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ウェザーニューズ、全国4,500本の桜の健康状態を調査

【桜の健康診断2019】桜の健康状態は過去最悪に、猛暑や台風が影響か

~健康度1位は3年連続上位の山形県、最下位は福井県に~

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、スマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、桜の健康状態をチェックする調査「桜の健康診断2019」を実施し、本日、結果を発表しました(調査期間:318日~523日、参加人数:4,553人)。今年の桜の健康度を12段階(※)で判定すると、全国平均で「優良(-)」の判定となり、2011年の調査開始以来最悪の値(1.73)となりました。桜の健康状態は年々悪化しており、樹勢が衰退傾向にあるといえます。これは昨年夏の猛暑や台風の影響などが要因として考えられます。
 桜の健康度を都道府県ごとにみると、ランキング最下位は福井県となりました。今年は特に「花の咲き方」の悪化傾向が西日本や東日本の太平洋側を中心に目立っており、これには、開花前後の気温や冬の降水量が影響していると考えられます。
 日本で1番多い桜、ソメイヨシノの寿命は60年と言われ、元気な姿を保つには、弱っている桜を早めに見つけ、手当をすることが大切です。ウェザーニューズは今後も定期的に『桜の健康診断』を実施し、日本の春を彩る桜の健康を、全国の皆さんと見守っていきます。

桜の健康度は、ウェザーニューズ独自で次のような定義をしています。
優良(+):1.001.25/優良:1.261.50/優良(-):1.511.75/正常(+):1.762.00/正常:2.012.25/正常(-):2.262.50/やや生育不良(+):2.512.75/やや生育不良:2.763.00/やや生育不良(-):3.013.25/生育不良(+):3.263.50/生育不良:3.503.75/生育不良(-):3.76
(対象とする桜は、エゾヤマザクラやチシマザクラなどソメイヨシノ以外も含んでいます。)

『桜の健康診断2019』結果詳細はこちら
スマホアプリ「ウェザーニュース」をダウンロード後、「さくらCh.」にアクセス
または
ウェザーニュースウェブサイト「桜の健康診断2019
https://weathernews.jp/s/topics/201906/090105/

桜の健康状態は調査開始以来最悪に、樹勢の衰退傾向が続く

 『桜の健康診断2019』は、スマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、身近な桜の「日当り」 「樹形」 「花の咲き方」 「幹の状態」 「樹皮の状態」 「花数」の6項目を質問しました。各項目の回答を集計して健康度を指数化し、「優良(+)」から「生育不良(-)」の12段階で判定しました。
 全国4,553人から寄せられた回答の結果、今年の桜の健康度は、全国平均で「優良(-)」の判定となり、2011年の調査開始以来最悪の値(1.73)となりました。桜の健康状態は年々悪化し、樹勢が衰退傾向にあるといえます。
 健康度が低下しても、12年単位ではほとんど変化に気が付きませんが、衰退が5年も続くと太い枝が23本は枯れるなどの影響があります。そのため、来年以降も引き続き桜の健康状態の変化に注意が必要です。


<健康状態は西日本ほど悪化傾向、「正常(+)」は過去最多の16県に>
 都道府県ごとに桜の健康度をみると、多くの県で「優良(-)」となったものの、「正常(+)」の判定となった県は昨年から5県増え、過去最多の16県となりました。埼玉県と奈良県、山口県は2011年の調査開始以来、初めて「正常(+)」にランクダウンしました。
 桜の花芽が形成される2018年夏の気象条件を振り返ると、東・西日本で記録的な暑さとなり、東日本の7月の平均気温は1946年の統計開始以来最高を記録しました。この記録的な暑さの影響で、桜が高温障害を起こした可能性があります。また、台風の上陸数は5個と、平年(2.7個)の2倍近くとなりました。特に9月には、台風21号と24号が非常に強い勢力で上陸し、大きな被害をもたらしました。この影響で、桜の葉や枝、樹皮、根が傷んだ可能性が考えられます。場所によっては塩害が発生した地域もありました。


<健康度ランキング:トップは3年連続上位の山形県、最下位は福井県>
 健康度をランキングにすると、最も健康状態が良かったのは山形県で、3年連続のトップ3入りとなりました。昨年トップだった徳島県も2位と、高順位をキープしています。
 一方、健康度ランキング最下位は福井県、最下位から2番目は岡山県となりました。今回、福井県は「日当たり」「幹の状態」「樹皮の状態」の3項目で最下位、「樹形」で最下位から2番目と、樹勢の衰退が心配されます。






<花の咲き方が大きく悪化、開花前後の気温と冬の降水量が影響か>
 昨年からの悪化の度合いが特に大きかったのが、「花の咲き方」です。「花の咲き方は?」と質問し、“木全体にまんべんなく花が咲いている”、“所々咲いていない枝がある”、“特に上部に咲いていない”の3項目から回答いただきました。その結果、“木全体にまんべんなく花が咲いてる”が過去最低の66%となり、昨年の70%から4ポイントダウンしました。都道府県ごとにみると、西日本や東日本の太平洋側にワースト上位が集中していることがわかります。この要因として、開花前後の気温と冬の降水量の影響が考えられます。
 今年の冬は、開花前に強い寒気が流れ込んだ2018年の冬よりも気温が高い傾向にありました。一方で、開花後は寒の戻りがあり、2018年よりも気温が低い日が多くなりました。これらの気温条件から、桜は休眠打破が不十分な上に、寒さで一気に開花することができなかったため、まばらな咲き方になり、花の咲き方が悪くなったと考えられます。
 また、桜の花の先が枯れているという報告も届いていました。今年の12月は全国的に平年よりも降水量が少ない傾向にあり、乾燥に弱い桜の花は、その影響を受けたと考えられます。

日本花の会 樹木医 和田博幸氏からのコメント

『さて、今年の桜の状況ですが、健康度の低下や花の咲き方を悪くした要因は、厳しい環境(気候)変化の蓄積があげられます。昨年の夏は高温と乾燥が続き、樹勢が弱っていたところに台風21号と24号の襲来が追い打ちをかけました。台風によって葉が傷み、大枝が折れるなどは、桜にとっては大きな痛手だったと思います。さらに年が明けてからは降水や降雪が少なく、乾燥した状況だったので、今年の桜の開花は、花が楽しめる期間は長かったものの、まだら咲きで、花の大きさがやや小さく、みずみずしくない咲き方でした。樹齢の影響もあるでしょうが、育っている環境の悪化が影響していると思います。今年は5月から高温の日が続いたりしています。夏の気候がどうなるか?不安です。桜を介して環境の変化を感じ、いくらかでも温暖化をくい止める活動につなげられればと願っています。』

参考:『桜の健康診断2019』項目別の結果

<樹形の状態:“自然樹形を保っている”が過去9年で最低に>
 「樹形(樹の立ち姿)は?」と質問し、“自然樹形を保っている”、“自然樹形に近い”、“樹形が崩れてきている”、“自然樹形がほとんど崩れている”の4項目から回答いただきました。“自然樹形を保っている”に注目すると、2011年から年々減少傾向にあり、今年は46%と過去9年で最低の割合となりました。








<幹の状態:穴や切られたアト、窪み、キノコなど、不健康な状態の回答が5割超え>
 「幹の状態は?」と質問し、“穴や切られたアト、窪みは無い”、“穴や切られたアト、窪みなどが少しある”、“穴や切られたアト、窪みなどがかなり目立ち、もしくはキノコが生えている”、“大きく切られたり、もしくはキノコが生えている”の4項目から回答いただきました。その結果、穴や切られたアト、窪み、キノコなど、不健康な状態の回答が、4年連続で5割を超えました。健康そうに見える幹でも、キノコが生えているものは中が腐っている可能性があり、専門家による診断が必要になります。





<樹皮の状態:苔や樹皮のはがれ・損傷など、状態の良くない回答が4年連続で2割超え>
 「樹皮の状態は?」と質問し、“生き生きしていて光沢がある/盛り上がるような部分があり、縦に割れている”、“傷などほとんどない”、“苔などが残っていたり、樹皮がはがれてカサカサしている”、“苔に覆われた部分が多い。または、樹皮の損傷が激しい” の4項目から回答いただきました。その結果、“苔などが残っていたり、樹皮がはがれてカサカサしている”と“苔に覆われた部分が多い。または、樹皮の損傷が激しい”の合計が、4年連続で2割を超えました。苔はあまり害にならないと思われますが、樹皮がはがれてカサカサしていたり、損傷が激しい場合、土の中の通気性が悪く、桜の生長が止まっている可能性があります。



参考:都道府県別、健康度ランキング

2019年

2018年

順位

都道府県

健康度

判定

順位

都道府県

健康度

判定

1位

山形県

1.54

優良(-)

1位

徳島県

1.45

優良

2位

鳥取県

1.60

優良(-)

2位

山形県

1.53

優良(-)

2位

徳島県

1.60

優良(-)

3位

香川県

1.58

優良(-)

4位

石川県

1.63

優良(-)

3位

三重県

1.58

優良(-)

5位

福岡県

1.65

優良(-)

5位

茨城県

1.59

優良(-)

5位

青森県

1.65

優良(-)

6位

島根県

1.60

優良(-)

7位

宮城県

1.66

優良(-)

6位

石川県

1.60

優良(-)

8位

愛媛県

1.67

優良(-)

8位

青森県

1.61

優良(-)

8位

島根県

1.67

優良(-)

8位

富山県

1.61

優良(-)

10位

滋賀県

1.68

優良(-)

8位

大分県

1.61

優良(-)

10位

茨城県

1.68

優良(-)

11位

静岡県

1.64

優良(-)

10位

香川県

1.68

優良(-)

11位

福岡県

1.64

優良(-)

10位

和歌山県

1.68

優良(-)

13位

兵庫県

1.65

優良(-)

14位

長崎県

1.69

優良(-)

14位

大阪府

1.66

優良(-)

14位

三重県

1.69

優良(-)

15位

福井県

1.67

優良(-)

16位

神奈川県

1.70

優良(-)

15位

熊本県

1.67

優良(-)

17位

愛知県

1.72

優良(-)

17位

栃木県

1.68

優良(-)

17位

長野県

1.72

優良(-)

17位

高知県

1.68

優良(-)

17位

兵庫県

1.72

優良(-)

17位

岡山県

1.68

優良(-)

20位

静岡県

1.73

優良(-)

17位

鳥取県

1.68

優良(-)

20位

栃木県

1.73

優良(-)

21位

宮城県

1.69

優良(-)

20位

新潟県

1.73

優良(-)

21位

愛知県

1.69

優良(-)

23位

東京都

1.74

優良(-)

21位

奈良県

1.69

優良(-)

23位

福島県

1.74

優良(-)

21位

埼玉県

1.69

優良(-)

23位

大阪府

1.74

優良(-)

25位

長野県

1.70

優良(-)

23位

千葉県

1.74

優良(-)

25位

愛媛県

1.70

優良(-)

27位

山梨県

1.75

優良(-)

27位

佐賀県

1.73

優良(-)

27位

秋田県

1.75

優良(-)

27位

千葉県

1.73

優良(-)

27位

富山県

1.75

優良(-)

27位

岐阜県

1.73

優良(-)

27位

岩手県

1.75

優良(-)

27位

東京都

1.73

優良(-)

31位

岐阜県

1.76

正常(+)

27位

広島県

1.73

優良(-)

31位

広島県

1.76

正常(+)

32位

新潟県

1.74

優良(-)

31位

宮崎県

1.76

正常(+)

32位

神奈川県

1.74

優良(-)

31位

京都府

1.76

正常(+)

34位

滋賀県

1.75

優良(-)

35位

埼玉県

1.77

正常(+)

34位

山口県

1.75

優良(-)

35位

奈良県

1.77

正常(+)

36位

京都府

1.76

正常(+)

35位

高知県

1.77

正常(+)

36位

長崎県

1.76

正常(+)

38位

熊本県

1.78

正常(+)

36位

福島県

1.76

正常(+)

38位

大分県

1.78

正常(+)

39位

岩手県

1.77

正常(+)

40位

山口県

1.79

正常(+)

39位

和歌山県

1.77

正常(+)

41位

鹿児島県

1.80

正常(+)

41位

鹿児島県

1.78

正常(+)

42位

佐賀県

1.82

正常(+)

41位

宮崎県

1.78

正常(+)

43位

北海道

1.83

正常(+)

43位

秋田県

1.80

正常(+)

44位

群馬県

1.88

正常(+)

44位

群馬県

1.81

正常(+)

45位

岡山県

1.89

正常(+)

45位

北海道

1.83

正常(+)

46位

福井県

1.97

正常(+)

45位

山梨県

1.83

正常(+)

全国平均

1.73

優良(-)

全国平均

1.69

優良(-)

本ランキングは、沖縄県を除く46都道府県で算出しています。
桜の健康度の値は、小数第3位を四捨五入したものです。
詳細は添付よりご確認いただけます。

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