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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴を発表

2021年のゲリラ豪雨は全国でおよそ6万回、7月中旬〜8月上旬に約半数が発生

〜「ゲリラ雷雨アラーム」で雷雨の危険を通知、ユーザーの9割が「役に立った」と回答〜

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開 千仁)は、2021年夏のゲリラ豪雨(◆注1)の発生回数と、「ゲリラ雷雨まとめ調査」の結果を発表します。

<ポイント>
1. ゲリラ豪雨の発生回数は全国で合計63,515回、7月中旬〜8月上旬に全体の約半数が発生
2. 全国の2人に1人がゲリラ雷雨(豪雨)に遭遇、道路冠水や交通機関への影響、停電等の被害あり
3. 「ゲリラ雷雨アラーム」で雷雨の危険を事前に通知、9割近くのユーザーが「役立った」と回答

▼ウェザーニュースウェブサイト「ゲリラ雷雨まとめ調査2021」
https://weathernews.jp/s/topics/202110/160125/
https://weathernews.jp/s/topics/202110/190135/

【1】 今夏のゲリラ豪雨の発生回数と特徴

発生回数:全国で合計63,515回発生

 今年の夏(7月1日〜9月30日)の全国のゲリラ豪雨の発生回数(◆注2)は合計63,515回で、昨年(73,878回)の約8割でした。都道府県別に見ると、全国的に昨年並〜やや少ない結果となっています。ゲリラ豪雨の発生回数が最も多かった都道府県は北海道の4,869回、次いで沖縄の4,678回となり、今年の東京は807回で、1,561回発生した昨年に比べると約半分の発生回数でした。

発生時期:7月中旬〜8月上旬に約半数が発生

 月別に見ると、全国のゲリラ豪雨の発生回数は、7月28,051回、8月21,854回、9月13,610回となり、7月中旬から8月上旬にかけての一か月で全体の約半数が発生しました。
 昨年の発生回数と比べると、7月は昨年の約1.2倍となっている一方、8月と9月は昨年を下回り、8月は昨年の約0.9倍、9月は昨年の約0.6倍でした。

 

 

発生要因:7月は猛暑+上空の寒気で大規模なゲリラ豪雨が発生

 今年のゲリラ豪雨の発生回数は昨年と比べて7月に多く、8月や9月は少なくなりました。
 7月が多くなった要因として挙げられるのが、梅雨明けの時期と上空の寒気の影響です。今年は梅雨明けが遅れた昨年よりも半月ほど早く梅雨明けし、すぐに猛暑が訪れました。また7月中旬〜下旬にかけて上空5,500m付近に-6℃〜-9℃の寒気が居座ったことで、地上と上空の気温差が大きくなり、大気の状態がとても不安定になりました。このため広範囲で大規模なゲリラ豪雨が発生したと考えられます。
 一方8月や9月に少なくなった要因としては、秋雨前線が挙げられます。8月中旬から秋雨前線が日本付近に停滞し、前線の影響による雨が多くなりました。さらに9月も度々秋雨前線の影響を受けたため、局地的・突発的な大雨であるゲリラ豪雨の発生回数が少なくなったと考えられます。
 7月に発表した「ゲリラ豪雨傾向2021」では、発生回数は全国でおよそ75,000回、ピークは8月中旬〜下旬と予想していましたが、8月中旬から秋雨前線の影響を受けやすい条件となったため、予想よりも発生回数が少なくなりました。

参考資料 :全国的なゲリラ豪雨多発日・影響の大きかった事例

日付

発生回数

要因

備考

7月12日

2,278回

上空の寒気

東日本で冠水、落雷による停電が発生。漏斗雲の目撃情報あり。

7月13日

2,146回

上空の寒気
前線

神奈川県、千葉県で道路冠水が発生。

7月14日

2,169回

上空の寒気

関西で降雹。冠水や落雷による停電が発生。

7月30日

1,302回

上空の寒気
暖湿流

関東南部で冠水が発生。

8月20日

1,044回

上空の寒気
暖湿流

名古屋市で道路冠水が発生。

◆注1. 「ゲリラ豪雨(雷雨)」について
 ウェザーニューズでは、「局地的大雨」を指す言葉として、減災を目指す上で一般の方により広く認知いただくことを目的に、一般にあるいはメディアでよく使用されている「ゲリラ豪雨」という言葉を使用しています。なお、お天気アプリ「ウェザーニュース」の「ゲリラ雷雨アラーム」や、「ゲリラ雷雨まとめ調査」については、サービス名および企画名のため“ゲリラ雷雨”と表記しています。

◆注2. 「ゲリラ豪雨」発生回数の求め方
 「ゲリラ豪雨」をもたらす雨雲・雷雲は、予測可能な前線による雨雲とは異なり、“突発的”かつ“局地的”に発達するのが特徴です。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた“ザーザー”以上の降雨報告(◆注3)と、その時の気象データの分析結果から、ユーザーがゲリラ豪雨と感じる雨の時間変化の基準値(表1)を求め、求めた基準値をもとにゲリラ豪雨をカウントしています。
時間(分前)
閾値
120〜50
0mm/h以下
40〜30
1mm/h以下
20
3mm/h以下
10
14mm/h以下
0
11mm/h以上
表1:「ゲリラ豪雨」判定基準

◆注3. 降雨報告について
 スマホアプリ「ウェザーニュース」を通し、“ポツポツ”、“パラパラ”、“サー”、“ザーザー”、“ゴォー”の5段階で報告されます。

 

【2】 2021年「ゲリラ雷雨まとめ調査」結果

 10月1日〜7日にスマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、2021年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国14,087人の方々から回答をいただきました。

2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇

 「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、“遭遇した”と回答した方は55.1%と、半数以上の方がゲリラ雷雨に遭遇していました。
 都道府県ごとの遭遇率を見てみると、東日本で50%を超える県が多くなっています。今シーズンのゲリラ豪雨の発生回数と見比べてみると、東日本は発生回数が1,500回を超えた県が多く、発生回数の多さが遭遇率に影響したと考えられます。

 

 

ゲリラ雷雨の被害、第1位は道路冠水、第2位は交通機関への影響、第3位は停電 

 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、半数近く(39.6%)が何かしらの被害にあったことがわかりました。
 また、被害を受けた方(※)に具体的な内容を伺ったところ、“道路冠水”が20.0%で最も多く、次いで“交通機関への影響”(16.9%)、“落雷による停電”(9.2%)という結果になりました。

※被害を受けた方:“ゲリラ雷雨に遭遇した”の回答から“被害なし”の回答を除く

 

5人に1人がゲリラ雷雨で想定外の出費、出費額は昨年よりアップ

 “ゲリラ雷雨に遭遇した”と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、5人に1人(20.8%)が何らかの出費があったと回答し、昨年(19.7%)と同程度となりました。一方で出費額は全国平均で2,364円となり、昨年より102円アップしました。
 出費の内容は「傘など雨具の購入」が14.6%と一番多く、その次に「バス・タクシーの利用」がその次に多くなっています。

 

【3】 2021年「ゲリラ雷雨アラーム」振り返り

9割近くのユーザーが「ゲリラ雷雨アラームが役に立った」と回答

 ウェザーニューズでは、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられる雲の写真からゲリラ豪雨を引き起こすおそれのある雲をAIで自動判別し、天気・体感・風などの報告や気象データと組み合わせて分析することによって、従来の天気予報では予測が困難とされるゲリラ豪雨の前兆をいち早く捉え、「ゲリラ雷雨アラーム」としてユーザーに注意を呼びかけています。

 今シーズン後に行ったアンケートでは、88.8%のユーザーが「この夏ゲリラ雷雨アラームが役に立った」と回答しました。また、92.4%の方が「また来年も利用したい」と期待してくださっていました。

 ウェザーニューズでは、来年も引き続きゲリラ豪雨の監視・予測に取り組み、全国の方と共にゲリラ豪雨による被害軽減に努めていきます。

 

 今シーズンはゲリラ豪雨の発生回数が昨年よりも少なくなりましたが、被害がなかったわけではありません。ゲリラ豪雨は雨による道路冠水や落雷による停電など生活へ影響を及ぼす場合があり、回数の多寡を問わず警戒が必要な気象現象です。ウェザーニューズでは、ゲリラ豪雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしていきます。

参考情報:都道府県別ゲリラ豪雨発生回数 ※集計期間:7月1日〜9月30日

 

2021年の発生回数(回)

昨年の発生回数(回)

昨年比(倍)

7月

8月

9月

合計

北海道

924

1,796

2,149

4,869

6,488

0.75

青森県

362

222

347

931

1,111

0.84

秋田県

959

536

396

1891

1,604

1.18

岩手県

720

629

298

1,647

1,991

0.83

山形県

770

486

159

1,415

1,200

1.18

宮城県

341

325

122

788

1,088

0.72

福島県

1,432

921

122

2,475

2,488

0.99

茨城県

372

283

98

753

928

0.81

栃木県

731

499

143

1,373

1,440

0.95

群馬県

764

405

103

1,272

1,273

1.00

千葉県

272

237

141

650

1,133

0.57

東京都

232

343

232

807

1,561

0.52

埼玉県

304

189

62

555

594

0.93

神奈川県

151

109

72

332

602

0.55

山梨県

403

151

58

612

861

0.71

長野県

1,682

573

347

2,602

2,788

0.93

静岡県

642

538

360

1,540

2,040

0.75

愛知県

528

433

314

1,275

1,362

0.94

岐阜県

1,433

792

388

2,613

2,730

0.96

三重県

557

489

342

1,388

1,399

0.99

新潟県

1,068

559

371

1,998

2,299

0.87

富山県

493

292

175

960

973

0.99

石川県

475

319

184

978

850

1.15

福井県

474

275

121

870

738

1.18

滋賀県

281

301

119

701

891

0.79

京都府

487

267

160

914

1,050

0.87

奈良県

410

322

158

890

922

0.97

兵庫県

870

406

235

1,511

1,523

0.99

大阪府

160

109

73

342

446

0.77

和歌山県

409

299

220

928

1,235

0.75

鳥取県

337

260

82

679

756

0.90

島根県

467

530

113

1,110

1,227

0.90

岡山県

548

321

201

1,070

1,319

0.81

広島県

715

472

258

1,445

1,814

0.80

山口県

536

541

248

1,325

1,300

1.02

香川県

142

92

85

319

308

1.04

徳島県

372

228

110

710

752

0.94

愛媛県

421

318

187

926

1,352

0.68

高知県

576

403

196

1,175

1,755

0.67

福岡県

497

699

284

1,480

1,217

1.22

大分県

357

352

132

841

1,115

0.75

佐賀県

266

264

129

659

588

1.12

長崎県

519

601

364

1,484

1,802

0.82

熊本県

643

609

241

1,493

1,652

0.90

宮崎県

764

574

236

1,574

1,823

0.86

鹿児島県

1,089

953

625

2,667

2,598

1.03

沖縄県

1,096

1,532

2,050

4,678

6,892

0.68

全国

28,051

21,854

13,610

63,515

73,878

0.86

参考情報:エリア別のゲリラ豪雨発生回数

 

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