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今年の台風はどうなる?ウェザーニューズ、2023年「台風傾向」を発表
【台風傾向】台風発生数は29個前後の予想、強い台風の接近・上陸に警戒
~顕著な「正のインド洋ダイポールモード現象」と「エルニーニョ現象」が同時に発生~
モバイル/インターネット >株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開 千仁)は、2023年の「台風傾向」を発表しました。今シーズンは過去に数回しか例がない強度の「正のインド洋ダイポールモード現象」が発生し、台風発生域の対流活動が平年より活発になることで、台風の発生数は平年よりやや多い29個前後となる予想です。また同時に顕著な「エルニーニョ現象」も発生し、過去に数回しか例がない強度になる見込みです。この影響で、台風の発生域は平年よりも東または南東にシフトし、日本の南から東日本太平洋側を中心に台風の接近・上陸のリスクが高まる予想です。海面水温の高い海域を通る時間が長くなるため、勢力の強い台風が多くなる傾向があり、警戒が必要です。
最新見解は、「ウェザーニュース」アプリまたはウェザーニュースウェブサイト「台風NEWS」からご確認いただけます。台風シーズンを安全に過ごすためにお役立てください。
▼ウェザーニュースウェブサイト「台風NEWS」
https://weathernews.jp/s/news/typh/
台風発生数は平年より多い29個前後、日本の南〜東日本太平洋側に接近しやすい傾向
<台風の発生数について>
今シーズンの台風発生数は、5月までに発生した2個を含めて29個前後の予想です。
シーズン中は2019年以来の強い「正のインド洋ダイポールモード現象」が発生する見込みです。この影響で、台風発生域の対流活動が平年より活発になるため、台風の発生数は平年の25.1個よりやや多くなりそうです。
正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると、インド洋の東部で高気圧性の循環が強まり、フィリピン近海へ吹く風(モンスーン)が強まります。この風がフィリピンの東で東風(貿易風)とぶつかることで、平年に比べ周辺での対流活動がやや活発になる見込みです。
<台風の発生位置について>
今シーズンは、正のインド洋ダイポールモード現象と同時に、2015〜2016年以来の強度となる顕著な「エルニーニョ現象」も発生する見込みです。
エルニーニョ現象が発生した場合の台風の発生位置の傾向を示した近年の研究(※1)に基づくと、今シーズンに予測されているエルニーニョ現象の海面水温分布の場合、台風の発生位置が平年よりも東または南東にシフトすると考えられます(図2)。また、海面水温が高い海域を通る時間が長くなるため、勢力の強い台風が多くなるとみられます。
<台風の進路傾向について>
エルニーニョ現象が発生した場合の台風の進路傾向を示した近年の研究に基づくと、今シーズンに予測されているエルニーニョ現象の海面水温分布の場合、東シナ海方面へ進む台風は少ない傾向がみられます。一方、日本の南から東日本太平洋側を中心に台風が接近しやすくなるとみられます(図3)。最新の台風情報を確認しつつ、十分な備えが必要です。
類似年の台風発生数
1951年以降、エルニーニョ監視海域(NOAA/米海洋大気局)の予想海面水温とインド洋の予想海面水温が、今年の予測と類似している年は、5例(2015、2009、1997、1982、1972年)です。各年の台風発生数は22~31個、平均すると26.6個で、類似年の台風発生数は平年よりやや多い状況です。
類似年と今年の台風発生数(月別・年間)
台風発生数(個) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 |
2023年(※2) | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | — | — | — | — | — | — | — | — |
2015年 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 4 | 5 | 4 | 1 | 1 | 27 |
2009年 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2 | 5 | 7 | 3 | 1 | 0 | 22 |
1997年 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 3 | 4 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 | 28 |
1982年 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 3 | 3 | 5 | 5 | 3 | 1 | 1 | 25 |
1972年 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 7 | 5 | 4 | 5 | 3 | 2 | 31 |
平年(※3) | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.6 | 1.0 | 1.7 | 3.7 | 5.7 | 5.0 | 3.4 | 2.2 | 1.0 | 25.1 |
※1 参考文献:Song, J., P. J. Klotzbach, and Y. Duan, 2020: Differences in Western North Pacific Tropical Cyclone Activity among Three El Niño Phases. J. Climate, 33, 7983–8002, https://doi.org/10.1175/JCLI-D-20-0162.1.
※2 2023年は、6月6日現在の発生数です。
※3 平年:統計期間1991〜2020年の平年値を使用しています。
参考1:正のインド洋ダイポールモード現象
正のインド洋ダイポールモード現象は、インド洋東部で海面水温が平年より低く、西部で平年より高くなる現象です。この海面水温の変化に伴い、インド洋東部では通常に比べて蒸発が抑えられる分、下降気流が発生し、高気圧が強まります。この高気圧から吹き出す風の影響を受けて、フィリピン近海では上昇気流が強まり、対流活動が活発化します。このため、フィリピン近海で多数の積雲や積乱雲が発生しやすくなり、台風が発生するケースが多くなります。
参考2:エルニーニョ現象
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が、平年より高くなる現象です。この海面水温の変化に伴い、通常フィリピン近海で活発な対流活動が東(南東)へシフトします。
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