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世界初、雨雲・雪雲を高解像度に観測する多周波同時観測の実現へ

雨・雪・雲を自動判別する多周波気象レーダーシステムの開発を開始

2024年にプロトタイプを完成、空飛ぶクルマやドローンの安全運航をサポート

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 株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、雨・雪・雲(霧)を自動判別する世界初の多周波気象レーダーシステムの開発を開始することを本日発表しました。
 近年は、空飛ぶクルマやドローンなど次世代空モビリティの実用化が注目されています。実用化に向けてはルートに特化した気象情報が必要となりますが、従来の技術を活用しても雲の中を高解像度に観測することは難しい状況です。そこで当社は、次世代空モビリティの安全運航や最適なルート選定を支援するため、多周波気象レーダーの開発を開始しました。
 
従来の気象レーダーでは、1つのレーダーシステムに単一の周波数帯を利用する方法がとられていますが、本研究で開発するレーダーは、1つのレーダーシステムに特性の異なる複数の周波数帯を利用することで、雲内部を高解像度に観測し、雨・雪・雲(霧)の判別を可能にします。2024年末までにプロトタイプの完成を予定しており、2030年ごろの運用開始を目指して研究開発を行います。

 

低高度の雲や霧を観測し、空飛ぶクルマやドローンの運航をサポート

 ドローンは霧雨や弱い雨の中を飛行することは可能ですが、強い雨の中を飛行することは困難です。このため、雨の強弱を把握して目的地へ確実に到着するには、飛行ルート上の雲の様子を詳しく把握する必要があります。しかし、既存の気象レーダーやライブカメラ、衛星画像など従来の技術を活用しても、雲の内部を高解像度に観測することは難しい状況です。そこで当社は、次世代空モビリティの安全運航や最適なルート選定を支援するため、ドローンなどが飛行する低高度の気象現象をより細かく観測する新たな多周波気象レーダーの開発を開始しました。

ドローンの運航に伴う気象リスク

 

世界初の多周波気象レーダー開発へ、2024年末までにプロトタイプ完成

 従来の気象レーダーは、1つのレーダーシステムに単一の周波数帯を利用していましたが、本研究では、世界で初めて1つのレーダ―システムに複数の周波数帯を利用します。周波数帯は、種類によって捉えやすい気象現象が異なるという特性があります。この特性を利用することで、雲内部を高解像度な観測が可能になり、雨・雪・雲(霧)の違いも判別できるようになります。

 この多周波気象レーダーは、2024年末までにプロトタイプの完成を予定しており、ドローンの運航を支援する実証実験も行う予定です。その後、量産試作などを経て2030年ごろの運用開始を目指しています。
 なお、本研究には大阪大学大学院工学研究科 牛尾知雄教授に参画いただき、技術指導・助言を得ながら研究開発を進めます。また当社は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業(大規模プロジェクト型)」 令和3年度の技術テーマ(※1)において、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提案し採択された研究開発課題(※2)の共同研究グループとして参加し、その一環として支援を受け、本研究開発を進めます。

※1:技術テーマ「安全・安心かつスマートな社会の実現につながる革新的マイクロ波計測技術」 
※2:研究開発課題名「超広帯域アンテナ・デジタル技術を用いたレーダ及び放射計の開発と実証」

 

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