2026.03.27
小笠原を最も気象観測密度が高い気象DX先進エリアへ、プロジェクトが始動

30余りの島々からなる世界遺産・小笠原には、2,500人の島民が暮らしています。
また、東京から船で片道24時間かかりますが、小笠原にしかない豊かな自然を求めて年間3万人が訪れます。
しかし、小笠原には切実な課題がありました。
それは「天気が当たらない」こと。
予測不能なゲリラ雷雨や突然の大雨は、島民の日常だけでなく、観光客の安全をも脅かしています。
この課題を解決するため、ウェザーニューズと東京都はタッグを組み、とあるプロジェクトを開始しました。
小笠原村、小笠原支庁、ウェザーニューズがAI気象予測の社会実装に向けて協定を締結
小笠原で天気予報が当たらない原因は、観測機器の不足です。
東京から南に約1,000kmの太平洋上に位置しており、日本の気象庁が設置する気象レーダーの範囲外です。
しかも、アメダスの観測地点も父島にしかありません。
雨が降るということを事前に予測できていたかを評価する「降水補足率」の数字も、小笠原の天気予報がいかに当たらないかを示しています。
全国平均が80%であるのに対して、小笠原の降水補足率は59%とても低いのです。
これは、天気マークが晴れや曇りなのに雨が降ってしまう、ということ。

令和5年10月にはゲリラ雷雨によって街が浸水した被害もありました。
島の人たちも天気予報は曇りマークだけど、今日は雨が降りそうだな〜なんて自分の経験と勘を頼りにしている人も多いとか。
そこでウェザーニューズは、小笠原域における豪雨被害の軽減や気象予測の精度向上を目指して小笠原村、および東京都小笠原支庁と協定を締結。
小笠原村の気象災害軽減を目的としたプロジェクト 「小笠原を最も気象観測密度が高い気象DX先進エリアへ」を始動させました。

実際、プロジェクト始動に際して島民の方々に意識調査を実施したところ、
「現在の気象予報・実況情報(アメダス、レーダー情報など)の全体的な満足度」については どちらともいえない人が34%、満足していない人が33%、という結果となりました。
満足していない理由は、 「突然の雨に遭遇した」 「風や波の状況が予報と異なり、業務やレジャーに支障が出た」 といった声が70%近く寄せられ、現場が課題を感じていることが明らかです。
また、「小笠原村独自のきめ細かな気象情報があれば利用したいと思うか」 という問いに対しては、90%以上の方が「利用したしたい」と回答しており、プロジェクトへの期待が感じられます。

引用:「小笠原を最も気象観測密度が高い気象DX先進エリアへ 気象情報の活用状況の調査結果|2025年度|東京都小笠原支庁」(総務省の資料より)
IoTセンサーを設置、AI技術を活用し低コストで気象予測の精度向上へ
本プロジェクトでは、ウェザーニューズが保有するライブカメラや、予報業務に利用できる「補完観測」として日本で初めて認められた1高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」を父島、母島に多数設置し、 小笠原村の気象環境を高密度に把握するための独自観測網を構築します。
従来の天気予報は、1台数億円もの費用を要する巨大な気象レーダーに依存していました。
しかし今回は、小型センサーとAIを駆使し、低コストで高精度な予測を実現します。

得られた観測データや予報は小笠原村の職員・島民への通知に利用したり、無料のアプリやウェブサイト「ウェザーニュース」から確認することができる予定です。
島の住人はもちろん、観光で訪れるすべての方々へ安心と安全を届けていきます。
気象IoTセンサー「ソラテナPro」とライブカメラの設置を拡大中

プロジェクトの実現に向け、観測機設置のための現地調査を2025年12月に実施しました。 実際に「ソラテナPro」を設置した時にデータが取得できる環境であるか、 設置場所の検討と設置の許可申請の準備など、約1週間かけて実施しました。
バッテリーや観測機など計10kgのを背負い、母島最高峰の「乳房山」を登山しながらデータの取得状況をテスト。
通信環境の試験は無事クリアしました。
2026年3月には観測機器の設置箇所を増やし、現在、ソラテナは小笠原諸島内の6箇所、ライブカメラは5箇所への設置が完了しています。

現地調査や観測機設置のために小笠原を訪れたウェザーニューズのスタッフが、口を揃えて話してくれるのは小笠原の自然について。
中でも、島トマトの美味しさには全員が驚いていました。
私もお土産で1粒いただきましたが肉厚で甘味・旨味が強く、フルーツのようなおいしさに広報チーム一同が沸きました🍅✨
生産した島トマトはほとんどが島内で消費されるため、島の外で食べられる機会は非常に稀だそうです。
その他、小笠原にしか生息しないコウモリや透き通る海の美しさなど、小笠原の魅力に触れたスタッフが目をキラキラさせて帰ってくるのが印象的でした。

独自観測網を活かし、AI予測モデルを開発
設置が完了したライブカメラのデータは、すでに天気アプリ「ウェザーニュース」から見ることができます。
今後は、小笠原の観測データや衛星画像などを活用し、独自のAI予測モデルを開発する予定。
3年連続予報精度No.1を獲得したウェザーニューズの予測技術を活かし、高精度な天気予報を提供することで島民や来訪者の安全に貢献していきます。
また私たちは、本プロジェクトを通して得られたノウハウを他地域の発展に役立てるなど、技術の展開も視野に入れており、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進していきます。
