TOP > NEWS > 2021

ニュース

東日本大震災から10年、全国8,000人と「減災調査2021」を実施

【減災調査2021】被災地の復興が進む一方、震災の記憶の風化を8割以上が「感じる」

〜非常食への意識は向上傾向、相次ぐ災害やコロナ禍で備蓄意識が加速か〜

モバイル/インターネット > 防災気象 >

 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開 千仁)は、いざという時の避難行動や災害対策の一助とすることを目的として、防災・減災への意識の実態や変化を調査する「減災調査2021」を実施し、結果を発表しました。本調査は2月18日から21日にかけてウェザーニュースのアプリやウェブサイトを通じて行い、8,101人にご参加いただきました。回答を集計した結果、震災から10年が経過し、全体の8割以上が震災の記憶の風化を感じていることが明らかになりました。若い世代ほど震災の記憶があると回答した割合が少なく、この先増えていく震災を経験していない・知らない世代に対して震災の教訓をどう伝えていくかが今後の課題になってくると考えられます。一方、震災の記憶の風化が懸念される中でも、非常食の備蓄に関する意識は向上傾向にあり、平均備蓄日数は震災前と比べると1日以上増加しました。特に2019年からの伸びが大きく、相次ぐ災害や新型コロナウイルスの感染拡大により、備蓄への意識が加速したのではないかと考えられます。
 本調査結果は、ウェザーニュースのアプリまたはウェブサイト「減災調査2021」からご覧いただけます。なお「東日本大震災の記録」サイトでは2012年からの減災調査の結果とデータも公開しています。自然災害の調査研究、各機関の防災・減災活動ならびに自助・共助活動などにお役立てください。ウェザーニューズでは、今後も「減災調査」を継続的に行い、気象・防災に関する情報発信やコンテンツ開発に繋げてまいります。

▼「減災調査2021」の結果はこちら
「減災調査2021」まとめ
https://weathernews.jp/s/topics/202103/050225/

▼過去の調査データはこちら
「東日本大震災の記録」サイト
https://weathernews.jp/quake_tsunami_311/

◆東日本大震災から10年、被災地の復興や記憶の風化について
<被災地在住の9割近くが復興を実感、被災地とそうでない地域で復興の認識に違い>

※クリックすると拡大します

 東日本大震災から10年経った“被災地の今”に関する認識を調べるため、「あなたは東日本大震災当時、被害が大きかった地域にいましたか?」と質問し、“いた、また今もほぼ同じ場所にいる”“いたが、今は離れた場所にいる”“いない”の3つから選択していただいた上で、「10年経って地元の状況はどうですか」あるいは「10年経って被災地はどういう状況だと思っていますか」と質問し、“震災発生直後とあまり変わらない”“ほぼ震災以前の生活に戻っている”“震災前と同じ生活になっている”“復興して、より良くなった”“よくわからない”の5択で回答していただきました。その結果、被災地とそうでない地域で、被災地の復興の認識に違いがあることがわかりました。
 被害の大きかった地域では、過半数が“震災前と同じ生活になっている”あるいは“復興して、より良くなった”と回答し、“ほぼ震災前の生活に戻っている”と回答した方を合わせると、全体の9割近くが復興を実感しているのに対し、被害が無し・小さかった地域の方の回答では約7割となり、被害が無し・小さかった地域の方が、復興が進んでいないと感じていることがわかります。

※クリックすると拡大します
※クリックすると拡大します

 震災から5年経った2016年の結果と比較してみると、被害の大きかった地域の方の回答では“震災前と同じ生活になっている”の割合が大きく増えましたが、“震災発生直後とあまり変わらない”という回答はほぼ横ばいとなりました。“震災発生直後とあまり変わらない”と回答した方からは、「元々被害があまり無かったため」という声も多かった一方で「建物への被害は少なかったものの、未だに風評被害が根強い」といった声も寄せられました。被害が無し・小さかった地域の方の復興に対する認識も、5年経って大きく改善したものの、被害が大きかった地域の方よりも復興は進んでいないと感じている方が多いようです。コメントでは、「まだ地元に戻れていない方がいるため」「報道等でまだ工事中の映像を目にするため」という声が多く寄せられました。ウェザーニューズは、実態を正確に把握することも、減災に繋がる一つの方法だと考えています。

<震災の記憶の風化「感じる」が83%、若い世代ほど震災の記憶残らず>

※クリックすると拡大します
※クリックすると拡大します

 震災の記憶の風化について「震災の教訓や記憶の風化を感じますか?」と質問し、“感じる”“やや感じる”“あまり感じない”“感じない”の4択で回答いただきました。回答を集計した結果、風化を“感じる”が29%、“やや感じる”が54%となり、8割以上の方が風化を感じていることがわかりました。
 また、震災発生時の記憶について「震災発生時の記憶はありますか?」と質問し、“はっきりと覚えている”“なんとなく覚えている”“ほとんど覚えていない”“震災そのものを意識していない”の4択で回答していただくと、30代以上では8割以上が“はっきりと覚えている”と回答したのに対し、20代では約7割に減少し、震災発生当時幼かった20代未満では4割まで減少する結果となりました。今後、年数が経つと共に、震災を経験していない・知らない世代が増えてきます。震災の教訓を風化させず、次の災害に備えるためにも、震災の教訓を若い世代に繋いでいく取り組みが重要になってくると考えられます。

◆災害対策や防災に対する意識の状況は?
<災害の情報入手は過半数が“スマホ”も、震災の教訓から北日本ではラジオが多め>

※クリックすると拡大します
※クリックすると拡大します

 災害が発生した際の情報入手の方法を調べるため、「災害の情報入手の際、まず何を使いますか?」と質問し、“防災無線”“インターネット(パソコン)”“インターネット(スマホ)”“テレビ”“ラジオ”の5択で回答いただきました。回答を集計した結果、“スマホ”60%、“テレビ”20%、“ラジオ”12%、“パソコン”4%、“防災無線”4%となり、スマホがテレビやラジオに大きく差をつけ、多くの方の情報源となっていることがわかりました。
 都道府県別に分析してみると、全都道府県で“スマホ”の回答の割合が最も多くなりましたが、北日本では“ラジオ”の割合が他のエリアに比べて多くなっていることがわかります。これは、震災による大規模な停電や回線の混雑の経験が影響していると考えられます。また西日本では“防災無線”の割合が東日本よりも高い傾向が見られました。これは、相次ぐ台風や豪雨災害の経験から“防災無線”が貴重な情報源となっているのではないかと考えられます。
 この10年でSNSやスマホの通知サービスが急速に普及し、自治体からの情報発信や被害状況の把握にも活用されるようになってきました。しかし、被害が広範囲に渡るような災害や、大規模な停電の発生時には、回線の混雑や電源が切れてしまってスマホが使えなくなってしまう場合も考えられます。いざという時に備え、複数の情報源を準備しておくことが大切です。

<非常食への意識は向上傾向、コロナ禍で備蓄の意識が加速か>

※クリックすると拡大します
※クリックすると拡大します

 万が一被災したときのための非常食の蓄えについて調査するため、「非常食、何日分備えていますか?」と質問し“約1日分”“約3日分”“約1週間分”“用意していない”の4択から回答していただきました。その結果、非常食を用意していない方は2020年から4ポイント減少し、全体の8割近くの方が非常食を用意していると回答しました。平均備蓄日数の変化を見てみると、ここ3年は右肩上がりで増加しており、特に2019年から2020年、2020年から2021年は日数が大きく増加しています。本調査は毎年2月または3月に行っています。2018年の西日本豪雨、2019年の台風15号、台風19号など、相次ぐ豪雨や台風による大規模な浸水や長期の停電の経験に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が備蓄の意識を加速させたのではないかと考えられます。

 本調査結果は、ウェザーニュースのアプリまたはウェブサイト「減災調査2021」からご覧いただけます。なお「東日本大震災の記録」サイトでは2012年からの減災調査の結果とデータも公開しています。自然災害の調査研究、各機関の防災・減災活動ならびに自助・共助活動などにお役立てください。ウェザーニューズでは、今後も「減災調査」を継続的に行い、気象・防災に関する情報発信やコンテンツ開発に繋げてまいります。

▼「減災調査2021」まとめ
https://weathernews.jp/s/topics/202103/050225/

▼「東日本大震災の記録」サイトはこちら
https://weathernews.jp/quake_tsunami_311/

◇参考資料:都道府県別の調査結果

 震災発生時の記憶はありますか?震災の教訓や記憶の風化を感じますか?
はっきりと
覚えている
なんとなく
覚えている
ほとんど
覚えていない
震災そのものを
意識していない
感じるやや感じるあまり感じない感じない
北海道86%12%2%0%32%52%13%3%
青森県95%6%0%0%26%51%18%6%
岩手県92%8%0%0%27%58%11%5%
宮城県92%8%0%0%28%55%15%3%
秋田県96%2%2%0%29%51%16%4%
山形県91%7%2%0%20%66%7%7%
福島県94%6%0%0%36%50%8%7%
茨城県93%7%0%0%29%57%11%3%
栃木県93%6%1%0%31%53%11%6%
群馬県95%5%0%0%26%61%10%4%
埼玉県87%12%1%0%29%55%12%4%
千葉県91%8%1%0%29%55%12%4%
東京都90%9%1%0%31%52%14%3%
神奈川県90%9%1%0%29%54%14%3%
新潟県88%12%1%0%26%57%14%3%
富山県78%20%0%3%28%58%13%3%
石川県79%16%3%2%25%57%13%5%
福井県76%18%3%3%37%55%5%3%
山梨県89%7%4%0%38%43%20%0%
長野県84%14%1%1%28%57%15%0%
岐阜県77%22%0%1%26%59%12%3%
静岡県86%12%1%0%32%54%12%3%
愛知県76%19%3%1%32%55%10%3%
三重県70%25%4%1%25%60%13%3%
滋賀県78%18%0%4%24%47%18%12%
京都府75%21%4%0%31%52%13%4%
大阪府76%20%3%1%27%53%17%3%
兵庫県70%23%3%4%29%56%13%3%
奈良県80%18%1%1%23%56%14%7%
和歌山県55%42%3%0%39%45%16%0%
鳥取県74%22%0%4%22%52%9%17%
島根県71%29%0%0%43%39%18%0%
岡山県65%28%4%3%30%51%15%4%
広島県73%25%2%0%29%60%8%3%
山口県77%17%2%4%39%35%20%6%
徳島県81%14%5%0%29%57%14%0%
香川県78%18%4%0%41%37%12%10%
愛媛県67%32%2%0%19%57%16%8%
高知県78%19%3%0%32%43%14%11%
福岡県76%21%1%3%29%56%12%3%
佐賀県59%32%3%6%47%41%6%6%
長崎県73%28%0%0%24%57%16%4%
熊本県68%24%8%0%29%60%8%3%
大分県71%21%9%0%36%46%9%9%
宮崎県74%18%8%0%23%49%23%6%
鹿児島県81%15%2%2%27%56%12%5%
沖縄県86%14%0%0%18%75%7%0%
※小数点第一位を四捨五入しているため、各割合の合計が100%にならない場合があります。

 

 災害の情報入手の際、まず何を使いますか?
防災無線パソコンスマホテレビラジオ
北海道2%3%55%21%19%
青森県2%6%53%11%29%
岩手県4%4%37%24%31%
宮城県5%1%57%16%22%
秋田県4%0%61%16%18%
山形県4%0%64%14%18%
福島県5%4%55%24%12%
茨城県8%3%53%20%15%
栃木県2%3%62%18%15%
群馬県2%4%64%18%13%
埼玉県4%3%58%27%8%
千葉県5%3%59%22%11%
東京都3%5%57%25%11%
神奈川県2%4%60%21%12%
新潟県8%8%44%27%12%
富山県0%3%73%23%3%
石川県8%8%66%12%7%
福井県3%0%79%5%13%
山梨県4%2%57%27%11%
長野県7%3%55%26%8%
岐阜県8%5%56%17%14%
静岡県4%2%62%16%16%
愛知県3%3%65%15%14%
三重県5%1%75%10%10%
滋賀県4%2%75%10%9%
京都府2%4%61%24%10%
大阪府2%4%66%19%9%
兵庫県3%4%64%15%14%
奈良県6%4%64%19%7%
和歌山県3%3%71%16%7%
鳥取県30%0%48%17%4%
島根県11%0%57%14%18%
岡山県4%3%72%14%7%
広島県3%3%65%14%15%
山口県3%2%71%19%6%
徳島県0%5%57%14%24%
香川県6%2%78%12%2%
愛媛県11%3%64%19%3%
高知県8%3%43%19%27%
福岡県5%4%66%13%13%
佐賀県9%0%62%18%12%
長崎県8%0%75%12%6%
熊本県5%0%66%21%8%
大分県5%2%66%21%7%
宮崎県6%8%59%10%16%
鹿児島県17%5%66%2%10%
沖縄県5%2%68%18%7%
※小数点第一位を四捨五入しているため、各割合の合計が100%にならない場合があります。

 

本ニュースをプリントアウトしてご覧になりたい方はこちら