月の気温が通常通りの年(約15℃)では、桜の咲き方に対して、人々の「今年は開花が早い」「見頃が長い」などの感覚に大きな差が出ることはありません。ただ、今年のように記録的な暖かさとなった場合、立地条件や桜の個体差による影響が大きく出た可能性があります。今回の検証結果から、ある一定の温度を超えると、立地条件や桜の個体差による影響が開花スピードとして大きく現れる可能性があると言えそうです。
これは、微気象(※)という小さな範囲で起こる気象環境の違いが、植物に影響を及ぼしたことが要因と考えられます。今回、全国のサポーターから日々寄せられる報告から、桜がまばらに咲いている事実を確認することができました。微気象が桜にどう変化させるのか、まだ明らかになっていない点が多いですが、ウェザーニューズでは、今後もサポーターと日本の桜を見守ることで、変化を追いかけ新たな発見につなげていきます。
※微気象:数メートル範囲で影響が出る気象現象