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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴を発表

ダブル高気圧が“ゲリラ豪雨”を抑制、発生数は過去4年平均の半分以下

〜関東の発生数は1/3程度も、帰宅時間帯を直撃し社会的影響が大きかった夏に〜

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、2018年夏のゲリラ豪雨の発生回数と、“ゲリラ雷雨まとめ調査”の結果を発表しました。今シーズン(720日~919日)のゲリラ豪雨の発生回数は、8月をピークに全国で合計3,501回、過去4年平均(8,965回)と比較すると、半分以下となりました。猛暑をもたらした“ダブル高気圧”が、ゲリラ豪雨の発生を抑制したことが要因の一つです。
 スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を通じて“ゲリラ雷雨まとめ調査”を実施した結果(調査期間103日~8日:、回答者数:11,307人)、発生回数は少なかったものの、全国の2人に1人がゲリラ豪雨に遭遇、被害を受けたことがわかりました。遭遇率・被害率のTOP3を占めた関東では、ゲリラ豪雨が帰宅時間帯を直撃し、社会的影響の大きいゲリラ豪雨が発生した年でした。
 ウェザーニューズは、来年も引き続きゲリラ豪雨の監視・予測を行い、全国の方と共にゲリラ豪雨による被害軽減に努めていきます。

<ポイント>
1.猛暑と秋雨前線によりゲリラ豪雨発生回数は3,501回で例年の半分、8月をピークに集中発生
2.全国的にゲリラ豪雨は少なかったものの、関東では帰宅時間帯を直撃し社会的影響が大きかった
3.全国の2人に1人がゲリラ豪雨で被害、東京都・神奈川県では“交通機関に影響”が最多に

一般向けウェブページ「ゲリラ豪雨2018まとめ」
https://weathernews.jp/s/topics/201810/230185/

1】今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴
発生回数:今夏はゲリラ豪雨が少なかった!発生回数は過去4年平均比0.4

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 今シーズン(720日~919日)の全国のゲリラ豪雨の発生回数は合計3,501回で、ゲリラ豪雨が少なかった昨年(3,479回)と比較すると、全国平均で同程度となりました。過去4年平均(8,965回)と比較すると、発生回数は全国平均で半分以下、関東で1/3程度、ほとんどの都道府県で半分前後と少なくなりました。
 エリアで見ると、ゲリラ豪雨は東日本で比較的多く、最も多かったのは愛知県の232回、次いで栃木県で223回でした。いずれの県も寒気の影響を受けたり、湿った空気が流れ込みやすかった8月に集中して発生しました。 (※詳細は、本プレスリリース最後の「◆参考情報:都道府県別ゲリラ豪雨発生回数」を参照ください。)

発生時期:今夏のゲリラ豪雨は8月に集中発生、寒気+湿った空気が影響

 月別に見ると、全国のゲリラ豪雨の発生回数は7435回、82,685回、9381回と8月にピークを迎え、夏休みの真っ只中を襲う形となりました。今夏は強い高気圧に覆われた日が多く、雨雲が発達しにくい状況が続きましたが、8月は上空に度々強い寒気が通過しました。積乱雲が発生・発達しやすい状況となったことで、西・東日本の各地でゲリラ豪雨が発生し、特に、湿った空気が流れ込んだ太平洋側の山沿い地域で多く発生しました。

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ゲリラ豪雨が少なかった理由:猛暑をもたらした“ダブル高気圧”と9月の秋雨前線

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 今夏は、チベット高気圧と太平洋高気圧が張り出して上空で重なる“ダブル高気圧”が日本を覆ったことが特徴です。これにより、埼玉県の熊谷市で国内観測史上最高の41.1を観測するなど、各地で記録的な猛暑となったほか、全国的にゲリラ豪雨が発生しにくい気象条件となりました。
 “ダブル高気圧”に覆われると、上空の高い所から下降気流が発生して雲の発達が抑制され、ゲリラ豪雨が発達しにくい状況となります。7月はより強い高気圧に覆われたため、ゲリラ豪雨の発生が少なくなりました。
 8月も引き続き高気圧に覆われましたが、上空の寒気の影響でゲリラ豪雨が7月や9月と比較して多くなりました。
 9月は秋雨前線や低気圧が度々通過した上に、台風21号や24号による影響を受けた日もあり、スッキリしない天気が続きました。季節の移り変わりとともに、ゲリラ豪雨の発生回数が減少し、ゲリラ豪雨シーズンの終了を迎えました。

首都圏では帰宅時間帯を直撃、発生回数は少なかったものの社会的影響大

 今シーズンはゲリラ豪雨が過去4年平均で少なくなりましたが、影響がなかったわけではありません。関東は帰宅時間帯に激しい雷雨に見舞われたのが印象的です。

 関東での事例をあげると、827日は夜にかけて1万回近い雷(※)があり、東京都や埼玉県を中心に停電が相次ぎました。また、東京都世田谷区付近では、レーダーによる解析で21時までの1時間に約110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁から記録的短時間大雨情報が発表されました。都内の主要幹線である環状8号線でも大規模な冠水が発生、一部鉄道では停電により遅れや運転見合わせが発生し、帰宅の足を直撃しました。
 また、9月には17日、18日と2日連続で夕方以降に雷雨となり、18日は東京のアメダスでも1950分までの1時間に38.5ミリの雨を観測しました。1時間に30ミリ以上の雨を観測したのは約2年ぶりのことです(2016820日:47.5ミリ)。
 シーズンを通してみると、発生回数は少なかったものの、社会的影響の大きなゲリラ豪雨が発生した年となりました。

東京都杉並区(8月27日)
「JR中央線ガード下アンダーパスが増水のため、環状8号線は通行止めになっています。」
東京都北区(8月27日)
「雨宿りの人で駅の構内は一杯です。」
羽田空港(9月17日)
「雷雨のため羽田空港は、フライト遅れが出ています!軒並み定刻遅れ」
関東の雨雲の様子(9月18日19:30頃)

参考資料 :全国的なゲリラ豪雨多発日・影響の大きかった事例

日付

発生回数

要因

備考

8月12日

322回

前線と暖湿流

東海で激しい雷雨。愛知県名古屋市で冠水発生。

8月13日

387回

前線と暖湿流

東京で大規模なゲリラ豪雨。落雷報告も多数届く。

8月27日

135回

前線

関東で激しい雷雨となりヒョウ・突風も。冠水や停電で、交通機関に影響発生

8月31日

608回

前線と暖湿流

西・東日本の各地でゲリラ豪雨が発生。関東からは冠水報告が届く。

9月17日

75回

寒気

関東を中心にゲリラ豪雨が発生。落雷報告も多数届く。

9月18日

64回

寒気

17日同様に、関東を中心にゲリラ豪雨が発生。激しい雨で冠水報告も。


22018年“ゲリラ雷雨まとめ調査”結果

 103日~8日にスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」を通じて、2018年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国11,307人の方々から回答をいただきました。

ゲリラ雷雨遭遇率TOP3は関東、約7割が遭遇

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 「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、全国の57.2%が“遭遇した”と回答しました。発生回数は全国で過去4年平均の半分以下だったものの、2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇していたことが判明しました。
 都道府県別にみると関東では“遭遇した”方の割合が高く、1位は栃木県(74.8%)、2位は東京都(74.1%)、3位は埼玉県(74.0%)と遭遇率TOP3は関東が独占する結果となりました。

発生回数は少ないものの、2人に1人がゲリラ雷雨で被害
 東京都・神奈川県では“交通機関に影響”が最多に

 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、約2人に1人(46.7%)が何かしらの被害にあったことがわかりました。都道府県別に見ると、被害にあった割合は1位が栃木県(60.9%)、2位が埼玉県(58.9%)、3位が群馬県(56.8%)と、遭遇率と同様にTOP3を関東が占める結果となりました。
 また、被害を受けた方(※)に具体的な内容を伺ったところ、2人に1人は“交通機関に影響(50.9%)”や“道路冠水(50.5%)”を体験しており、また5人に1人は“停電(21.8%)”の被害があったようです。
 ゲリラ雷雨の遭遇率と被害率の高い関東に注目し、それぞれの都県で最も回答の多かった被害をみると、“道路冠水”だったのが群馬県(71.6%)、茨城県(59.0%)、千葉県(57.0%)、埼玉県(55.6%)、栃木県(54.3%)、一方、神奈川県や東京都は“交通機関に影響”が多く、それぞれ64.4%、61.9%を占めていました。当該地域は電車やバスなど公共交通機関を主な移動手段としている人が多く、また、今夏はゲリラ豪雨が帰宅時間帯を直撃したため、影響を受けた方が多いのかもしれません。
被害を受けた方:“ゲリラ雷雨に遭遇した”の回答から“被害なし”の回答を除く

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※“被害なし”の回答を除く

4人に1人が想定外の出費、東京都は昨年以上の出費率に

 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、出費額は全国平均で2,584円となり、4人に1人(25.6%)が何らかの出費があったと回答しました。都道府県別にみると、1位は沖縄県(41.9%)で、2位は滋賀県(37.7%)、3位は広島県(32.0%)となりました。2017年の同調査で1位だった東京都は、今回5位 (30.4%)ですが、出費率は2017年よりも5.3ポイント上昇していました。
 また、“想定外の出費があった”と回答した方に「出費の具体的な内容」を伺ったところ、最も多かったのは“傘を購入(59.5%)”で、次いで“タクシーを利用(25.8%)”という結果でした。少数ではあるものの“家屋の修理”“車の修理”“ケガによる通院”の回答もあり、被害を受けた方も見られました。

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 今シーズンはゲリラ豪雨の発生回数が少なくなりましたが、発生した際は様々な被害をもたらし、生活への影響も大きい事例が印象的です。このことからも、ゲリラ豪雨は回数の多寡を問わず警戒が必要な気象現象と言えます。ウェザーニューズは、ゲリラ豪雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしていきます。

参考情報:都道府県別ゲリラ豪雨発生回数

 

2018年7月20日〜9月19日(回)

昨年の発生回数(回)

昨年比(倍)

過去4年平均比(倍)

7

8

9

合計

北海道

0

0

11

11

118

0.1

0.1

青森県

0

0

7

7

61

0.1

0.1

秋田県

0

4

2

6

60

0.1

0.1倍未満

岩手県

0

11

8

19

122

0.2

0.2

山形県

0

18

0

18

8

2.3

0.1

宮城県

0

68

1

69

19

3.6

0.8

福島県

5

102

2

109

46

2.4

0.8

茨城県

5

100

52

157

47

3.3

1.0

栃木県

14

197

12

223

125

1.8

0.9

群馬県

16

135

1

152

71

2.1

1.1

千葉県

27

71

36

134

59

2.3

0.6

東京都

6

118

53

177

134

1.3

0.9

埼玉県

6

108

24

138

41

3.4

0.7

神奈川県

15

80

13

108

78

1.4

0.3

山梨県

4

77

4

85

23

3.7

0.6

長野県

10

188

0

198

107

1.9

0.7

静岡県

53

132

8

193

106

1.8

0.8

愛知県

27

176

29

232

85

2.7

1.4

岐阜県

31

112

9

152

108

1.4

0.3

三重県

7

83

8

98

82

1.2

0.8

新潟県

0

22

0

22

26

0.8

0.2

富山県

0

20

0

20

19

1.1

0.2

石川県

0

3

0

3

5

0.6

0.1倍未満

福井県

0

10

0

10

7

1.4

0.1

滋賀県

9

66

3

78

121

0.6

0.7

京都府

8

81

7

96

164

0.6

0.4

奈良県

1

30

8

39

120

0.3

0.3

兵庫県

34

76

5

115

195

0.6

0.5

大阪府

38

101

11

150

177

0.8

0.2

和歌山県

7

3

2

12

50

0.2

0.1

鳥取県

0

18

7

25

46

0.5

0.1倍未満

島根県

0

18

0

18

8

2.3

0.3

岡山県

0

69

0

69

122

0.6

0.3

広島県

2

79

3

84

120

0.7

0.3

山口県

5

39

0

44

72

0.6

0.2

香川県

2

2

0

4

14

0.3

0.1倍未満

徳島県

3

9

0

12

41

0.3

0.1

愛媛県

2

12

1

15

22

0.7

0.2

高知県

1

9

4

14

48

0.3

0.3

福岡県

34

103

0

137

204

0.7

0.5

大分県

3

20

2

25

52

0.5

0.3

佐賀県

6

32

0

38

77

0.5

0.4

長崎県

4

23

0

27

88

0.3

0.3

熊本県

25

33

7

65

68

1.0

0.4

宮崎県

4

15

15

34

39

0.9

0.4

鹿児島県

17

12

19

48

22

2.2

0.6

沖縄県

4

0

7

11

52

0.2

0.1

全国

435

2685

381

3501

3479

1.0

0.4

※「昨年の発生回数」の集計期間:2017710日~930

参考情報:ゲリラ豪雨発生回数と昨年比

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参考情報:エリア別のゲリラ豪雨発生回数

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※“ゲリラ豪雨(雷雨)”について
 ウェザーニューズでは、これまで本まとめを発表する際に、“ゲリラ雷雨”という言葉を使用してきましたが、2017年より『減災を目指す上でより広く認知いただくために』一般にあるいはメディアでよく使用されている“ゲリラ豪雨”も同意語として使用することとしました。 “ゲリラ雷雨防衛隊”の取り組みの一環として実施した調査結果(本まとめ「【22018年“ゲリラ雷雨まとめ調査“結果」)については、企画名のため“ゲリラ雷雨”と表記しています。

 “ゲリラ豪雨”をもたらす雨雲・雷雲は、予測可能な前線による雨雲とは異なり、“突発的”かつ“局地的” に発達するのが特徴です。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の全国のユーザーから届く降雨報告において、“ザーザー” (5段階中の2番目)以上の強い雨が報告され、かつ、過去1時間に雨の報告が2割以下の場合を “ゲリラ豪雨”とし、10km四方ごとにカウントしています。

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