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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、海運業界向け最適航路選定支援サービスにおいて船の揺れを可視化する「船体動揺リスク」を2024年5月から提供することについて、本日発表しました。
近年、気候変動によって気象は極端化し最大波高は上昇傾向にあります。このため海運業界では、乗組員や貨物、船体損傷のリスクが高まると懸念されており対策が求められています。「船体動揺リスク」は、船のRolling(横揺れ)やPitching(縦揺れ)を可視化し、船の揺れの大きさ(角度)を数値で表示します。実際の海面では有義波高の2倍近い波が発生する場合もありますが、経験したことのない波高が想定される場合でも予測可能です。従来は、波と船首の向きから船の揺れを経験的に判断していましたが、船の揺れを可視化できることで安全運航を支援しDXを推進します。
「船体動揺リスク」に利用する実海域性能モデル(VESTA)は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所が開発したモデルです。VESTAは、波風のある中での船舶の推進性能を予測するモデルで、各国の試験水槽機関で構成される国際試験水槽会議で最も精度の高い推定手法と認められました。従来のモデルに比べて、特に低速時や荒天域において高精度に予測できるという特徴があるため、「船体動揺リスク」の他にウェザールーティングにも活用し、サービス全体の品質向上を目指します。
ウェザーニューズは引き続き、安全性・経済性・環境性を考慮した新たなサービス開発に取り組んでまいります。
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船のRollingやPitchingを可視化、船が傾く角度を数値で表示
近年、気候変動によって気象は極端化し最大波高は上昇傾向にあります。このため海運業界では、乗組員や貨物、船体損傷のリスクが高まると懸念されており対策が求められています。そこでウェザーニューズは、最適航路選定支援サービス「Optimum Ship Routeing」において、船のRollingやPitchingを予測する「船体動揺リスク」を2024年5月から提供開始します。
「船体動揺リスク」は、船の揺れの大きさ(角度)を6時間ごと8日先まで予測するサービスです。実際の海面では有義波高の2倍近い波が発生する場合もありますが、本サービスでは造船工学モデルにより経験したことのない波高が想定される場合でも予測可能です。
大きな船の揺れが予測される場合には、荷役の際に固縛を強化し荷崩れや貨物の破損を防止したり、想定していたルートからの変更や船首の向きを変えるなどの対策を取ります。従来は波向と本船の向きから経験的に船の揺れの大きさを判断していましたが、船の揺れを可視化できることは、対策の要否について迅速かつ適切な意思決定をサポートするだけでなく、海運業界のDXを推進します。
高精度の実海域性能モデルを活用しサービス品質を向上
ウェザーニューズは品質の高いウェザールーティングサービスを行うため、海上技術安全研究所と高精度の実海域性能モデル(VESTA)に関する共同研究を2023年4月から開始しました。本研究を通して実際の船舶データを用いた精度検証を行った結果、波高3m以上かつ風速20kt以上の環境における船速の予測について24.6%の精度向上を確認しました。ウェザーニューズでは、VESTAの活用によってサービス品質の向上が期待できると判断したため、「Optimum Ship Routeing」において2024年5月からVESTAの運用を開始します。
ウェザーニューズでは、VESTAを「船体動揺リスク」に活用する予定です。また、VESTAは低速時や荒天域を通過する間も船舶の性能を高精度に予測できるという特徴があることから、「Optimum Ship Routeing」のルーティングサポートにも活用し、サービス全体の品質向上にも活用します。当社は引き続き、海上輸送の安全確保や環境運航の支援、海上輸送に関わる様々な企業のビジネスの最適化に貢献してまいります。
海上技術安全研究所が世界最高精度の船舶の実海域性能モデル(VESTA)を開発
海上技術安全研究所は、世界最高精度の船舶の実海域性能モデル(VESTA)を開発しました。VESTAは、波風のある中での船速や燃料消費量など実海域における船舶の性能を予測するモデルです。従来の波浪中抵抗増加を推定するモデルは予測精度に約20%の誤差がありましたが、VESTAは約5%の誤差に抑えることができます。VESTAは精度の高さから、各国の試験水槽機関で構成される国際試験水槽会議(ITTC:International Towing Tank Conference)で、2017年に最も精度の高い推定手法として確認されました。