TOP > NEWS > 2021

ニュース

東日本大震災から10年を前に、のべ10万人と行った計7回の「減災調査」データを公開

災害の情報源はインターネットへ、平均備蓄日数は震災前から約0.8日増加

〜相次ぐ地震や豪雨・台風被害の教訓により、防災意識は向上傾向〜

モバイル/インターネット >

 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開 千仁)は、東日本大震災から10年を前に、震災当時の状況や10年間の防災意識の変化などを記録する「東日本大震災の記録」サイトをオープンし、2012年から2020年までに行った「減災調査」のデータを二次利用可能なフォーマットで公開しました。
 「減災調査」は震災の翌年の2012年からウェザーニュースのアプリやウェブサイトを通じて行っている防災や減災に関する意識調査で、2020年までに計7回実施し、のべ10万人の方に回答いただいています。本サイトでは、各年の減災調査の都道府県別・年代別の回答データをcsv形式で取得することができます。自然災害の調査研究、各機関の防災・減災活動、ならびに自助・共助活動にお役立てください。また2011年に行った東日本大震災の被害調査(津波調査・震災調査・帰宅困難者調査)の結果も公開しています。当時の被害の実態や意識行動の記録としてご活用ください。
 計7回に渡る減災調査では、この10年間で災害の情報源はテレビ・ラジオからインターネットへ移行し、約6割の方はスマホから情報を得ていることがわかっています。また非常食の平均備蓄日数は震災前の調査よりも0.8日増加し、相次ぐ地震や豪雨、台風被害の教訓により防災意識が向上していることがわかりました。ウェザーニューズでは、今後も「減災調査」を継続的に行い、気象・防災に関する情報発信やコンテンツ開発に繋げてまいります。

▼調査データのダウンロードはこちらから
「東日本大震災の記録」サイト
https://weathernews.jp/quake_tsunami_311/

◆のべ10万人と行った防災・減災に関する意識調査のデータを公開

「東日本大震災の記録」サイト

 「減災調査」は、当社が東日本大震災を機に、防災・減災への意識の実態や変化を調査するために開始した取り組みです。東日本大震災の翌年の2012年からウェザーニュースのアプリやウェブサイトを通じて行い、2020年までの計7回の調査でのべ10万人の方にご参加いただきました。今回、東日本大震災から10年を前に、10年間の防災意識の変化を振り返りこれからの災害に備えることを目的に、これまでの調査データを「東日本大震災の記録」サイト(以下、本サイト)にて二次利用可能なフォーマットで公開しました。本サイトでは、各年の減災調査の都道府県別・年代別の回答データをcsv形式で取得することができます。自然災害の調査研究、各機関の防災・減災活動、ならびに自助・共助活動にお役立てください。
 なお、本サイトでは2011年に行った東日本大震災の被害調査(津波調査・震災調査・帰宅困難者調査)の結果も公開しています。当時の被害の実態や意識行動の記録としてご活用ください。

◆減災調査まとめ

 計7回に渡る調査からは、防災・減災に関する意識や備えの変化が読み取れます。以下に全国的な特徴をまとめました。なお回答データを用いることで、都道府県別や年代別の集計も可能です。

<避難場所の認知は10年で9ポイント向上も、避難経路や会社や学校周辺の避難に課題>

 避難場所の認知について「自宅付近の避難場所を知っていますか?」と質問した結果、2020年の結果では94%の方が「避難場所を知っている」と回答しました。調査の記録が残っている2010年からの結果を見てみると、「避難場所を知っている」と回答した方は10年間で9ポイント増加し、避難場所の認知が年々向上していることがわかります。
 ただ、避難場所を知っている方の中でも、経路も場所も知っているを選択した方は全体の約7割に留まり、4人に1人は避難場所を知っていても経路まで確認できてないことがわかります。また「会社や学校付近の避難場所を知っていますか?」と質問し、同じ選択肢で回答していただくと、「避難場所を知っている」と答えた方は約7割で、自宅付近と比べると2割も減少する結果となりました。自宅周辺の避難所の認知が高い一方で、会社や学校付近の避難所の認知はまだまだ十分ではないことがわかります。

※2016年までは「自宅付近の避難場所を知っていますか?」と質問し“知っている”“知らない”から回答いただきました。2018年以降は「自宅付近の避難所を知っていますか?」と質問し“経路も場所も知っている”“場所だけ知っている”“知らない”から選択していただき、“経路も場所も知っている”と“場所だけ知っている”を「知っている」として集計しました。

 

<東日本大震災を機に備蓄意識が向上し、近年の相次ぐ災害で平均備蓄日数が増加>

 非常食の備えについて、「非常食、何日分備えていますか?」と質問し、“約1日分”“約3日分”“約1週間分”“用意していない”から選択していただきました。2020年の集計結果では、非常食を備えている方は全体の7割を超え、震災前から比べると2割も増加しています。
 震災前の2010年からの平均備蓄日数の変化を見てみると、2011年の東日本大震災を機に日数が大幅に増加したことがわかります。震災から5年が経過した2016年と2017年は備蓄に対する意識がやや低下しましたが、2018年からは再び上昇に転じました。2017年には九州北部豪雨、2018年には西日本豪雨と豪雨災害が続き、さらに大阪北部地震や北海道胆振東部地震など大きな地震も続きました。また2018年の台風21号、2019年の台風15号、19号の上陸では大きな被害が発生しました。大規模な浸水や長期の停電など、大きな被害の経験から、備蓄に対する意識が向上したのではないかと考えられます。

 

<災害の情報源は10年間でインターネットがテレビ・ラジオを逆転>

 災害時の情報入手について「災害の情報入手の際、まず何を使いますか?」と質問し、“防災無線”“パソコン”“スマホ”“テレビ”“ラジオ”から選択していただきました。回答を集計した結果、約6割の方がスマホから情報を得ていることがわかりました。2010年からの結果を見てみると、2016年の調査までは過半数が「テレビ・ラジオ」と回答していましたが、2018年には“パソコン”と“スマホ”を合わせた「インターネット」の割合が、「テレビ・ラジオ」の割合を上回りました。この10年で「インターネット」と「テレビ・ラジオ」の割合がちょうど逆転しています。SNSやスマホの通知サービスが急速に普及し、自治体からの情報発信や、被害状況の把握にも活用されてきていることが背景として考えられます。
 また、スマホの使用に欠かせない「モバイルバッテリー」の所持率を聞いた2019年の調査では、全体の約7割がモバイルバッテリーを持っていると回答していました。災害情報の主な情報源がスマホになるに伴い、モバイルバッテリーもいざという時の備えに必要不可欠なものとなってきています。

◇公開データについて

<「東日本大震災の記録」サイト>
https://weathernews.jp/quake_tsunami_311/
<調査年>
2012年、2015年、2016年、2017年(結果のみ)、2018年、2019年、2020年の計7回
<調査人数>
のべ人数:101,033人
※調査ごとの回答数はサイトに記載
<調査方法>
当社で展開するウェブサイト及びスマートフォンアプリ「ウェザーニュース」の利用者を対象に調査を実施
<データについて>
・形式:csv
・内容:各質問への回答、都道府県、年代、性別

※注意事項
1. 本調査は、ウェザーニューズが独自に実施したものです。また、調査実施当時と比べて、回答数など数字に多少の差異がありますが、有効回答など内容を精査した上で数字を集計し直しています。
2. 公的機関や報道機関の調査・発表資料などと合わせて、情報の一つとしてご参考ください。

 

本ニュースをプリントアウトしてご覧になりたい方はこちら