TOP > NEWS > 2021

ニュース

ウェザーニューズがトヨタと取り組む、IoTとビッグデータで安全な社会を目指す共同研究

コネクティッドカー情報を用いて道路凍結を推定する実証実験を開始

〜気象予測の精度向上と、より安全な道路交通社会の実現に向けた取り組み〜

モバイル/インターネット > 道路気象 >

 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開 千仁、以下 ウェザーニューズ)はトヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役:豊田 章男、以下 トヨタ)と、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究を実施しています。本共同研究の一環として、車両データと気象データから道路の凍結箇所を把握するための実証実験(※1)を、2月22日より47都道府県で開始します。
 今回実施する実証実験では、車のブレーキの稼働状況や走行データ等を用いて、車輪がスリップしたとみられる箇所を検出し、その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定します。推定した凍結箇所は、実証実験の期間中ウェブサイトにリアルタイムで公開するほか、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメント等を元に検証を行い、システムの精度向上を図ります。
 ウェザーニューズはトヨタと、本共同研究を通じて、気象データとコネクティッドカーから得られる車両データを「いざという時に役に立つ」情報として広く提供し、ドライバーのさらなる安全に寄与することを目指します。

(※1)本実証実験では、トヨタのコネクティッドサービスをご利用の車両から収集した車両データに統計処理を行ったうえで、個人が識別されない形で運用しております。

▼路面凍結推定マップはこちら
https://weathernews.jp/v/road_frozen/map.html

◆車と気象のビッグデータで道路凍結のリアルタイム把握へ

 冬型事故(※2)におけるスリップ事故の割合は9割前後にものぼり(※3)、スリップ事故に繋がる道路の凍結は、車の安全運転に大きく影響します。このため道路管理事業者は、道路への積雪や凍結が予想される場合には、除雪や凍結防止剤の散布を行い、スリップの防止措置を行います。しかしながら、道路の凍結箇所の把握は道路管理者の定点気象観測や巡回、ライブカメラ等による目視が主で、凍結箇所を全線で網羅的に、かつリアルタイムで把握することは非常に困難とされてきました。また、スリップの起きやすさを直接的に推定する手法もほとんど存在しません。
 本実証実験では、車のブレーキの稼働状況や走行データ等を用いて、車輪がスリップしたとみられる箇所を検出し、その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定します。路面が凍結しているかどうかは、気象データのみでは判断できない一方で、車輪のスリップの要因も複数考えられるため、スリップの検出だけではその場所が凍結しているかどうかは判断することができません。車両データと気象データの双方を掛け合わせることによって初めて、車輪のスリップに繋がる道路の凍結箇所の推定が可能になります。2020年1月19日、都内を含む関東で雨や雪が降った事例では、車両データにより合計5,026件のスリップが検出されました。

◆道路の凍結箇所を推定する実証実験を2月22日より開始

 本実証実験では、凍結箇所の推定結果を『路面凍結推定マップ』としてウェブサイトにリアルタイムで公開します。また、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメント等を元に推定結果の検証及び精度向上のためのシステム改良を行っていきます。
 路面凍結やスリップのおそれがある地点をサイト上にリアルタイムで公開することで、個々のドライバーの安全運転に役立てていただくとともに、本実証実験を通じて、簡易で網羅的に道路の凍結状況を把握することができるシステムを構築し、道路の安全管理への貢献とドライバーへの注意喚起などを通じた交通事故の防止、長期の立ち往生の回避など、安全な道路通行に寄与することを目指します。

(※2)積雪、凍結、吹雪等の冬期現象が事故の直接または間接要因となったもの。
   国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所『冬期気象条件下における交通事故発生形態について』より

(※3)北海道警察『冬型事故の実態 平成30年版』より

 

路面凍結推定マップ(サンプル)

<実施概要>
・実施期間:2021年2月22日開始
・対象地域:47都道府県
・実施方法:道路凍結の推定結果を『路面凍結推定マップ』としてウェブサイトに公開
・サイトURL:https://weathernews.jp/v/road_frozen/map.html

◆トヨタ×ウェザーニューズ
 IoTとビッグデータで気象予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究

 昨今、激甚化する気象現象や気象災害が社会問題となっており、これまで以上に局地性・即時性のある気象情報やその対応策情報が求められています。このようなニーズに応えるためには、より詳細で正確な気象状況をリアルタイムに把握することが必要です。しかしながら、既存の気象観測器は、設置場所や測定間隔が制限されてしまうという課題があります。一方でIoT技術の発達により、様々な機器が通信機能を持つ時代となっています。車も同様で、IoT技術を持つコネクティッドカーからは走行データや車のコンディションデータが寄せられ、これらの車両データから車の走行や挙動に影響を及ぼす事象を捉えることが可能です。
 このような背景からウェザーニューズとトヨタは、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測精度の向上やドライバーの安全性向上を目指す取り組みを開始しました。従来のように気象現象を直接センサーで捉えるだけでなく、車両データと気象データというビッグデータを組み合わせて分析することによって、道路及びその周辺の実況把握への新たな活路が開けることが期待できます。
 両社は本取り組みの第一弾として2019年10月に道路冠水検知の実証実験、第二弾として2019年11月にワイパーデータを用いた実証実験を行いました。

※参考:「コネクティッドカー情報をAI解析、道路冠水リアルタイム検知の実証実験を開始」(2019年10月10日発表)
    /news/29247/

※参考:「道路上の気象リスク把握へ、ワイパーデータを用いた実証実験開始」(2019年11月1日発表)
    /news/29683/

 

本ニュースをプリントアウトしてご覧になりたい方はこちら