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ウェザーニューズ、全国約8,000本の「桜の健康診断2016」の結果を発表

桜の健康状態は過去6年で最悪、樹勢衰退への警鐘

~今年は北海道・東北北部・九州で悪化、日照不足や台風15号が原因か〜

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、全国の桜の健康状態をまとめた「桜の健康診断2016」の結果を発表しました。今年の桜の健康状態は過去6年の調査で最悪の結果となりました。本調査では、3月23日〜5月17日、全国8,173人にスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」と携帯サイトを通じて、身近な桜の花の咲き方や幹の状態など6項目(日当たり、樹形、花の咲き方、幹の状態、樹皮の状態、花数)の質問をしました。その結果を集計して健康度を指数化し、「優良」「正常」「やや生育不良」「生育不良」の4段階で判定しました。

▼ポイント
(1)桜の健康状態は過去6年で最悪、「優良」の判定をギリギリ保つ結果に。
(2)今年は北海道・東北北部・九州で健康状態が悪化。日照不足や台風15号が原因か。

「桜の健康診断2016」はこちらから
スマホアプリ
「ウェザーニュースタッチ」
「さくらCh.」からアクセス
ウェブサイト
「桜の健康診断2016」
https://weathernews.jp/s/topics/201606/080035/
携帯サイト
「さくらCh.」からアクセス
https://wni.jp/?177

(1)桜の健康状態は過去6年で最も悪い結果に

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全国8,173人から寄せられた回答を集計して健康度を指数化し、「優良(1.00~1.75)」「正常(1.76~2.50)」「やや生育不良(2.51~3.25)」「生育不良(3.26~)」の4段階で判定しました。その結果、今年の桜の健康度は総合的に「優良(-)」の判定となりました。「優良」の範囲内ではありますが、2011年の1.49と比較すると2016年は1.70と0.21健康度が悪化し、過去6年で最も悪い結果となりました。桜の健康状態が悪化し、樹勢が衰退傾向にあると言えそうです。  日本花の会 樹木医の和田博幸氏からは「健康度が低下しても、1〜2年単位ではほとんど変化に気づきませんが、衰退が5年も続くと太枝が2、3本は枯れます。これは明らかな変化です。樹勢衰退の警告と捉えられます。(中略)」とコメントをいただいています。

sakurashindan2016_2 また、今年全国で「優良」と判定された桜は約6割となり、約7割(67%)だった昨年から約10ポイント健康度が悪化しました。さらに項目別に見ても、「花の咲き方」や「幹の状態」は悪化傾向となっています。
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*花の咲き方:「まだら咲き」の回答が増加傾向  
「花の咲き方は?」と質問し、「木全体にまんべんなく花が咲いている」「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の3項目から回答いただきました。その結果、「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の合計が、過去6年で初めて3割を超え、きれいに咲きそろわない「まだら咲き」のエリアが多かったことがわかりました。これは、3月上旬まで暖冬傾向でつぼみが膨らんでいたところに、3月中旬〜下旬に強い冷え込みがあったことが影響したと思われます。

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*幹の状態:不健康な状態の回答が増加  
「幹の状態は?」と質問し、「穴や切られたアト、窪みは無い」「穴や切られたアト、窪みなどが少しある」「穴や切られたアト、窪みなどがかなり目立ち、もしくはキノコが生えている」「大きく切られたり、もしくはキノコが生えている」の4項目から回答いただきました。その結果、穴や切られたアト・窪み・キノコが生えているなど、不健康な状態の回答の合計が過去6年で初めて5割を超えました。  また、今回の「桜の健康診断」とは別に、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」内で調査を実施し、「周辺の桜に以下のような病気の特徴が見られるか?」と質問し、「大丈夫」「コブがあった」「キノコが生えていた」「どちらもあった」の4択で回答いただきました。こちらも、桜に何らかの病気の特徴があったとする回答が全国で24%にのぼり、改めて病気を持つ桜の多さがわかりました。(4月10日実施、全国2,268人が回答)

(2)今年は北海道・東北北部・九州で健康状態が悪化。日照不足や台風15号が原因か

エリア別に見ると、「優良」のエリアが大半をしめているものの、一昨年・昨年に比べて北海道、東北北部や九州などで「正常」のエリアが増加し、悪化の傾向となりました。桜の花芽が形成される2015年夏の気象条件を見てみると、東北北部の太平洋側では8月下旬の“やませ(冷たく湿った東風)”が影響して日照時間が短くなりました。そのため光合成が足りず、桜の健康度に影響を及ぼしたことが考えられます。また、九州では各県で健康度が30位以下となるなど悪めの結果となりました。これは、2015年8月後半に前線の影響で日照時間が短かったことや、熊本に上陸した台風15号により桜の木や葉が傷ついたことが原因として考えられます。

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▼「桜の健康診断」とは  
ウェザーニューズでは、毎春美しい姿で楽しませてくれる桜の健康を見守り、また桜を大切にする気持ちを広く育むことを目的として、毎年全国規模で「桜の健康診断」を実施しています。ソメイヨシノの寿命は60年と言われ、ソメイヨシノは戦後間もない時期に多く植えられたので、当時植えられたものはすでに寿命を過ぎていることになります。老化により弱った桜・病気の桜が増えるのは自然のことで、今回の「桜の健康診断2016」の結果もその傾向を反映していると考えられます。ただ、土の改善や病気の治療など、人が手当てを行うことによってその寿命を延ばすことができます。桜の名所の中には、現地の方々の大きな努力により、寿命を過ぎた桜たちが元気に花を咲かせているところもあります。ウェザーニューズでは、来年以降も継続的に健康診断を実施し、桜の健康状態の変化を追うことによって、桜を大切にする気持ちが全国に広がるよう努めてまいります。

*日本花の会 樹木医 和田博幸氏からのコメント
『今回の解析結果は、私のサクラの樹勢について感じていたことと、総体的に似た結果が出ています。サクラの老齢化に加え、枝に付くコブが増えていることも影響して、開花時の見応えが例年よりも劣り、そのことが健康度の低下に現れたのではないかと思われます。急激な気象変化が多い昨今、老齢化しつつあるサクラ(ソメイヨシノ)には、今年は厳しい春の気象だったようです。健康度が低下しても、1〜2年単位ではほとんど変化に気づきませんが、衰退が5年も続くと太枝が2、3本は枯れます。これは明らかな変化です。樹勢衰退の警告と捉えられます。 サクラの老齢化とそれに伴う介護が不足しています。生育環境と病気へのケアに手を差し伸べて、健全な余生を送れるような仕組みを社会で作る必要があります。(本健康診断が)そのお役に立てるような活動になればいいですね。』

▼「桜健康診断」都道府県別結果

20162015
順位都道府県健康度判定順位都道府県健康度判定
1位徳島県1.51優良(-)1位佐賀県1.48優良
2位島根県1.56優良(-)2位群馬県1.53優良(-)
3位岡山県1.58優良(-)3位鳥取県1.54優良(-)
4位佐賀県1.60優良(-)4位栃木県1.58優良(-)
5位宮城県1.62優良(-)5位埼玉県1.59優良(-)
6位和歌山県1.62優良(-)6位福岡県1.59優良(-)
7位栃木県1.62優良(-)7位長崎県1.60優良(-)
8位群馬県1.63優良(-)8位和歌山県1.60優良(-)
9位茨城県1.63優良(-)9位兵庫県1.61優良(-)
10位大阪府1.64優良(-)10位愛媛県1.61優良(-)
11位埼玉県1.65優良(-)11位徳島県1.61優良(-)
12位愛媛県1.65優良(-)12位宮崎県1.62優良(-)
13位鳥取県1.65優良(-)13位滋賀県1.62優良(-)
14位山形県1.65優良(-)14位大阪府1.62優良(-)
15位愛知県1.66優良(-)15位鹿児島県1.63優良(-)
16位香川県1.66優良(-)16位高知県1.63優良(-)
17位福島県1.66優良(-)17位岡山県1.63優良(-)
18位滋賀県1.66優良(-)18位東京都1.64優良(-)
19位兵庫県1.67優良(-)19位茨城県1.64優良(-)
20位神奈川県1.68優良(-)20位神奈川県1.65優良(-)
21位長野県1.69優良(-)21位愛知県1.65優良(-)
22位山梨県1.69優良(-)22位富山県1.66優良(-)
22位福井県1.69優良(-)23位岐阜県1.66優良(-)
24位秋田県1.69優良(-)24位青森県1.66優良(-)
25位山口県1.70優良(-)25位山梨県1.66優良(-)
26位新潟県1.70優良(-)26位福島県1.67優良(-)
27位奈良県1.71優良(-)27位静岡県1.67優良(-)
28位東京都1.72優良(-)28位島根県1.67優良(-)
29位千葉県1.72優良(-)29位千葉県1.67優良(-)
30位鹿児島県1.72優良(-)30位宮城県1.68優良(-)
31位京都府1.72優良(-)31位熊本県1.68優良(-)
32位広島県1.73優良(-)32位福井県1.68優良(-)
33位長崎県1.74優良(-)33位京都府1.68優良(-)
34位大分県1.74優良(-)34位大分県1.69優良(-)
35位石川県1.75優良(-)35位香川県1.69優良(-)
36位三重県1.75優良(-)36位山形県1.69優良(-)
37位富山県1.75優良(-)37位広島県1.70優良(-)
38位静岡県1.75優良(-)38位三重県1.70優良(-)
39位福岡県1.76正常(+)39位山口県1.71優良(-)
40位北海道1.76正常(+)40位新潟県1.72優良(-)
41位熊本県1.77正常(+)41位岩手県1.74優良(-)
42位岐阜県1.78正常(+)42位長野県1.74優良(-)
43位宮崎県1.78正常(+)43位奈良県1.74優良(-)
44位青森県1.79正常(+)44位北海道1.74優良(-)
45位高知県1.80正常(+)45位秋田県1.77正常(+)
46位岩手県1.84正常(+)46位石川県1.78正常(+)
全国平均1.70優良(-)全国平均1.65優良(-)

 

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